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【パリ 五輪】W杯で起こした「沖縄の奇跡」から11カ月 男子バスケ日本代表が見せる進化と“第2章”フランス戦への期待感
沖縄からパリへ−−。
昨年8〜9月に沖縄アリーナなどで行われたバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)で、48年ぶりに自力でオリンピック出場権を獲得した日本代表。あれから約11カ月。沖縄から10,000キロ以上離れた欧州の地に戦いの舞台を移し、「本戦」とも言えるパリオリンピックを戦っている。
グループBに入った日本(FIBAランキング26位)は、7月27日に昨年のW杯優勝国のドイツ(同3位)と初戦を行い、77ー97で敗北。W杯の予選ラウンドでも対戦し、当時は63ー81だったため、数字だけを見ればわずかに差が開いた。
ただW杯時点と比較すると、日本のチーム力の明らかな進化が見て取れた。
いずれも日本時間で、31日午前0時15分からフランス(9位)、8月2日午後6時からはブラジル(同12位)と対戦し、ジャイアントキリングに挑むアカツキジャパン。南国の離島県である沖縄を発信源に、日本全土を興奮の渦に巻き込んだW杯の“奇跡”の再来となるか−−。
“NBA戦士”八村塁の合流でリバウンド力向上
32カ国が出場するW杯に比べ、世界トップの12カ国のみが出場するオリンピックは格段にレベルが上がる。
今回のパリオリンピックにおいて、国際バスケットボール連盟(FIBA)が開幕直前に発表した出場国のパワーランキングでは、日本は12カ国中最下位。1勝でもすれば大健闘であり、目標に据えるベスト8進出を果たせば文句無しの快挙だ。
日本代表の12人は、昨シーズンまで米NBAを主戦場としていたSF渡邊雄太、7月にNBAチームと「エグジビット10」契約(チームのトレーニングキャンプなどに参加できる契約)を結んだPG河村勇輝とSG富永啓生、キャプテンのPG富樫勇樹など、W杯の時と主力はほぼ変わらない。大きな違いは、米NBAに定着している日本NO.1プレーヤーのPF八村塁が加わったことである。
アンダードッグ(格下の意味)という立ち位置に変化はなくとも、顔ぶれだけを見れば「史上最強」であることは間違いないだろう。W杯の時との違いは、27日のドイツ戦で十分に示すことができていたように思う。
前述のように20点差での敗北となったが、前半を終えた時点でのスコアは44ー52と一桁点差。後半は高さやフィジカルの優位性を強調した相手を止めきれなかったが、試合後にトム・ホーバスHCが「ドイツと戦ったこれまでの2試合(W杯と強化試合)はハーフタイムで大きなリードを奪われましたが、今日の前半は接戦に持ち込めたのはポジティブに捉えています」(日本バスケットボール協会公表)と評価したように、善戦と言える内容だった。
特に個でも打開できる能力を持つ八村の存在感は際立った。フィジカルの強さを生かしてフリースローを12本獲得し、強烈なダンクや2本の3Pも成功。チーム最多の20得点を挙げた。
得点力に加え、八村が入ったことによる効果は、世界的に見てサイズが小さいために最大の泣きどころとなってきたリバウンド力の向上だ。W杯でドイツと対戦した時は36本対47本と圧倒されたが、今回は39本対36本と上回った。平均身長は日本が193.7cmで、ドイツは200cm超に達するのにも関わらず、である。
いずれも30分以上出場し、高さやフィジカルで大きく劣ることのない203cmの八村、206cmの渡邊、208cmのC/PFジョシュ・ホーキンソンの3人が常にゴール下をケアできる守り方を貫き、SF吉井裕鷹やSG比江島慎らもリバウンドに積極的に飛び込んだ。
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