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天皇杯決勝目前も…日本人選手が「ピリッとしない」キングス桶谷大HC、岸本隆一、ヴィック・ローが多弁に語ったチームに“必要なコト”
ロー、重視するのは「ハードなプレーといい判断」

最後はローのコメントだ。自身は足のコンディション不良でEASLではロスター入りせず、島根戦が10日ぶりのプレーとなった。プレータイムの制限はあったというが、24分42秒に渡ってコートに立った。
スタッツは11得点3リバウンド3アシスト。ディフェンス面やシュートタッチも含めてまだ万全ではなく、「あまり上手くプレーできなかった」と振り返る。ただ「このような試合もある。大丈夫」と続け、リラックスしている様子だった。
チームがEASLでタイトルを逃したことも踏まえ、「ナーバスになっている部分はあるか?」と問われると、時折ユーモアや笑みも交えながらこう返答した。
「僕はナーバスにはなっていません。緊張することは自然なことです。新しいガールフレンドに会うと緊張するし、新しい仕事を始める時も緊張する。でもバスケットボールの試合は楽しいし、特に(タイトルの懸かったような)試合は期待が高まります。それはポジティブなことです。だから僕はナーバスになっていません」
さらに言葉を続ける。
「もちろん勝てるといいし、シュートも決まるといい。でもそうならなければ仕方がない。時には負けることもある。それが人生であり、バスケットボールです。だから僕がこのチームで重視しているのは、ハードにプレーできているかということと、いい判断ができているかということです。天皇杯は楽しみにしています。ファンの皆さんの前でプレーし、本当に楽しいゲームになると思います」
言わずもがな、ローは「負けてもいい」と言っている訳ではない。試合中、ハードワークと優れた状況判断をやり続けることが最優先で、その先の結果は相手もいる勝負事ではコントロールできない。しかし、遂行すべきことを貫ければ、勝利する可能性が高くなる事は今までの経験から分かっている。
だからこそ、チームメートに対しては「もう少し頑張ろうと強く促しています」と言う。
「マカオにも行って、みんなが疲れていることは理解していますが、もっと頑張る必要がある。自分の中にあるものに目を向けて、チームに少しでも多くのことを与えることが大切です。もしみんなが毎日1%でも多くのことをチームに与えられたら、土曜日(天皇杯決勝の日)には僕たちが望む場所に到達できるはずです」
もちろん、タイトルが懸かる大一番の試合はレギュラーシーズンの1試合とは意味合いが全く異なる。1ポゼッションごとの重みも増す。プロ選手とはいえ、3人の言葉に出てきたような「責任感のあるプレー」「シンプルさ」「いい判断」「ハードワーク」などをその舞台で高精度に体現することは容易ではない。
ただ、この壁を打ち破り、勝利を掴み取ることができれば、必ずチームとしても、個々の選手にとっても進化に向けて大きな一歩を踏み出すきっかけになるはずだ。第100回の記念大会となる天皇杯の最終決戦。沖縄からも多く来場するであろうファンの声援を背に、自信を持って、それぞれの持ち味を存分に発揮してもらいたい。
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