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キングス初優勝の天皇杯で「悔しい思い」をした荒川颯…岸本隆一の言葉を“指針”に『自分で勝ち取れる』選手に
天皇杯決勝のプレータイムは「2分51秒」のみ…

今シーズンはポイントガードの岸本隆一、伊藤、平良彰吾がそれぞれ負傷離脱する期間もあり、先発を務めることもあった。3月7〜9日にあった東アジアスーパーリーグ(EASL)ファイナル4ではクロージング(試合の締めくくり)の時間帯にコートに立つなど、シーズンを通して存在感を増している。
しかし、まだまだ越えるべき壁がある。それを突き付けられたのが、アルバルク東京に60ー49
で勝利した天皇杯決勝だった。
チームはEASLからの苦境を跳ね返して見事日本一の座をつかんだが、自身の出場時間はわずか2分51秒。出場機会がなかった植松義也を除けば、チームで最も短いプレータイムだった。栄光の瞬間、蚊帳の外に置かれたような感覚に陥っても不思議ではない。
「僕は天皇杯で悔しい思いをしている選手の一人だと思っています。優勝という最高の形で終わりましたけど、僕自身は修正しないといけないポイントを感じました」と歯がゆい表情で振り返る。他力ではなく、自力で優勝トロフィーを掲げたいという思いは一層強まった。
「優勝チームの一員になれることは光栄なことですが、自分自身でつかみ取りたいです。僕自身がもっとコートに立って、日本一になるという目標が新たにできたという意味では、本当にいい経験になりました」

荒川はキングスが準優勝を果たした昨シーズンのCSでも、ターンオーバーや簡単なレイアップシュートのミスもあって存在感を示せず、第3戦までもつれ込んだファイナルでは初戦で3分10秒コートに立ったのみ。
オフシーズンに行ったインタビューでは「客観的に見て、僕の立場の選手がCSの大事な場面でああいうミスをしていたら、コーチは使いづらくなりますよね」と反省を口にしていた。
大一番の試合でプレータイムを伸ばすためには、何が必要なのか。先日の天皇杯決勝の内容を踏まえ、戦う上での気持ちの有り様をポイントに挙げる。
「僕がハンドラーになったタイミングで、リジェクト(スクリーンとは反対方向にドライブすること)して空いたのにシュートを打たなかった場面がありました。隆一さんがああいう試合は『理屈じゃない』と言いますが、本当に気持ちを前面に出して戦っていかないといけません。そうでないと会場の雰囲気に飲み込まれるし、勝利に結び付いていかない。ヘッドコーチも『あ、こいつダメだな』という印象を持ってしまうと思います」
「気持ちを前面に出す」というのは、言い換えれば、大一番でも臆することなく自身の強みを出し切るということでもある。
天皇杯決勝で言えば、11分22秒のプレータイムを獲得した平良が分かりやすい例だろう。今季途中にB3から加入したばかりにも関わらず、タイトル戦の緊張感に押し潰されることなく、大事な場面で3ポイントシュートやミドルジャンパーを決めて見せた。
拓殖大学時代もチームメイトだった同級生の活躍は、荒川にとって強烈な刺激になったはず。「試合が終わった後の後悔は大きかったです。試合結果はいい形で終われたので、ポジティブに、次に向けてやっていきたいと思っています」と前を向く。
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