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「会社に在籍しているだけであなたには価値がある」中途視覚障がい者の男性”見えない自分を可視化”
共に生きる社会へ向けた挑戦 互いの価値を認め合う
視覚障害者として生活するようになってから中嶋さんはさまざまな「社会的バリア」の存在に気づくようになった。
盲導犬を連れていることによる入店拒否や乗車拒否の経験を経て「人権をきちんと伝え、これから見えなくなっていく人、すでに見えない人を守っていく必要があります。それは自分自身を守ることでもあるのです」と考えるようになった。自分の権利を主張することの大切さを実感している。
厚生労働省が推進する「ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人を受け入れること)」には目指す方向性が掲げられている。考え方—年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好(しこう)、宗教などにとらわれず多種多様な人材がお互いを認め合い能力を最大限発揮できる社会づくり。

中嶋さんはこの理念を体現するように会社での啓発活動や障害を持つ仲間たちへの支援を続けている。
「辞めてしまうと企業から視覚障害者はいなくなってしまう。でも、そこに居続け声を上げ続けることで存在しているからこそ多様性の中に受け入れてもらえる。そのことを意識してもらえる」。最も伝えたいメッセージは「会社に在籍しているだけであなたには価値がある」というシンプルなものだ。

仲間として働く力として互いの存在を認め合い価値を見いだすこと。それが誰もが前向きに働ける力強い社会を作り出す第一歩となる。中嶋さんは障害の有無にかかわらず私たち一人ひとりの可能性を広げる道標となっている。
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