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タイムスリップしたようなひとときを!”やちむん”で味わう自家焙煎コーヒーと民藝の空間「可否館(こーひーかん)」(南風原町)

48年前の1977年5月15日、那覇市久茂地で産声をあげ、南風原町へと場所を移しながらも、時を刻み続けてきた「可否館(こーひーかん)」。
民藝(みんげい)の美に包まれた空間と深煎り珈琲の香り、心温まる喫茶メニューが、常連や喫茶好きにはたまらない場所です。
現在は2代目館長・久高浩路(くだかひろみち)さんが、父から受け継いだ想いとともに、自家焙煎珈琲と静かな時間を届けています。
目次
静けさに満ちた時間が漂う「可否館(こーひーかん)」

2001年に南風原町へ移転した「可否館(こーひーかん)は、新川公園の向かいにあり、那覇空港から車で約30分ほどの場所にあります。
南風原の住宅街にひっそりと佇む一軒家で、民家のような外観と、季節の緑が生い茂るやさしい佇まいが印象的です。
入り口には看板が掲げられ、そのそばには赤レンガ調の階段があります。
階段の一段目にはコーヒーミルのオブジェと「営業中」の札が。扉を開けると、時間がゆっくりと流れる、静かな喫茶空間が待っています。
「可否館(こーひーかん)」で過ごすタイムスリップしたようなひととき

入り口を開けると、そこに広がっているのは令和とは思えない、まるで時代をさかのぼったかのような空間。木のぬくもりに満ちた店内には、ゆっくりとした時間が流れ、「可否館(こーひーかん)」の静けさが不思議と心を落ち着かせてくれます。
グラスや器、椅子やのれんなど、細部にまで民藝の美意識が息づいており、日本を代表する染色家・柚木沙弥郎(ゆのき さみろう)さんの作品も飾られています。
喫茶のひとときが、まるで芸術に包まれているよう。那覇・久茂地で始まった喫茶の物語は、器や空間、そして流れる時間とともに、この場所で静かに受け継がれています。
深煎りコーヒーとやちむんの器が織りなす、ていねいな時間の味わい

初代館長であるお父様が焙煎を担っていた「可否館(こーひーかん)」では、現在、2代目館長の久高浩路さんがその技術と想いを引き継ぎ、ていねいに深煎りのコーヒーを焙煎しています。
しっかりと焙煎された豆から立ちのぼる香りには奥行きがあり、一口飲むと、深く力強い苦味とまろやかなコクが口いっぱいに広がります。その味わいは、喉を通ったあとも長く続き、芳醇な香りとともに静かな余韻として残り続けます。
時間をかけてていねいに焙煎されたコーヒーには、派手さこそありませんが、飲むほどにその深みに気づかされます。深煎りの魅力を知る人にこそ届けたい、そんな一杯です。

コーヒーが注がれているのは、沖縄のやちむん(焼き物)や、創業当初から大切に使い続けている島根のオーダーメイドの器たち。いずれも使い込まれた風合いが美しく、手に取るたびに、静かに語りかけてくるようです。
「流行」や「効率」といった言葉が当たり前になったいま、そこにある器たちは、つくる人の眼差しや手のぬくもり、そしてていねいに積み重ねられた時間の尊さを思い出させてくれます。
「可否館(こーひーかん)」にある器は、ただの道具ではなく、使われ、育てられ、喫茶の時間とともに生きてきた存在といえるものばかり。民藝が大切にしてきた「用の美」が、そこには確かに息づいています。
「可否館(こーひーかん)」の4種ホットサンドと沖縄小鉢でほっと一息

「可否館(こーひーかん)」のホットサンドセット(1,700円・税込)は、たまご・かぼちゃ・ツナ・チーズの4種類のホットサンドが一度に味わえる、満足感たっぷりのランチメニュー。中からとろけるチーズや具材のジューシーさが口いっぱいに広がります。
外はサクッ、カリッと、中はふんわり。ひと口ごとに幸せを感じられるおいしさです。
彩りを添えるのは、沖縄のソウルフードであるゆし豆腐や、伝統菓子の甘がし。別皿にはさっぱりとした大根サラダ、さらにドリンクも付いており、見た目にもおなかにも嬉しい一皿です。
ホットサンドのほかにも、数量限定でミートソーススパゲティやもとぶ牛を使用した牛すじカレーの提供も始めたのだそう。フードメニューには大根サラダ・ゆし豆腐・甘がし・季節のフルーツ・ドリンクがついてきます。
「可否館(こーひーかん)」をつくる二代目館長の想い

館長の久高浩路さんが、カウンター越しに一杯ずつていねいに珈琲を淹れる場所。受け継いだ想いと、静かなもてなしの心がそっと息づいています。
久高浩路さんは、父から店を受け継ぎ、変わらない空間を守りながら、少しずつ自分らしい色を重ねています。
初代館長が開いた久茂地時代の店でアルバイトをしていた方や、30年前の常連がふらりと訪れ、変わらぬ雰囲気に涙を流す――そんな姿に、「変わらないことの良さ」に気づいたといいます。
誰かの暮らしと記憶の中にある「可否館(こーひーかん)」。SNSを通じて発信することで、懐かしさに背中を押され再訪するお客さんも増えているのだとか。
やさしい変化と記憶が折り重なり、今の「可否館(こーひーかん)」の雰囲気が育まれています。
ぜひ、あなたの暮らしの中にもそっとこの場所を迎えてみてください。
Information

- 可否館(こーひーかん)
- 住所
- 〒901-1105
沖縄県島尻郡南風原町字新川48-7 - 電話番号
- 098-882-7856
- 営業時間
- 11時~17時
- 定休日
- 日曜日・祝日・不定休あり
- 駐車場
- あり
- クレジットカード・電子マネーの利用
- 可
- SNSのURL
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