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OTV報道部

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奇想天外なアイディアで社会問題を解決する2人の大学生

おからスプーン

沖縄料理に欠かせない豆腐。

その豆腐を作る際にできる“おから”は栄養価が高く、人気の食材だが、実際に食用になるのはごくわずかで廃棄物として処理する費用が豆腐屋の経営を圧迫している。
そんな課題の解決に一役買うことが期待されているのが、琉球大学4年生の崎濱花鈴さんと知念杏珠さんが開発した、おからスプー「PACOON(パクーン)」だ。
沖縄の豆腐屋からもらったおからを愛知県にある植物の粉末をスプーンの形に変える技術を持つ会社で成型し、現在はアイスクリームやカレーの店頭に置いてもらうために奮闘中だ。
実際におからスプーンを取り扱うアイスクリームのスタッフの方からは「舌触りもアイスクリームとマッチしていて、全然壊れないから安心して取り扱える商品です。」と絶賛する声も聞こえてきた。
なぜ2人は“おから”に着目したのか、またなぜそれをスプーンにしたのか。
ベンチャー起業家として奮闘する2人に語ってもらった。

おからスプーン

きっかけはペットフード!?

崎濱さん
最初は私だけが他のメンバーとビジネスコンテストに出ていて、その中でペットフードを作っていました。そこで考えたのがおからをペットフードに活用して、植物由来の物から作れないかということです。その考えのもと、調査を進めていくうちに、お豆腐屋さんにインタビューする機会を得ました。その時に豆腐屋さんがおからの食料廃棄に困っていることを知ったんです。ビジネスコンテストが終わってメンバーがいなくなったんですけど私はまだこのビジネスモデルを続けたいと思っていました。

知念さん
その時、社会問題の解決に関心をもっていた私に崎濱が豆腐屋さんのところに連れていってくれました。
崎濱の熱い思いに惹かれて一緒に行ってみたら、「続けていきたいんだけど、おからの廃棄にすごいコストを割いていて、続ける意味もう分からなくなるよね、正直。」という声が豆腐屋さんから聞こえたんです。本当に困っている状況を目の当たりにして、その時、この活動をやってみようと思うようになり、まずは調べることや、話を聞くことから始めました。

おからスプーン

スプーンという形になったきっかけは「ゴミ問題」

知念さん
あと、海洋プラスチックゴミの社会問題に取り組む友人が、「プラスチックのリサイクルも大切だけど、そもそもゴミは生まれない方が環境にとっていい」と言っていたこともアイディアのヒントになりました。
この話を聞いて、最初はおからの食料廃棄の問題だけを意識していたのですが、せっかくなら海洋プラスチック問題の解決もできないかと考え、たどり着いたのがおからをスプーンに変形させるという案でした。

おからスプーン
2人が作ったおからのスプーン

だから私たちは沖縄のおからにこだわる

知念さん
私たちはあくまでも沖縄の豆腐屋さんからでたおからしか使用していません。理由は2つです。1つは沖縄の文化を守りたいからです。島豆腐をつくる豆腐屋さんというのは沖縄県の大切な産業であるということを私たちは強く感じています。沖縄の島豆腐を守っていくことは、結果として島豆腐が食卓に並ぶことに繋がること、つまり沖縄の文化を守ることになると思います。

崎濱さん
もう1つは沖縄の経済発展にも寄与したいと思ったからです。
もともと私が一人親家庭だったこともあり、すごく沖縄の経済というところに関心がありました。子供の貧困をなくしていくために何が必要なのかと疑問を持っていて、考えていくなかで、第1次産業、第2次産業を盛んにする必要があると中学生くらいから思っていました。
そんな時に出会ったのが、ソーシャルビジネスという言葉です。社会課題を解決して利益も生む。この考え方を取り入れたら、沖縄の経済発展のために活動できる。そう思ったことがきっかけで沖縄のおからにこだわっています。
今後はさらに販路を広げるために、おからを「おからタコライス」や「生分解性の容器」などに変えて、おからの活用方法を広げていきたいと思っています!

2人の原動力とは?

おからスプーンを作るための原材料「おからパウダー」を沖縄市にある豆腐屋「川上食品」から仕入れており、川上食品の代表・川上勝敏さんに取材した際、「お金儲けをすることより、それ以前に私たち豆腐屋を守ることを前提に考えてくれている。だから2人を応援したくなる。」と語った。利益を生み出すことではなく、あくまでも社会問題を解決することを第一目標とする2人の原動力は沖縄を、故郷を思う気持ちだと思った瞬間だった。

取材:沖縄テレビ 報道部記者 延総史

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