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くらしと経済編集部

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社会をもっと便利に「空間伝送」技術

小林
こんにちは。小林美沙希です。
ケーブルなどを使わず、空間を介して電気を送る「空間伝送」技術。夢のような技術が身近になる日が近づいているようです。
その最新事情について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

宮里 
宜しくお願いします。

社会をもっと便利に「空間伝送」技術

小林
最近、専用の台に置くだけで充電ができるスマートフォンなどもでてきていますが、それも空間伝送の一つなのでしょうか。

宮里
小林さんがおっしゃったスマートフォンなど、非接触で充電を行う仕組みを無線給電と呼びます。
無線給電には大きく2つの種類があり、一つは電力を送る距離が、数ミリから1m程度の「近接接合型」、もう一つは10m以上離れた距離にも充電可能な「空間伝送型」です。

近接接合型には、スマートフォンの充電のようにすでに実用化の例も多くあり、海外の自動車メーカーでは無線給電の設備を搭載した電気自動車などを販売しています。
一方、空間伝送型については、携帯電話やWiFi機器などに割り当てられた電波との干渉や人体への影響といった課題もあって、実用化はこれからという段階です。

無線給電の種類と方式

小林
なるほど。実用化が進めば暮らしや産業がかなり便利になりそうですね。

宮里
空間伝送によって同時に電力が送れるようになればかなり効率的な運用が実現します。

現在、空間伝送の中でも実用化が近いとされているのはマイクロ波方式です。国は電波法の省令を改正しマイクロ波方式のための電波を割り当てて制度面で実用化を後押しする予定です。

空間伝送型の研究開発例

小林
マイクロ波方式を用いてどのような活用研究がされているのでしょうか。

宮里
昨年、国内のあるスタートアップ企業がマイクロ波方式によるシステムを製品化しました。
このシステムでは、空間伝送を通じて、同時に100台以上のセンサーに電力を送ることができるため、配線コストをなくし、大幅なコスト削減を実現することができます。

また東京の大学では、走りながら電気自動車の充電ができる技術の開発を進めています。
これは、車の走行中路面に設けられた装置から送られた電力をタイヤ側に設けた装置で受け取る仕組みで、2023年には道路で実証実験を始める予定です。

空間伝送型無線給電がもたらす革新

小林
空間伝送型の給電が広く利用可能になると、今ある課題の解決に一役買うことができそうですね。

宮里
はい。空間伝送の仕組みがあれば、スマートフォンや家電なども一つ一つコンセントにつなぐことなく、知らないうちに充電されているという状態になります。

さらに、宇宙空間に太陽光パネルを設置し、マイクロ波方式で太陽エネルギーを地上に伝送し、地上で利用するという「宇宙太陽光発電」技術の研究も進められています。将来的には、宇宙から電力が供給され送電線も電源ケーブルも必要ない社会が実現するかもしれません。

無線給電の世界市場規模推移と予測

小林
これから活用が広がるまさに成長市場と言えそうです。
今後の進展に期待したいと思います。

宮里支店長ありがとうございました。

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