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「神の右手」あの5.3秒に起きたコト…琉球ゴールデンキングス・松脇圭志に30分をかけて聞いてみた
「考えて動いたわけじゃない」体を反って咄嗟のタップ

ボールがコート中央方向へ大きく跳ね返る。リバウンド争いで素早くペイントエリア内に密集した両軍の選手を見下ろすように、高い弧を描いた。落下地点のフリースローライン付近にいた身長201cmのメイテンがジャンプ一番、左手を伸ばして掴もうとするが、インサイドに入り過ぎてぎりぎり届かない。
その真後ろから顔を出したのが、松脇だ。
「メイテンが目の前にいたから、自分のところには来ないと思いました。でも、意外と上を飛んで来たんです」。自身の右斜め後ろにボールが落ちてきた。咄嗟にジャンプし、反り返りながら右手でキャッチ。着地を待たず、そのまま上半身を戻す反発と腕の力でシュートを放った。「投げた」という表現がより適切だっただろうか。
選手、コーチ、審判、観客…。低い弾道のボールに、5,000人近い会場全員の目線が注がれる。
「考えて動いたわけじゃなく、本当に咄嗟の判断でタップした感じです。右手でボールを受けた時の感触も覚えていません。もう投げるしかなかった。そしたら意外と真っ直ぐ飛んだから、投げた後に『いい線行ったな』とは思いました」
ボールはバックボードの小さな四角部分を捉え、終了ブザーと同時にリングにするりと吸い込まれた。
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