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長嶺 真輝

長嶺 真輝

「神の右手」あの5.3秒に起きたコト…琉球ゴールデンキングス・松脇圭志に30分をかけて聞いてみた

スコア認定→画面に映し出された“つぶやき”の正体は…

「神の右手」あの5.3秒に起きたコト…琉球ゴールデンキングス・松脇圭志に30分をかけて聞いてみた
試合を延長に持ち込む同点弾を決めた後、クーリーから抱擁を受ける松脇

ゴール真下にいたクーリーとカークが両手を突き上げ、起死回生のビッグショットを決めた本人は仲間のいるベンチ側を振り返って驚いた表情を浮かべた。会場が深いため息と歓声で騒然とする中、審判が時間に間に合っていたかどうかの映像確認に入ったが、「ボードに当たったくらいでブザーが鳴ったから、『カウントだな』とは思っていました」と、どっしりと構えていた。

審判がカウントを認めるジャスチャーをすると、客席の一部に陣取ったキングスファンが狂喜乱舞。この時、試合映像にアップで抜かれた松脇は一言何かをつぶやいた。「うおー」とも、「すげー」とも見て取れる。一緒に映像を見ながら本人に確認すると、そのどちらでもなかった。

「これ『危ねえ』って言ってます」

なぜか。

「あれが外れていたらシーズンが終わっていたので、『嬉しい』というよりも『繋がった』っていう気持ちの方が大きかったんです。三遠は本当に強くて、第4Qは相手のやりたい速い展開のバスケをされていました。それもあって、『危ねえ』というのが口から出たんだと思います。意外と冷静でしたね」

まだ試合は終わっていない。だから、必要以上に高ぶることもない。普段から泰然自若とした松脇らしいシンプルな言葉だった。

自身が「ほぼ偶然」と言うように、あのビッグショットは奇跡に近い。ただ、最後まで諦めずにオフェンスリバウンドに飛び込んだこと、難しい体勢でも打ち切れるほどの体幹の強さを備えていたことが、巨大な運を引き寄せたことは間違いない。試合後、桶谷HCも「奇跡的に決められたのは、松脇があそこに行ったから。彼の努力の結果だと思います」と称賛していた。

チームを救った手は、見るからに大きい。試しに、取材に同席したクラブ広報の30代男性と手を合わせてもらうと、第一関節が飛び出るくらいのサイズがあった。激しい動きの中でボールをコントロールできた要因の一つだろう。

必然とまでは言えずとも、松脇でなければ「神の右手」を生み出すことはできなかったかもしれない。

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