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「神の右手」あの5.3秒に起きたコト…琉球ゴールデンキングス・松脇圭志に30分をかけて聞いてみた
「相手にも流れは来るよな」岸本隆一との会話に見る“強さの根源”

“5.3秒”の後段の話となるが、取材ではもう一つ印象的なエピソードがあった。
5分間の延長戦は終盤にかけてリードを広げる展開に。しかし、最後の20秒を切ってから三遠の吉井裕鷹とデイビッド・ダジンスキーに連続で3ポイントシュートを決められ、2回目の延長戦に持ち込まれた。
「神の右手」で試合の流れを完全に掌握したかに見えたが、再び相手に引き戻された。アウェーの地で前日から死闘続き。疲労もピークの中、気持ちが折れかけてもおかしくはない。が、ダブルオーバータイムに入った段階で、松脇はベンチで隣に座っていた岸本隆一と以下のような会話をしていたという。
「僕がああいうシュートを決めたことで、隆一さんと『やっぱり相手にもいい流れは来るよな』『今日はこういう試合だな』という話をしていました。レギュラーシーズンであれば、自分たちの流れのまま勝てたかもしれませんが、CSは何が起こるか分かりません。だから、延長もチームの雰囲気は変わらず、やり切った方が勝つというのはみんなが分かっていたと思います」
結果、最後まで我慢を続けたチームは50分間に及ぶ激戦を100-98で勝利。翌日の第3戦も77-69で勝ち、2勝1敗でシリーズを制した。
Bリーグ開幕後に行われた8回のCSに全て出場し、昨季まで4シーズン連続でファイナルの舞台に立ったキングス。緊迫した時間帯でも冷静に戦況を見詰められる力は、豊富な経験が下支えしているのだろう。
松脇と岸本にとっては些細な会話だったかもしれないが、CSにおけるキングスの強さの根源が垣間見えるエピソードだった。
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