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創業95年、受け継がれる甘い伝統・四代続く「パティスリーAKAHIRO(アカヒロ)佐敷店」が紡いだ、笑顔の輪(南城市)
南城市佐敷新開に2025年9月25日、地域で42年間愛されてきた「みなもとや」の想いを受け継ぎ、「パティスリーAKAHIRO(アカヒロ)佐敷店」がオープンしました。
店名の「AKAHIRO」は、奥さま・明里(あかり)さんの「あか」と、店主・宮城弘樹(ひろき)さんの「ひろ」を組み合わせたもの。家族の絆と、宮城家に受け継がれてきた“甘い伝統”が、店名にも、そしてお店の隅々にまで息づいています。
今回は、新たな一歩を踏み出した「パティスリーAKAHIRO佐敷店」(以下、AKAHIRO)をご紹介します。
目次
「パティスリーAKAHIRO(アカヒロ)佐敷店」の素材のおいしさいっぱいGELATO(ジェラート)!
「AKAHIRO」といえば知る人ぞ知る「ジェラート」人気店。今回は、人気商品のスーパーピスタチオをいただきました。ジェラートは1サイズのみで税込380円で、フレーバーによっては+100円のものもあります。
私がいただいたスーパーピスタチオは+100円のものなので、税込480円。注文時にカップかコーンかお好きな方を選べます。
ジェラートには、薫り高いイタリア産ピスタチオと沖縄の塩をバランスよく混ぜ合わせています。口に含むと、全体的になめらかではあるものの、ピスタチオの粒々感がアクセントになり、食感の楽しさをしっかり感じられます。
素材が持つ個性をていねいに引き出したジェラートです!
さらに食べ進めると、コーンの香ばしさとザクザクとした食感が加わり、ジェラートのなめらかさとのコントラストをより楽しめます。
思わず「おいしい、ハマる!」と言葉がでるほどでした!
店主のジェラートへの想い「よりよい状態のジェラートを提供すること」
ジェラート屋さんに行くと、色とりどりのジェラートが目の前に広がるショーケースを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、「AKAHIRO」で使用されているのは、フタつきのつぼ型ショーケース「pozzetti(ポゼッティ)」。
なぜつぼ型を選んだのか尋ねると、「光や空気に触れる回数が多いとジェラートのダメージもその分多くなる。よりよい状態で提供したい」と教えてくれました。
フタを開けると、手間ひまかけて作られたジェラートが顔を出します。もちろんジェラートにも目が行くのですが、ジェラートをすくう道具に興味がでました。
私の知る限りでは、平らなスパチュラで三角の山に盛り付けるジェラート。「AKAHIRO」ではアイスクリームディッシャーでひとすくい盛り付けています。スパチュラで山を描くのは技が必要ですが、ディッシャーを使えば、誰でも同じようにすくえます。
どのひと口も変わらない形で、お客さまの手もとに笑顔と一緒に届くのって素敵なアイデアですね♪
ぜひ、みなさまにも定番のバニラ、チョコフレーバーをはじめ、人気のスーパーピスタチオ、季節に応じた限定フレーバーも楽しんでほしいです。
代々引き継がれる職人の想いが宿る「パティスリーAKAHIRO(アカヒロ)佐敷店」の店内外
お店の入り口横には、初代から続く店名が刻まれた縦長の看板が掛かっています。「宮城製菓所」からはじまり、「お菓子のみやぎ」「みなもとや」、そして現在の「AKAHIRO」へ。
初代は黒糖屋、二代目は琉球菓子、三代目はパンとケーキ。四代目の宮城弘樹さんは、東京・横浜・フランスで修業を重ね、洋菓子の技術を活かしたお菓子をならべています。
扉のドアノブには二代目時代に使われていた「コーグヮーシ(伝統菓子)」の型枠を使用するなど、家業の歩みを静かに物語っています。
店内は清潔感があり、スタイリッシュな雰囲気。ショーケースには、端から端まで色とりどりのスイーツやパンがならびます。店に入って左から右へ、一つひとつ目を輝かせながら選ぶ時間は、まるで宝探しのよう。
甘い香りに包まれて、思わず笑顔がこぼれそうですね。
「パティスリーAKAHIRO(アカヒロ)佐敷店」のおすすめ商品3選
三代目「みなもとや」といえば、42年間、地元客が愛したデンマークパン。取材中もお客さまがデンマークパン目当てに次々と訪れてきました。
お店を受け継ぐ際、宮城弘樹さんは「自分の商品だけで勝負したい」と考えていました。
しかし、「デンマークパンを続けてほしい」という声が次々と寄せられ、三代目であるお父さまのお店が地元の方々にどれほど愛されていたかを実感したといいます。
開店日には500人以上がならび、あっという間に完売。いまでもデンマークパンは、毎日売り切れるほどの人気ぶりです。
デニッシュ生地は宮城弘樹さんの技でよりサクサクに。甘いシナモンシュガーがまんべんなくまぶされていて、外は香ばしくサクサク、なかはふんわり。
女性でも丸々一つペロッと食べ切ってしまうほどです。
次のおすすめは、初代・宮城源太郎さんが黒糖屋を営んでいたことをヒントに、オープンに間に合わせて作った黒糖を使ったロールケーキ「源太郎る(げんたろうる)」。
スポンジをクルクルと巻く前に黒糖を散りばめ、黒糖らしさを残して仕上げています。ロールケーキには生クリームだけではなく中心にバニラカスタードクリームをたっぷり。
口に入れると、しっとりとした生地と生クリームのやわらかさが相性よく、バニラの甘い香りがふわっと鼻を抜けます。
そこにカスタードクリームのコクと、黒糖らしさを感じる深い風味が重なり、ついもうひと口、もうひと切れと手が伸びます。
最後は「AKAHIRO」のクロワッサン!
パンがならぶショーケースの右端に存在をはなつクロワッサンに目が釘付けになりました。
「AKAHIRO」のクロワッサンは、南フランスTeo(テオ)シェフ直伝のクロワッサンだとか。
お店のスタッフにお願いしてクロワッサンを半分に切ってもらいました。
外側は黄金色に輝き、軽く触れるだけでパリッと音がするほどの薄い層が重なっています。内側はしっとり柔らかく、気泡が入った生地がふわりと広がります。
ひと口かじると、サクサクとした音で重なり合う層を感じ、サクサクのあとにジュワーッとバターの風味が口いっぱいに染みわたります。
素材そのものの豊かな香りと味わいが、ひと口ごとに幸せを届けてくれました!
さきほどのクロワッサンの生地のおいしさにプラスして、自家製ラズベリージャムをたっぷり中に詰めたクロワッサンラズベリー。クロワッサンの黄金色とラズベリーの鮮やかな赤色に心奪われませんか?
甘酸っぱい香りとフルーティーな味わいが加わり、生地のコクと絶妙に重なります。見た目の美しさと味わいの両方を楽しめる一品です。
「パティスリーAKAHIRO(アカヒロ)佐敷店」の鮮やかな商品たち
洋菓子を得意とする宮城弘樹さんの技を活かしたマカロンやケーキに加え、焼菓子のギフトセットや三代目のみなもとや時代から愛されてきた昔ながらのパンもならびます。
取材の際にスタッフの方へ「お気に入りの商品は?」と尋ねると、「決めるの難しいなぁ~、みなもとや時代からある“いも”ですね」と笑顔で答えてくれました。
働くスタッフも店内にならぶ商品を大切にして、お客さまとの会話もあり、温かな空気に包まれた店内でした。
ジェラートのある暮らしをあなたに届けたい
四代目となる宮城弘樹さん。初代から続く創業95年の歴史を胸に、「子どもからお年寄りまでが立ち寄れ、作る人も食べる人もハッピーになれるお店にしたい」と笑顔で話します。
フランスでの修行中に目覚めたフルーツのおいしさの感覚。そして、途方にくれた日に食べたジェラートに元気をもらった経験。言葉も通じず、仲間もいない環境で、まわりには経験も哲学も備えた職人ばかり。
当時は自分にできる技を磨き、認めてもらうしかなかったと、取材中に静かに振り返ってくれました。
はじめて沖縄でお店を立ち上げる際には、スタッフ全員でフランスを訪れ、宮城さんが衝撃を受けた現地のジェラートを食べに行ったそうです。「何をおいしいと感じたのか」「どんな想いでお店をつくりたいのか」。チームとしての共通の価値観を確かめ合ったといいます。
店内の壁に La vie avec du GELATO(ジェラートのある生活・暮らし)と書かれた言葉は、宮城さんにとってお店を続けるうえでの大切な“軸”になっています。
出勤前のひとときや、午後のおやつの時間。「AKAHIRO」のジェラートがそっと寄り添ってくれるようなやさしい空気が店内には流れています。
次のおでかけの予定に、ぜひ「ジェラートのある暮らし」を加えてみてください。
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