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まえうみ さきこ

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子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

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~幸せのカギはお部屋しだい!~住まい心理コンサルタントのまえうみさきこです。
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「ただいま」「おかえり」

この特別でも何でもない言葉が、実は子どもの心にとって、とても大きな意味を持っていることをご存じですか?

近年の住まい相談で増えているのが、「気づいたら子どもが部屋に入っていた」「ただいま、を聞かない日がある」そんな声です。

その背景には、両親が共働きで忙しいのはもちろんですが、間取り動線の変化が関係していることも少なくないと考えています。

目次

玄関からリビングまで、たった3メートルが子どもには安心の記憶

玄関からリビングまでの数メートル。
この短い距離は、ただの通路ではなく、子どもにとって「家庭モードへ切り替わる心の通過点」でもあります。

大人と同じように、子どもにだって子どもなりに外で様々なストレスを受けてきます。
外で緊張し、気を張り、時には嫌なことを我慢して帰宅した子どもにとって、最初に受け取る家の空気は、その日の心の状態を大きく左右します。

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

家族からの「おかえり」という一言。それは、「あなたの居場所はここだよ」という無言のメッセージ。
この繰り返しが、子どもの中に安心の記憶を積み重ねていきます。

「声をかけやすい家」と「声が消えてしまう家」

実は、家のつくり次第で、「ただいま」が自然に生まれる家と、すれ違う家があります。

たとえば
・玄関から直接子ども部屋へ行ける間取り
・リビングを通らなくても階段に行ける動線
・廊下が長く、生活音が届きにくい構造

こうした家では、気づいたらもう子どもが部屋にいる、という状況が起きがちです。

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

✅イラスト説明:効率を考えたら、赤いラインには壁がないほうが良いが、子どもの安心の記憶を積み重ねるためには、リビングを通り抜けた間取りがおススメ。

一方で
・玄関周辺からリビングの気配が感じられる
・家族の声や生活音がふんわり届く
・一度“家族の視界”を通ってから個室に行く動線

このような家では、声をかける・声が届く“きっかけ”が自然と生まれます。

声かけは、言葉以上の安心材料

心理学では、人が安心を感じる際に、予測できる(不安のない)環境迎え入れられる(受け入れられる)感覚が大切だとされています。
いつも誰かが迎えてくれる帰ったら声をかけてもらえる、この日常があるだけで、子どもの自己肯定感は少しずつ安定していきます。

「おかえり」「今日暑かったね」そのひと言で十分なのです。

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

玄関と廊下を“通路”ではなく“迎えの場”に変える工夫

玄関〜リビングの数メートルをただの移動空間にするか、心を通わせる場所にするかは、空間次第です。

おすすめの工夫はこちら。
・靴を脱いですぐ横に「ただいまベンチ」を置く
・ランドセルやリュックや手提げを置ける定位置をつくる
・玄関からリビングの光が少し見える配置にする
・子どもの作品や家族の写真を飾る

こうした小さな工夫が、「ここに帰ってきた」という実感を生みます。

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

✅イラスト説明:ベンチが置けなくても、壁に飾って玄関を温かみのある空間にしよう。

「リビング階段=会話が増える」ではない

「リビング階段にすれば家族の会話が増える」とよく言われますが、実はそれだけでは不十分なことも多いと考えます。
階段を“通過するだけ”になってしまうと、顔を合わせても会話は生まれません。

大切なのは、立ち止まれる場所を設けること。

小さな棚、観葉植物、季節の飾り。

ほんの数秒でも立ち止まれる場所があると、そこに自然と会話が生まれます。

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

玄関は家族の関係性”映す鏡

玄関が暗く、殺風景で、無言の通過点になっていると、自然と会話も少なくなってしまいます。

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

逆に、
やわらかい照明、
ぬくもりのある色合い、
人の気配が感じられる空間

これだけで、「帰りたくなる玄関」に変わります。
空間が変わると、行動が変わる。行動が変わると、心も変わっていきます。

子どもの心を育てる3メートル「おかえり」から「ただいま」の距離で変わる家族のコミュニケーション【住まいコンサルタントまえうみさきこ】

玄関~リビングまでの数メートルは、親から子へのメッセージ

「おかえり」から「ただいま」までのこの距離は、親から子へ向けた、目に見えないメッセージです。
毎日交わされるそのひと言が、将来、子どもが困ったときに思い出す心の原風景になることもあります。

家は、ただ暮らす場所ではなく心を育てる舞台。
声をかけやすい空間は、自然と会話を生み、信頼を育て、家族の距離をやさしくつなぎます。

今日も、「おかえり」と言える家であること。

それこそが、子どもにとって何よりの安心なのかもしれません。

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