グルメ,和食・日本料理,宜野湾市,本島中部
土鍋でふっくら炊き上げたお米と、京都のこだわりおだし。「米や松倉」でほっこりごはん時間を過ごしてみませんか?(宜野湾市)
宜野湾市大山の住宅密集地に佇む、旧外人住宅を和風に改装した和食店が2014年にオープンした「米や松倉」。初代の実家が宮城県の米農家のため、いまでも宮城県産のひとめぼれにこだわり、店内には米蔵を設け、精米から販売までを行っています。
初代の想いを受け継ぐ3代目オーナー・寺山優子さんの確かな食のセンスと味覚が生み出す料理は、どこか懐かしく、心に静かに残る味わいです。
料理の軸にあるのは、東北の家庭料理。自家製の塩麹や味噌を使い、食材は実際に生産者のもとへ足を運び、顔と顔が見える関係を大切にして選ばれたものばかりです。
目次
あんしんして食べてもらいたい。「米や松倉」のこだわり
専業農家から玄米で仕入れる宮城県産「ひとめぼれ」を店内で精米し、土鍋でふっくらと炊き上げています。
米は、宮城県大和町の「七つ森」と呼ばれる山々が連なる松倉山のふもとで育ったもの。農薬を推奨量の3分の1以下に抑え、害虫被害を一粒一粒選別した、安全性と品質の高さが特徴です。自然豊かな環境で育ったひとめぼれは、甘味と粘り、口あたりのバランスがよく、精米したてならではの風味が楽しめます。
ちなみに店内ではお米自体も販売中!こだわりのお米を自宅でも楽しめるなんて最高です!
「米や松倉」で使用しているダシは、明治36年(1903年)創業、京都の老舗「おだしのうね乃」から仕入れたもの。選び抜かれた天然素材のみを使い、余計なものを加えず、伝統製法で仕上げられています。
素材本来のおいしさを大切にしている「米や松倉」では、その味わいに共感しお味噌汁をはじめとした多くの料理にダシを活かしています。ダシ本来の、豊かな旨みを楽しめるのはうれしいですね。
「米や松倉」のランチメニューは2種類。メインは「沖縄県産塩を使って焼き上げた銀鮭の塩焼き」または「やんばる鶏の自家製塩麴焼き」から選べ、価格はいずれも税込2000円です。副菜3品に香の物、ごはん、味噌汁、甘味が付く定食スタイルで提供されます。
なかでも評判なのが、身はもちろん皮までおいしいと常連客をうならせる銀鮭の塩焼き。敷地内で育てている月桃の葉の上に盛り付けられ、ほのかな香りの余韻も楽しめます。
焼き上げたあと、皮の部分だけを追い焼きしているのが、おいしさの秘訣。さっそく身をほぐし、炊きたての新米と一緒にいただきました。
銀鮭は脂のりがよく、しっかり火をとおしているのにパサつかず、しっとり。鮭そのものの濃厚な旨味を存分に味わえます。
「追い焼き」と聞いていたので、身を食べ終わる前に思わず皮をパクリ。粗塩のザラッとした口あたり、皮に残る脂の旨味、追い焼きによって生まれたパリッとした食感に、思わず食欲が刺激され「うわ、うまい!」と声がもれてしまいました。
気づけばお米も一緒に頬張り、至福の時間を過ごしました。
住宅街に佇む「米や松倉」の外観
「米や松倉」は、住宅街のなかに隠れるように佇む和食店です。はごろも保育園と子育て支援センターなんくるの、青とオレンジの看板のすぐ右側を入った先にあります。
視線を右下に向けると、「米や松倉」と白字で記された木の看板が見えてきます。そのまま奥へ進むと、茶色の煙突のようなオブジェが目に入り、旧外人住宅を改装した店舗へとたどり着きます。
初代店主の出身地・宮城県の田園風景を感じさせる、いいものに囲まれた店内
入口を開けるとすぐに目に留まるのが、宮城県から運ばれてきた家具の上に飾られた稲穂と、店内で精米されたお米。静かに、来店客を迎えてくれます。
「米や松倉」は、かつて初代店主が沖縄へ移住した際、手を差し伸べてくれた地域の人々へのお礼として、実家で作ったお米を贈っていたことからはじまりました。沖縄で暮らしながらも、故郷・宮城の田園風景を身近に感じてほしい想いから、宮城県の調度品や家具を沖縄へと運んだそうです。
店内に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、杉の木が放つ凛とした存在感です。カウンターの先には、木彫りの「米や松倉」という置物が静かに佇み、厨房の入り口には、店のしるしが入ったのれんが掛けられています。空間の随所に木の温もりが感じられ、これからはじまる一皿一皿への期待が、自然と高まっていきます。
無機質なコンクリートの空間に、やわらかな木目と外から差し込む自然光、そして店内の暖色ライトが重なり合い、忙しい日々を忘れさせてくれる落ち着いた雰囲気を生み出しています。お一人でも、グループでも、それぞれが肩の力を抜きながら、ていねいに炊かれたおいしいお米に心まで癒される時間を過ごせます。
店内の奥には6人用のテーブル席もあり、家族での食事や友人同士の会話を楽しみながら、ゆったりと食事ができる空間も用意されています。
お子さま連れでも安心して利用できるお座敷席があり、店内はどこかほっとする空気感。
小さい頃から、店内で精米したお米のおいしさに触れられるのも魅力です。思わず、わが子にもこのごはんを食べさせたいと思いました。
自家製塩麴漬けやんばる鶏肉も「米や松倉」のおすすめ!
「米や松倉」のメインを選べるランチは、「鮭」か「鶏」から選べます。
中央の主菜が変わるだけで、副菜三品に香の物、ごはん、味噌汁、甘味が付く定食スタイルは共通。
今回は、鮭だけではなく鶏もいただきました!
自家製塩麹に漬けられた「米や松倉」の鶏肉はとてもやわらかく、ジューシーさが引き立ちます。お皿に添えられた広島県産レモンや柚子胡椒をお好みで合わせると、味わいの楽しみが広がっていいですね。
私のおすすめは柚子胡椒です。柚子の爽やかな香りと風味、唐辛子のピリッとした刺激が、塩麴漬けによって旨味を引き出された鶏肉とよく合い、後味まで心地よく楽しめます。ポイントは、柚子胡椒の量!お箸の先ですくって、ちょこんとのせる程度にし、あくまでも主役は鶏肉。柚子胡椒は、そのおいしさを引き立てる名脇役として添えるのがおすすめです。
お米と相性抜群の「米や松倉」3代目オーナーの手作り副菜とごはんのおともをご紹介!
昔から食べ歩きが好きだったという3代目オーナー・寺山優子さん。気になる食材があるとお取り寄せをしたり、気になるお店には足を運び、食べた感想をブログに綴っていたそうです。
寺山さんは、食材選びにとても真摯です。生産量を誇る産地には、実際にその土地まで足を運び、自分の舌で確かめて「おいしい」と感じたものだけを、沖縄に持ち帰り提供しています。
今回いただいたのは、ごぼうの生産量日本一を誇る青森県産の極太ごぼうを使った、かつお節たっぷりの土佐煮。なんと直径およそ3センチメートル!思わず硬さを想像しましたが、口にすると香り高く、シャキシャキとした食感で驚くほど食べやすい一品でした。
新米と合わせると、お米の粒立ちや甘みがより際立ち、味の染みたごぼうとの相性のよさを改めて感じます。
次に「米や松倉」の自家製茶碗蒸し。使う素材が一つ変わるだけでも、全体の塩梅を見直しながら仕上げているそうです。具材は椎茸と塩麹漬けの鶏肉、仕上げにいんげんを添え、彩りも美しく整えます。昆布と鰹の旨味をていねいに引き出したダシで、口あたりはとろりとなめらか。やさしい味わいが印象に残る一品です。
そしてメインの銀鮭や鶏肉が盛られた皿の上には、ちょっとしたごはんのおともも添えられています。これは、味噌汁のダシに使った昆布・鰹・イワシ・鯖の節を再利用して作られたもの。じっくり煮込まれた素材の旨味が詰まった、しっとりとした口あたり。炊きたてのお米と重なることで、口のなかにじゅわっと広がります。
さらに寺山さんが考案した白和え。三陸ひじき、にんじん、小松菜を合わせ、赤いクコの実がさりげなく上品さを添えています。にんじんとひじきのシャキシャキとした食感に、白和えと小松菜のやわらかさが調和し、気づけばあっという間になくなってしまう一品でした。
沖縄ではあまりなじみのない赤カブのお漬物。赤カブを柚子塩麴に漬け込み、シャキシャキとした食感を生かしています。柚子の爽やかな香りと、塩麴ならではのまろやかな酸味が加わり、ごはんが自然と進む一品です。
最後は梅。生産量を誇る和歌山県にて、女将・寺山優子さんが農園で梅狩りをし、ご自身で漬けた紀州南高梅を試食させていただきました。梅本来のすっぱさをダイレクトに感じる、すっきりとした仕上がりです。味わいだけでなく、皮が薄く果肉がやわらかいのも特長。
お米と合わせると、梅のきりっとした塩味のあとに、お米の甘さがふわりと広がります。
「米や松倉」から発信するお米のおいしさと日本のいいもの
3代目オーナー・寺山さんが大切にしているのは、お米とおだし、そしてできる限り無添加であること。店内で精米した新鮮なお米を土鍋で炊き上げ、ダシの旨みを引き出した料理を、一皿一皿ていねいに仕上げています。素材の季節感を生かした味わいが、日常のなかにささやかな特別感を添えてくれます。
沖縄は、米づくりの風景が日常にある土地ではありません。水を張った田んぼが太陽を映し、実りの季節に稲穂が揺れる光景を、すぐに思い浮かべる人は多くないでしょう。
それでも「米や松倉」には、米とともにある暮らしの原風景があります。宮城の田んぼで育まれてきた初代店主の想いが、店内のしつらえや空気感として、静かに息づいていました。
寺山さんは、「米や松倉のごはんを食べて、ほっとしてほしい」と語ります。先代の想いを受け継ぎながら、日本のいいものを、より多くの人に伝えていきたいとも話してくれました。
米に加え、ダシや日本の伝統的な食文化である発酵にも目を向け、「米や松倉」では味噌づくりや酵素シロップ作りなどのワークショップも開催しています。店で味わうだけでなく、家庭でもいいものを楽しんでもらえるように。「米や松倉」から、日々の暮らしへと、その想いが静かに広がっています。
「米や松倉」で、お米と選りすぐりの日本のいいものに出会ってみませんか。
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