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西表島に移住1年目、文化や歴史、伝統と向き合い受け継ぐ『教えて島暮らし 〜沖縄移住者の声〜』
東京から沖縄本島の那覇まで南西に約1,600km、那覇からさらに南西に約400~500km離れた場所に位置する八重山諸島は、石垣島を中心とした12の有人島と多くの無人島から構成されています。
この連載では、石垣島を中心に八重山諸島の島々に暮らす移住者から「島暮らし」のリアルな体験談や思いを紹介していきます。
今回は、東京から石垣島へ、そして西表島へと移住し地域おこし協力隊として活動している長尾紘一(ながお こういち)さん・30歳と石垣島出身で結婚を期に西表島に移住した彩さん・29歳夫妻を紹介します。
目次
東京から石垣島、そして西表島へ
Q:出身地はどこですか?移住して何年目になりますか?
A:東京都杉並区。石垣島に1年、西表に1年弱で次の春で八重山としては丸2年になります。(紘一さん)
A:生まれ育ちは石垣島です。昨年の7月に西表島へ移住し、現在は移住して1年目になります。(彩さん)
Q:家族構成を教えてください。
A:夫婦2人です。
地域起こし協力隊と司会業
Q:お仕事は何をしていますか?
A:竹富町の地域おこし協力隊として、一般財団法人西表財団というところに勤めています。業務としては、環境保全や観光管理に関する仕事をしています。(紘一さん)
A:石垣島を中心に、フリーランスで司会業をしています。人前式や披露宴、郷土芸能の舞台、島内外でのイベントや式典など、さまざまな場面で司会を務めています。(彩さん)
Q:お住まいはどうしていますか?
A:アパート住まいです。
手つかずの豊かな自然との繋がりを大切にする暮らしに魅せられて
Q:移住した理由を教えてください。
A:初めて西表島を訪れた際に触れた「手つかずの豊かな自然」や、その自然との密接な繋がりを大事に暮らしている人々の暮らし・歴史・文化・考え方に感銘を受け、そこで暮らす人々の一員になりたいと感じたことがきっかけです。(紘一さん)
A:彼と初めて観光で西表島を訪れた際に、自然と人が密接に共存している暮らしの姿に触れ、私たちもこんな生き方をしたいと思ったことがきっかけです。また、私の父方のルーツが西表島西部の祖納集落にあり、行事のたびに島へ帰ってきていました。そのたびに「おかえり」と迎えてくれる人たちの温かさや、自然に対して“人はお邪魔させてもらっている存在”というリスペクトの気持ちを大切にする祖納の人々が大好きでした。自分のルーツである祖納の文化や歴史、伝統、言葉を次の世代へ継承していきたいという想いが、移住を決意した大きな理由です。(彩さん)
Q:島の魅力を教えてください、それはなぜですか?
A:山や海などの豊かな自然。ただ、完全に手つかずというわけではなく長い歴史の中で人と自然が共存してきた歴史があり、今でも自然を大切に思いやる人々が多く、その歴史や文化を大切に暮らしているところです。
自然への思いやりと同様に、周囲の人への思いやりもあり、移住してきた私たちのことも温かく歓迎してくださり、島や地域のことを優しく教えてくれるため居心地が良いです。(紘一さん)
A:移住してまず感じたのは、島が開発されすぎていないことです。道路は島の半周ほどがほぼ一本で、時期によっては遠回りや不便さを感じることもありますが、それも自然と共に生きるためだと思えば、特別なことではありません。
また、水源が豊富で水道水がおいしいことも、日々の暮らしの中で嬉しく感じる魅力のひとつです。(彩さん)
自然のサイクルの中に身を置く暮らし
Q:移住してよかったことを教えてください。
A:ゆったりとした穏やかな時間を過ごせていることです。人口密度や車の数なども程よく、日常生活でストレスが全くと言っていいほどないです。朝は鳥の囀りで目を覚まし、歩いて数分の海辺でのんびりしたり、夜にはカエルや虫の合唱で癒されています。
また、島の皆さんが温かく迎えてくださったことで、自分たちのペースで地域の行事などに楽しく参加させてもらっています。(紘一さん)
A:家にいても、毎日森林浴をしているかのように空気が澄んでいて、動植物の種類がとても豊かなところです。
身近に天然記念物を見ることができ、自然のサイクルの中に身を置いて暮らせるので、心身ともにとても穏やかに過ごせています。
また、自分のルーツである祖納集落の文化や伝統に、石垣島にいた頃よりも、より深く触れられていることも大きな喜びです。婦人部の方にズーシーの作り方や、民具作りの達人にアダン葉ぞうりの作り方を教えていただくなど、先人の知恵を日常の中で学べることは、移住して本当によかったと感じる瞬間です。(彩さん)
西表島での暮らし
Q:移住して困ったことはありますか?
A:島内における住居が不足しており、住居の選択肢が少ない。これから家族が増えたりした場合のことを考えると、より難しくなると感じています。(紘一さん)
A:生ゴミの処理です。
島では堆肥化のため、各集落に数か所、生ゴミ専用のゴミ捨て場がありますが、ハエが大量発生していたり、強い臭いがあったりします。自宅から捨て場まで車で行かなければならないこともあり、高温多湿な島の環境ではなかなか大変だと感じています。(彩さん)
Q:地域の行事に参加していますか?
A:参加させてもらっています。昨年は、豊年祭や旧盆、節祭などに参加させてもらいました。(紘一さん)
A:参加しています。年度ごとに年間行事表が決まっており、その行事の多さには最初は驚きましたが、夫婦で相談しながら、自分たちの生活を大切にしつつ、無理のない形で参加しています。(彩さん)
Q:島の医療はどうですか?
A:あまり通院することはないですが、診療所のお医者さんはとても優しい方で、日常でお会いした際にも健康に気遣ってくださいます。
Q:本土に帰ることがあればどのくらいの頻度で帰りますか?
A:年に2~3回程度帰省しています。(紘一さん)
Q:買い物はどうしていますか?
A:食料品は石垣島で買い出しを行い、日用品はネットショップ、緊急で必要なものは島内の商店で購入していて、そこまで不便は感じていません。一方、石垣島での買い出し時にはスーパーなどから西表島のフェリーターミナルまで無料で運んでくれる「船積みサービス」に大変助けられており、場所によっては存続が難しいなどの話も耳にすることがありますが、続けてもらえる良い仕組みがないかと考えています。
脈々と受け継がれてきた文化や歴史、伝統を繋いでいく
最後に、今後の目標や、やってみたいことを二人に聞きました。
「静岡に住んでいた際に行っていた釣り船を細々とでもやれたらいいなと思っています。また、文化や歴史を伝える活動も行い、西表島の自然や文化の魅力を伝えていけたらうれしいです」(紘一さん)
「八重山諸島を代表する司会者として、文化や歴史、伝統を伝えていける存在になることが目標です。その基盤となるのが、西表島での暮らしだと感じています。この島でしっかりと地に足をつけ、根を張りながら、先人たちが紡いできたものを学び、未来へとつないでいきたいです」(彩さん)
二人の西表島での暮らしは、まだ始まったばかり。西表島の広大な自然の中で、土地のエネルギーに包まれながら、脈々と受け継がれてきた文化や歴史への敬意を胸に、これから二人の「島暮らし」が紡がれていくことでしょう。
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