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新学期前に整えておきたい!「美しい家」より「疲れない家」で家庭を明るく~まえうみさきこのお部屋の上手な使い方」~
OKITIVE 読者のみなさん、 こんにちは!
~幸せのカギはお部屋しだい!~建てる前の一級建築士~まえうみさきこです。
毎回「お部屋の上手な使い方」をお伝えしてます♪
新学期が近づくと、多くの方から「今のうちに家を片付けなきゃ」「収納が足りなくて、、、」という切実なご相談をいただきます。
新しい生活を前に、住まいを整えて心機一転したいというお気持ち、とてもよくわかります。
しかし、多くの方が陥りがちな罠があります。
実は、新学期に家が荒れる原因の多くは「収納不足」ではありません。本当の問題は、家の中に「迷わなくていい場所」がないことにあるのです。
目次
忙しい朝、私たちを疲れさせているのは「モノ」ではなく「迷い・判断」
新学期の朝の光景を想像してみましょう。
「体操服はどこ?」「上着は持っていくべき?」「このプリント、今日出すんだっけ?」・・・。
家族全員が、矢継ぎ早に小さな判断を繰り返しています。
心理学では、これを「判断疲労」と呼びます。
人間が一日にできる判断の回数には限りがあり、朝のうちにそのエネルギーを多く使ってしまうと、心の余裕がなくなり、イライラが爆発しやすくなります。
新学期のバタバタは、「朝から考えすぎている」から起きているのかもしれません。
「良かれと思って作った収納」が、迷いを生む原因に
意外かもしれませんが、収納を増やした結果、かえって家が散らかるケースは少なくありません。
それは、片づけるときに「選択式:どこに入れようかな?」といちいち考えなきゃいけないからです。
たとえば、
•「この引き出しだっけ? あっちだっけ?」
•「あとで使うから、とりあえずここに置く? それともちゃんとしまう?」
•「きれいに並べて入れる? それとも適当でいい?」
こんなふうに、「選ぶこと」や「考えること」が多いと、人間はめんどくさくなって「あとでいいや!」と出しっぱなしにしてしまいます。
特に新学期のような変化の激しい時期に、子どもに複雑な「選ばせる収納」は逆効果にすらなり得ます。
事例①プリントが迷子にならなくなった家
ある小学高学年のお子さんがいるご家庭では、以前はプリントが常にリビングのテーブルに放置されていました。
その家には立派な引き出しも書類トレーもありましたが、「今はどこに置くのが正解か」を親子で毎回判断しなければならず、結局「あとで」と放置され、翌朝に「プリント出した!」「知らない!」という親子喧嘩が勃発していたのです。
そこで私が行ったアドバイスは、まずは収納を増やすことではなく、玄関近くに「A4サイズがそのまま入る箱を1つだけ」置くことでした。
ルールはシンプル。「学校から帰ったら、中身を読まなくても、仕分けなくても、全部ここに入れること」。
結果は劇的でした。子どもは迷わず入れ、親は探す手間が省け、朝の確認が一瞬で終わるようになりました。プリントが整頓されたわけではありません。「どこに置くか」という判断を消しただけなのです。
「この場所に必ずある。」それだけでも、ストレスが劇的に変わります。
事例②上着の置き場で怒らなくなった家
春先の気温差が激しい時期、帰宅した子どもの上着がソファや床に脱ぎ捨てられることに悩む親御さんも多いでしょう。
子どもにしてみれば、「洗うのか、また着るのか、クローゼットか、椅子か」という判断が面倒なのです。
このご家庭では、玄関とリビングの境目に「上着専用のフックを3つ」設置しました。
ルールは1つ。「洗うかどうかに関係なく、上着はここ」。
畳む必要も、選ぶ必要もありません。
これだけで、子どもの行動は自然に変わり、親が注意するストレスも消えました。
思考を不要にすることが、行動を整える近道なのです。
子どもは「片付けられない」のではない
「うちの子、何度言っても片付けができなくて」と嘆く前に、一度家の中を観察してみてください。
•引き出しが多すぎる
•分類が細かすぎる
•ルールがその時の気分で変わる
大人でも迷うような複雑な構造で、子どもに「ちゃんと片付けなさい」というのは酷な話です。
子どもに必要なのは、高度な整理能力ではなく、「迷わなくていい仕組みづくり」です。
仕組みさえ整えば、子どもは驚くほどスムーズに動けるようになります。
新学期は「増やす」より「減らす」
新学期に向けてやるべきことは、収納家具を買い足すことではありません。
1.置き場所を減らす
2.迷わないように、選択肢を減らす
3.モノを置く流れを決める(特に帰宅時)
「ここに置く」「ここに戻す」
家の中に、このような「考えずに済む場所」をいくつ作れるかが、新学期を穏やかに乗り切る鍵となります。
新学期を乗り切るには、「美しい家」より「疲れない家」へ
住まいづくりの本質は、見た目の美しさよりも「住む人が疲れないこと」にあります。
新学期、新しい環境に適応しようと精一杯な家族にとって、家の中でも判断を強いられることは大きな負担です。
建築や間取りの視点でも、子育て世帯の住まいに重要なのは「美しい動線」よりも「思考を使わない動線」です。
収納を増やす前に、必ず立ち止まって考えること。「この家には、迷わなくていい場所があるだろうか?」
整えるべきはモノの量ではなく、「判断の量」。
判断を減らす工夫ひとつで、新学期の家庭の空気は、驚くほど軽やかで明るいものに変わりますよ。
いかがでしたでしょうか。
まずは玄関先(またはリビングの入口)に「放り込むだけの箱」を1つ置くことから始めてみませんか?
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