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OTV報道部

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東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

東日本大震災から2022年3月11日で11年が経過しました。
震災では津波に飲み込まれただけでなく、低体温症により命を落とした人もいます。
温暖な沖縄でも低体温症のリスクはあり、避難先で体が冷えないよう備えることも必要です。岩手めんこいテレビから届いたリポートと合わせ、防災に関する記事をお伝えします。

東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

東日本大震災の時の状況をこのように語る石木(いしき)幹人(みきひと)医師は、震災当時、陸前高田市の県立高田病院で院長を務めていた。

市の中心部にあった当時の高田病院。
入院患者がいた最上階の4階まで津波が押し寄せ、160人ほどが取り残された。

東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

取り残された人たちは4階と屋上の間のわずかなスペースで風をしのぎ、救助まで一夜を明かした。

石木幹人医師
「風が大丈夫という場所に160人全員は入れない状態」
「外に出ていても大丈夫な人たちが30人から40人屋上の外にいた」

当時の気象データによると沿岸南部の気温は日中で4℃から7℃ほど。
観測施設が被災して日没後の気温は記録されていないが、凍えるような寒さだったと話す。

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石木幹人医師
「人肌が温かい。隣に誰かいるとその人の体温が暖房のような感じだった」

入院していた患者の中には津波で水に濡れ、体力が奪われたことで朝までに命を落とした人もいた。

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石木幹人医師
「(患者のうち)39人の生存者を屋上に連れて行き、次の日の朝までに3人亡くなっている。(この中には)終末期の患者もいたが、その人もその日のうちに亡くなることはたぶんなかった」

警察庁によると、東日本大震災の犠牲者について9割は水に溺れて亡くなったとされている。

東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

しかし、当時、統括DMATとして入院や搬送の調整など医療の指揮を執った岩手医科大学の眞瀬(ませ)智彦(ともひこ)教授は「津波で体が濡れ、低体温症を発症した例もあったのではないか」と指摘する。

岩手医科大学 眞瀬智彦教授
「当時の水温を考えると8℃から10℃くらい。(その水温では)生存時間が1時間半から2時間というデータがある。溺死ではなくて低体温症で亡くなった数も結構な人数、東日本大震災の時に存在したのではないか」

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そのうえで、低体温症を発症するケースを次のように説明する。

岩手医科大学 眞瀬智彦教授
「避難所、自宅も含めて環境が悪いと低体温症になる可能性はあるし、津波にのみ込まれると衣類が濡れるので熱が濡れた着物に取られてしまい低体温症になりやすい」

国が2021年12月に公表した被害の想定では、冬に巨大な地震と津波が発生した場合、屋外の避難先で低体温症となり、死亡するリスクのある人が岩手県内で最大1万4千人に上ると試算されている。

低体温症は温暖な沖縄でも起こりうるのか。

東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

第十一管区海上保安部の潜水士山本亮輔さんは次のように話す。

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第十一管区海上保安部 山本亮輔潜水士
「(低体温症の事案は)令和元年度から8件発生しています。水上オートバイの転覆や遊泳中の事故あと海中転落等が原因となっています。いずれの事案も軽傷ではあります。しかしながら冬場の事案のみならず、夏場でも低体温の事案は発生しております。」

震災があった11年前、宮城県にある第二管区・宮城海上保安部で勤務していた山本さん。
冷たい海に潜り、捜索活動に従事しました。

第十一管区海上保安部 山本亮輔潜水士
「やはりテレビとか、ソファとか、普段海中にないものがあったっていうのは衝撃でしたね」
「とにかく潜って思ったのが、やはり行方不明になっている方を見つけたい」
「とにかく見つけて、家族の元に返してあげたいということを思いながら、毎日潜っていました」

東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

東日本大震災の現場を見てきたからこそ、事前の備えと防災意識を高めることの重要性を力説する。

第十一管区海上保安部 山本亮輔潜水士
「本当にいつあのような震災が来るかわかりませんので、家に備蓄ですね、食料はもちろんのこと、段ボールとかやっぱり断熱効果が高いので、災害の時は備えたものを使って、くるまったりすると保温にもつながるかなと思います」

2022年1月、南太平洋のトンガ諸島付近の大規模な噴火による津波が県内にも到達。
多くの人が車で高台に避難し、寒さをしのぎながら一夜を明かした。

東日本大震災から11年 低体温症で命を落としたケースも 温暖な沖縄でも備えは必要

食料のほかにもカイロや毛布を備蓄しておくなど、寒さ対策をすることも命を守ることに繋がる。

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