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大城 良太

大城 良太

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

大城良太アナウンサー(OTV 沖縄テレビ)の良TIME

目次

沖縄県内に約1100人のヤングケアラー

皆さんは「ヤングケアラー」という言葉を知っていますか?
ヤングケアラーとは、病気や障害のある家族の介護や幼いきょうだいを世話する子どもの事を言い、沖縄県内には少なくともおよそ1100人いると県の調査で分かりました。

一方で、家庭内のことで当事者が声をあげにくく、なかなか実態が見えてこないのも現状です。
そんな中、ヤングケアラーについて広く知って貰おうと2年半難病に苦しむ父親を介護してきた高校生が勇気を出して取材に応じてくれました。
高校生の体験からヤングケアラーの実情と支援のあり方について考えます。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

『誰かの助けになりたい』

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

今回取材を受けてくれたのは、豊見城高校の二瓶花菜さんです。
両親との3人家族の二瓶さんは中学3年の頃から難病を患う父親の介護をしていました。

豊見城高校 二瓶花菜さん
「介護を辞めたいけど辞められないし、だからといって父に酷い言葉をかける事もできないので、どうすれば気持ちを消化できるのだろうとずっと思いながら生活していました」

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

父親が他界する2021年2月までのおよそ2年半にわたりヤングケアラーとして過ごした経験を伝える事で「誰かの助けになりたい」と弁論大会に出場しました。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

豊見城高校 二瓶花菜さん(弁論大会の原稿を抜粋)
「コロナの休校期間中、仕事をしている母は休暇が取れず、日中は私だけの自宅介護が始まりました、それは想像以上に辛いものでした」
「食事の工夫や身の回りの世話に始まり、お手洗いの介助などもしていました。休校があけた後も夜中に痛みで起きた時の世話や救急搬送の付き添いは深夜に及び学校を欠席する事もありました」

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

Q.その時期はどんな想いで介護していた?

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

豊見城高校 二瓶花菜さん
「本音を言えばずっと辞めたいと思っていて、子どもが家族のケアとか世話とか介護とか全部『当たり前』という一括りの概念で終わってしまっているところがあるので、投げだしたくても投げ出せないし、だけど嫌なものは嫌なのでストレス溜まる」

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

県内に1088人のヤングケアラー 5割が学校生活に影響

ヤングケアラーとは病気や障がいのある家族の介護や幼いきょうだいの世話をしている
18歳以下の子どもたちの事を言います。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

沖縄県が教職員を対象にした調査では県内には少なくともヤングケアラーと思われる子どもがおよそ1100人いて、その半数が学校生活に影響が出ていることがわかりました。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方
沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

ヤングケアラーを調査する沖縄大学 名城健二教授
「おそらく実態としてはこの倍、3倍はいるかと思います。子どもたちは家が大変だとそれを隠そうという傾向もありますので、そうなると実は学校も周りの機関も気づきにくい。」

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

2021年11月の調査でも学校生活に影響が出ている子とスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーとの連携が課題として挙げられています。

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二瓶さんは一度、周囲の大人に相談した事があるといいます。

豊見城高校2年 二瓶花菜さん
「周囲の大人は辛いけど頑張ってと一括りで片付けられてしまったり、『どうすればいい?』と聞かれるんですけど私も分からないので相談しにくくなっていった事があったんですよ。
その点で言えば私の友だちはただ話を聞いてくれたのですごく助かったのがありました」

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

支援に『繋げる』ため動き始めた学校現場

児童・生徒が発する小さなSOSに気づくため、学校現場も動き始めています。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

県立高校の教育相談の担当者で作るカウンセリング研究協議会はヤングケアラーについて理解を深めようと研修動画を作成しインターネット上で全ての高校の職員が観られるようにしました。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

研修を受けた 宮里真季子 先生
「ヤングケアラーと一言で片づけないで大事なのは1人1人の家庭の背景とかその子の裏にある実情をちゃんと理解してあげて寄添ってあげることが1番大事だなと感じています」

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

県高等学校カウンセリング研究協議会 儀間昌子 会長
「日本にはたくさんの福祉サービス行政サービスがあるんだけどなかなか家庭が繋がる力がないという事も言えると思います、なので学校では福祉行政の人に来ていただいてこういう支援も受けられますよというふうに繋ぐ役目、『繋ぐ』というのがキーポイントなのかもしれません」

転機

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

難病の父親を介護していた二瓶さんの転機も「介護士」と繋がれた事でした。

父親が要介護3に認定され介護サービスが受けられる様になったことで家族に心のゆとりが出来たといいます。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

二瓶花菜さん
「介護の方とか看護の方が来てくれていたおかげで自分の時間ができていたのが無くなっていたらと思うとすごくやっていけないだろうな・・・やっていけない中でやっていかないといけなくなるんだろうなというのが一番思います」

大城良太アナウンサー
「これから必要なサポート、支援というのはどんな事だと思いますか?」

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

二瓶花菜さん
「私の場合は父が難病だったので介護保険とかの支援が受けられたんですけど、ヤングケアラーは多種多様で小さい子のお世話をしていたりとかいろいろ理由があったりするので、ヤングケアラー自体にスポットを当てた制度がこれから必要になっていくんじゃないかなとすごく思います」

求められる支援の形

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

ヤングケアラーからのSOSを待つのではなく、積極的に手を差し伸べ行政、教育、福祉など様々な分野が横断的に支援していく体制が求められます。

二瓶さんは自身の体験から同じように苦しむヤングケアラーの力になりたいと看護の道を志しています。

弁論の舞台に立ったのもその決意の表れです。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

二瓶花菜さん(弁論大会の原稿を抜粋)
「もちろん家族は大切な存在です、しかし自分も大切な存在なのです
今後、「自分はヤングケアラーだ」といえる環境を作りケアする家族を持ってしまったことでやりたい事をできなくなるのではなく、無理なく両立でき、いい経験をしたと思える社会になってほしいです」

二瓶さんがヤングケアラーに伝えたい言葉

二瓶さんは今苦しんでいるヤングケアラーに対し「どうにか周りを頼ってほしい、
理解してくれない大人もいるが理解して話を聞いてくれる人もいるのでまずは頼ってほしい」と話しています。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

取材後記

まだまだ県内のヤングケアラーの実態が見えてこない中で今回二瓶さんが話してくれた体験や想いは今後の支援を考えるうえでとても貴重だと感じました。
今後も継続的に取材し、ヤングケアラーの子どもたちがSOSを発しやすい環境を作る一助になればと思います。
そして家族を介護していても進学や就職など夢を諦めないでもいい社会になればと強く感じました。

沖縄のヤングケアラーの実情と支援のあり方

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