カレー,グルメ,本島南部,那覇市
下北沢のDNAが沖縄で開花。スパイスと感性が共鳴する新たなカレー体験「Spice Studio るゥ~」(那覇市)
国際通りからほど近い場所に、ひっそりと、しかし確かな存在感を放つ店があります。知人から「とにかくおいしいから絶対に行ってほしい」と背中を押され、半信半疑で足を運んだその場所の名は『Spice Studio るゥ~』。
扉を開けると、スパイスの香りと共に、どこか自由でクリエイティブな空気が流れています。
それもそのはず、ここは単なるカレー屋ではありません。カレー屋とレコーディングスタジオ、そして酒場という3つの顔が溶け合う、クリエイターの秘密基地のような場所なのです。
目次
下北沢カレーフェスの発起人が、なぜ沖縄へ?
店主の萩原さんが沖縄で独立する前にいたのは、全国的にもカレー激戦区として知られる東京・下北沢。
単なる料理人ではありません。毎年、街を挙げて行われる有名イベント「下北沢カレーフェス」を立ち上げた発起人のひとり。現在も運営に関わっています。
「下北沢で10年以上やってきて、自分の中で一つの区切りが見えたんです。新しい場所でチャレンジしたかった」
そう語る萩原さんが新天地に選んだのが、ここ沖縄でした。
自身の愛するカレーを提供しながら、奥には本格的なレコーディングスタジオを併設しています。ミュージシャンがレコーディングの合間に極上のカレーを食べ、お酒を楽しむ。そんな夢のような場所を形にしたのが、この『Spice Studio るゥ~』なのです。
「少しずつ、全部食べたい」欲張りな願いを叶えるハーフサイズの哲学
メニューを開くと、どれも萩原さんの感性が光る独創的なラインナップが並んでいます。定番以外にも、季節の素材を反映させたオリジナルカレーが時折登場することもあり、訪れるたびに新しい発見があるのが『Spice Studio るゥ~』の魅力です。
昼はカレー屋、夜は居酒屋。でも昼と夜でメニューの違いはありません。昼でも居酒屋メニュー、夜でもカレー、どちらも注文できます。
でも一人だと悩ましいのが、カレーひと皿でお腹がいっぱいになってしまう」こと。萩原さんは、そんなお客さんの心理をていねいに汲み取っています。
なんと、全てのカレーにハーフサイズがあるのです。カレーと居酒屋メニュー、いや、カレーを数皿食べ比べしたい!そんなワガママにもしっかり応えてくれています。
ハーフサイズのご飯は100g。数字だけ聞くと小ぶりに思えますが、運ばれてきた実物を見て驚きました。しっかりとしたボリュームで、満足度がとても高いのです。
「食べきれるかな?」と一瞬不安になりましたが、一口食べればその懸念は吹き飛びます。スパイスの魔法に引き込まれるように、気づけばスプーンが止まらなくなり、サラッと二皿完食。三皿召しあがる方もザラだそう。
居酒屋メニューをトッピングして。カレーと一緒に味わっても余裕でした。
カレー食べ比べの際にオススメドリンクは「ラッシー」。ヨーグルトの円やかな酸味が、カレー同士の味わいを中和してくれます。
レモンに梅?独創性の塊「特製グリーンカレー」は女性人気NO.1
看板メニューの「おきなわカレー」「シモキタカレー」は、SNSなどで既に取り上げられているので、ここでは女性人気NO.1という「特製グリーンカレー」をご紹介。これでハーフサイズです。
口に入れると、青唐辛子の辛味とココナッツ風味がまず訪れますが、驚くほどすっと爽やかに引きます。
これは、ルーの中に忍ばせたレモンの皮の隠し味のなせるワザ。辛いのに爽やか。体験しないと分からない味わいです。
添えられた生レモンを搾ると、酸味の味わいがさらに深まります。酸味と書いていますが、酸っぱくない不思議。
ルーを埋め尽くさんばかりのチキンは、木べらで触れればスッと崩れるくらい徹底的に煮込まれています。このテクスチャーが、スプーンですくうたびにルーと完璧に一体化。口の中で柔らかくほどけます。
萩原さんが提案するのは、「カレーはこうあるべき」という枠にとらわれないスタイル。いろいろな料理に触れながら常に「これ、カレーにできないかな」と考えているそう。
それは付け合わせにも表れています。一見福神漬けに見えますが、実は……「カリカリ梅」!
「え?梅?」と思ったのですが、いざ一緒に食べてみると、これがまた合う。新しい発見です。煮込まれたチキンの柔らかな食感の中に、梅のカリカリとしたアクセントと和の酸味が加わり、スパイスの輪郭がより鮮明に浮き上がります。
ひとつの皿で3つの味変。そのまま、レモンを絞って、カリカリ梅を合わせて……と一皿で何度も表情が変わる体験が楽しめるカレーになっているのです。
ちなみに、フルサイズだとこう。ルーも、レモンも、トッピングもより充実します。
洋食屋仕込みの焦がしチーズ「カレー屋さんのオムライス」
次に、隠れた人気メニューという「カレー屋さんのオムライス」。こちらもハーフです。
フワトロ卵が乗った見た目は、王道のオムライスに見えます。しかし、中に隠されているのはケチャップライスではなく「カレーリゾット」。カレールーは「シモキタカレー」と同じものを使っています。
リゾットの上にはたっぷりのチーズがトッピングされているのですが、見てください、この断面。リゾットと卵の間に焦げ目があるのが分かるでしょうか。
実はこれもチーズ。表面をバーナーで炙った「焦がしチーズ」なんです。香ばしいアクセントがたまりません。
フルサイズの場合は、スキレットで提供。
卵のふわとろ感、リゾットの深いコク、そして炙りチーズの芳醇な香り。これらが口の中で重なり合う幸せなひと時を味わえる「カレー屋さんのオムライス」。ありそうでない味をぜひ楽しんでほしいです。
「るゥ~」に込められた、遊び心とカレー愛
一度聞いたら忘れられない『Spice Studio るゥ~』という店名。その由来を尋ねると、萩原さんのチャーミングな一面が見えてきました。
実は萩原さん、下北沢カレーフェスを立ち上げただけでなく、公式キャラクター「カレーマン」としても活動されており、そのキャラクターの口癖(語尾)が「~だルー」「~するルー」といった、カレーの「ルー」に掛けたものだったのです。
「自分の店を持つのなら、その愛着ある響きを形にしたい。せっかくなら沖縄の島言葉のような、のんびりとしたニュアンスも込めて……」
そうして名付けられたのが、この『るゥ~』。 「ルー」という言葉に、カレーへの情熱と、沖縄の空気感、そしてスタジオ(Studio)という表現の場を掛け合わせた、萩原さんにしか作れない唯一無二の屋号。「カレー屋とレコーディングスタジオを一緒にやる」という自身の夢を叶え、音楽と食が交差する場所を作っています。
遊び心満載の店名に隠された、一切の妥協を許さないスパイスへの情熱。那覇を訪れた際は、ぜひこの「新しいカレー体験」の扉を叩いてみてください。そこには、お腹も心も満たしてくれる、温かくて刺激的な時間が待っています。
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