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くらしと経済編集部

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少子高齢社会における“お墓事情”

小林
こんにちは。小林美沙希です。
沖縄は今、シーミーの季節で、お墓参りの時期を迎えていますね。今日は、最新の「お墓事情」について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

少子高齢社会における“お墓事情”
少子高齢社会における“お墓事情”
少子高齢社会における“お墓事情”

宮里
よろしくおねがいします。
お墓といえば、沖縄県では個人所有のお墓が馴染み深いかと思いますが、お墓の種類は大きく分けて、4つあります。
お寺の敷地内にある「寺院墓地」、法人が運営する「民営霊園」地方自治体が運営する「公営墓地」、そして個人の土地に建てられる「個人墓地」です。沖縄県は「個人墓地」が多い地域で、個人墓地件数は2010年からおよそ10年で1.5倍程度増加しています。これは、所属する寺院に墓を建てる檀家制度になじみが薄いことや、公営墓地の空き区画が少ないことなどの事情があるようです。

小林
沖縄の個人墓地は増え続けているんですね。

宮里
そうなんです。しかし、個人墓地は家族などで管理しているため、継承者がいないと無縁墓となってしまう問題があります。古いお墓では、すでに継承者が途絶えているケースも多く、不法投棄などの生活環境の悪化を招いたり街の整備に支障をきたしたりすることもあるようです。さらに、所有者が分からないので移転も難しいと言われています。

小林
個人墓地が無縁化することで、住民の生活にも関わってくる大きな問題があるんですね。

少子高齢社会における“お墓事情”

宮里
はい。昨年、県内の企業が「将来納骨される予定のお墓が沖縄県内にある県外在住者」を対象に行ったアンケートでは、お墓の継承について46%が「継承するかどうかわからない」、4.5%が「継承しない」と回答しています。また、土地の所有者が「わからない」という回答も24%あり、無縁墓の増加が懸念されています。この調査では、今後墓を建てる際に重視することも質問しており、代々続いている墓地を重視する層が15.2%と比較的高いようですが、永代供養や子供世代への継承を考えていない層も1割いたようです。

小林
そうなんですね。継承については、子供世代への負担も含めて考える必要がありそうですね。実際に県内でもお墓事情に変化はあるのでしょうか?

宮里
はい。実際に、沖縄県内の「墓じまい・移転」が、1997年度から2017年度の20年でおよそ9倍に増えたとの新聞報道もありました。やはり、少子高齢化、核家族化といった社会背景もあり、お墓の継承について考える層が増えてきているようです。

小林
「墓じまい」とは具体的にどのようなことを差すのでしょうか。

少子高齢社会における“お墓事情”

宮里
「墓じまい」は「お墓を不要としてしまう」ことではなく、お墓の引っ越し・改葬の一つのプロセスとなっています。2018年に実施した全国調査では、散骨などを行ったのは1割にも満たないことから、なんらかの形で遺骨を埋葬施設に納骨しています。墓じまいの理由としては、「継承者がいない」ことが最も多い理由ですが、「お墓が遠い」ため、引っ越しをするケースもあるようです。
近年は、「樹木葬」などの自然に帰る意味合いがある永代供養の一種「自然葬」の人気も上がってきています。沖縄県でも、民間の霊園の整備も進んでいますので、今後永代供養墓のニーズはさらに高まると思われます。

小林
継承する必要がなく、永続的に安心して供養できるお墓は、種類も多様化しニーズが高まってきているんですね。
宮里さん、ありがとうございました。

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