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くらしと経済編集部

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アップサイクルと地域連携で進む“フードロス”削減

後間
こんにちは。後間秋穂です。食べ残しや売れ残りなどの理由から、
まだ食べられる食品が捨てられるフードロス。
今回はそのフードロスの削減に向けた取り組みについて
野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

宮里
宜しくお願いします。

後間
まずは国内のフードロスの現状について教えてください。

宮里
国内のフードロスは2019年度推計で年間およそ570万トンに上っています。
この数は、毎日10トントラック約1560台分の食品が捨てられている計算になります。

フードロスの種類は大きく2つに分けられ外食産業での作りすぎや食べ残し
食品の売れ残りなどは「事業系」、
購入したのに未開封の食品や、厚く剥きすぎた野菜の皮などは「家庭系」に分類されます。
国内では事業系、家庭系のフードロスがほとんど同じ割合で発生しています。

日本の食品ロス量と内訳

後間
毎日こんなに多くの食品が捨てられているんですね。

宮里
そうなんです。さらにフードロスはゴミの処理に多大なコストがかかるだけでなく
焼却処理による温室効果ガスの排出など地球温暖化にも繋がります。
国連が定めた持続可能な開発目標であるSDGsの中でも
フードロスを減らすことが目標に掲げられています。

後間
日本では、どのような取り組みが進んでいるのですか?

宮里
はい。日本のフードロス量の推移を見てみますと少しずつですが減少してきています。
この背景には国や事業者による納品期限の緩和や賞味期限の延長、
消費者に対し賞味期限の近い商品を積極的に購入するよう呼びかける
取り組みの推進などがあります。
ただ、まだまだ多くの食品廃棄物が出ているのが現状でさらなる取り組みとして
大きなトレンドとなっているのが「アップサイクル」によるフードロスの削減です。

日本のフードロス量の推移と削減目標

後間
「アップサイクル」という言葉が出てきましたが、具体的にどのような取り組みなんでしょうか。

宮里
はい。「アップサイクル」とは本来なら捨てられる廃棄物に新たな付加価値を持たせ、
別の新しい製品として生まれ変わらせることです。
食品業界でもアップサイクルをフードロスの削減につなげようという動きが広がり始めているんです。

例えば大手飲料メーカーでは、昨年7月にコーヒー風味のビールを発売しました。
このビールには、テスト焙煎や販売期間の管理の過程でこれまでやむなく廃棄していた
コーヒー豆焙煎専門店のコーヒー豆が活用されています。
また第2弾として、地元のサンドイッチ店から出たパンの耳を原料にしたビールも作られました。
このほかにも規格外で廃棄されていたシナモンやローリエなどの香辛料を
クレヨンの原料として活用する取り組みなどもあり
目標の20倍にあたる400万円以上の売り上げとなりました。

アップサイクルによるフードロス削減(例)

後間
企業間で連携することで新しいアイデアが生まれているんですね。

宮里
はい。また今後は事業者だけでなく自治体や消費者とも連携することで
さらにフードロスの削減に弾みがつき循環型社会の実現に繋がっていくことを期待したいと思います。

後間
私たち消費者も食品を捨てたり食べ残したりしないよう心がけていきたいと思います。
宮里支店長ありがとうございました。

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