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くらしと経済編集部

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世界の課題解決を目指す「ゲノム編集食品」

後間
こんにちは。後間秋穂です。

農作物などの品種改良の新技術として注目を集めている、「ゲノム編集」。
近年「食品分野」での研究が活発になっているようです。

今日は「ゲノム編集食品」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。
宜しくお願いします。

宮里
宜しくお願いします。

世界の課題解決を目指す、ゲノム編集食品

後間 
今日のテーマの「ゲノム編集食品」、耳慣れない言葉ですが、どんな食品なのでしょうか?

宮里
はい。まず「ゲノム」とはドイツ語で「遺伝子」を意味する「ゲーン」と「染色体」を意味する「クロモゾーム」を組み合わせた造語で、「ゲノム編集」は染色体にある「DNA」を構成する物質の並び方を修正し、性質を変化させる技術です。

例えば「病気に強い」など、特定の品種を生み出す為には、自然界からその遺伝子をもった個体を見つけ出し、何世代にもわたる交配を繰り返す必要がありましたが、ゲノム編集は短期間で品種改良できるメリットがあります。

ゲノム編集技術のイメージ

後間
遺伝子情報を組み替えるという意味では「遺伝子組み換え」という技術もあると思いますが、違うものなのでしょうか?

宮里
はい、「遺伝子組み換え」も品種改良技術の1つで、固有の植物などが本来持っていない遺伝子を使って、品種改良を行う事です。

一方、「ゲノム編集」は、人工的に遺伝子を変えるという点は同じですが、原則として対象の植物などが本来持っている遺伝子を改変して行う事から安全性が高いと考えられています。
今、農業、水産、畜産、医療など多様な分野で活用が加速しています。

後間
それでは「ゲノム編集」を行った食品について実用例を教えて下さい。

宮里
はい、日本では2019年にゲノム編集食品の届け出制度が整備され、去年、相次いで登場しました。
その一つが、血圧の上昇を抑えるといわれる「ギャバ」という成分を含む「ゲノム編集トマト」です。
水産分野の導入例では通常より肉厚のマダイの養殖に成功していて、オンライン販売も行われています。

ゲノム編集食品の実用化例

後間
今後も、様々なゲノム編集食品が登場しそうですね。

宮里
そうですね。実用化を目指して研究・開発を加速させている事例も多々あります。

糖度が高いトマトや毒素が少ないジャガイモ、ニワトリに低アレルゲンの卵を産ませる研究など進んでいますが、食用コオロギに関する研究は世界的な人口増加による食料不足の解決につながる資源として、注目されています。

実用化を目指すゲノム編集食品

後間
ゲノム編集食品には非常に大きな役割が期待されているんですね。

宮里
国連などの調査によると現在およそ79億人の世界人口は2050年には93億人に達するとの見込みで、食料不足が懸念されています。

こうした事から、ゲノム編集技術をはじめとする新たなバイオテクノロジーは国連が掲げるSDGsの17の目標のうち「飢餓をゼロに」など、10以上に貢献すると考えられています。

後間
今後、どのようなアイデアが出てくるかに注目したいですね。

宮里支店長ありがとうございました。

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