グルメ,タコス・タコライス,本島南部,那覇市
祖母から受け継いだ味で勝負!自家焙煎“生ジーマミーとうふ”と無添加タコスの「むすび本舗」(那覇市)
落花生(ピーナッツ)を使ってつくる沖縄の郷土料理、ジーマミー豆腐。戦後の沖縄で広まり、いまではすっかり定番となったタコス。どちらも沖縄で親しまれてきた味ですが、ジーマミー豆腐は香ばしい風味と濃厚な味わい、ぷるもちっとした独特の食感が魅力で、タコスは具材や味わいに店ごとの個性があります。
那覇市久米(くめ)にある「むすび本舗」では、石垣島出身の祖母から受け継いだ味と技法を守りながら、無添加のジーマミー豆腐を毎朝手作りしています。そしてタコスは、沖縄県内のタコス店を食べ歩き、試行錯誤を重ねて生まれた、「むすび本舗」ならではの無添加オリジナルタコス。
受け継いだ味と、食べ歩きから生まれた新しい味。沖縄の食文化を大切にしながら、自分たちらしいおいしさを追求する「むすび本舗」のジーマミー豆腐とタコスをご紹介します。
目次
孫へ受け継がれるピーナッツ増し増し、練り増し増しの「むすび本舗」自慢の「生ジーマミーとうふ」
「むすび本舗」では、ジーマミー豆腐を2種類販売しています。生ジーマミー豆腐は1個250円(税込)、熱殺菌をしたジーマミー豆腐は1個330円(税込)です。
左側の「焙煎地豆(ジーマミー)とうふ」は、初代から受け継いだ味を守る、店舗限定販売の「生ジーマミーとうふ」。ピーナッツの自家焙煎からはじまり、通常のジーマミー豆腐よりもたっぷりのピーナッツを使い、無添加で仕上げており、冷蔵でおよそ1週間保存できます。
一方、右側の「焙煎ジーマミーとうふ」は、3代目・仲嶺朋史(なかみねともちか)さんが店を受け継いだ際に誕生した商品。毎朝作りたてを真空パックし、熱殺菌をすることで、常温でおよそ3か月保存できる商品へと進化しました。
現在は店頭のみならず、デパートリウボウ2階の樂園百貨店や那覇空港でも販売中で、県外の催事に招かれた際には完売するほどの人気を集めています。
「むすび本舗」のジーマミー豆腐のこだわりは、焙煎した落花生。一般的なジーマミー豆腐が白色なのに対し、焙煎した落花生を使うことで、ほんのり褐色に仕上がります。口に入れると、香ばしいピーナッツの風味が広がり、甘じょっぱいタレとの相性も抜群なんだとか。
今回は、初代から受け継いだ味を楽しめる「生ジーマミーとうふ」をいただきます!
3代目・仲嶺朋史さんの奥さま・美名実(みなみ)さんの計らいで、「生ジーマミーとうふ」の上に生姜をちょこんと添えていただきました。
お皿に振動が加わるたび、ぷるん、ぷるんと揺れるジーマミー豆腐。見るからにやわらかそうな姿に、食べる前から期待が高まります。
お箸ですくうと、つるんとなめらか。箸先から伝わるもちもちとした弾力に、独特の食感が見ているだけでも伝わってきます。
お箸をゆっくり持ち上げると、びよーんとどんどん伸びていきます。
見た目からは想像できないほどの伸びにびっくり!無添加にこだわり、ピーナッツも増し増しで手間暇かけた証です。
伸びきったところで、パクッと!「あ~うまいー!」と思わず声がでて、厨房にいるスタッフから「よかったー」と声が返ってきました。
口に入れた瞬間、焙煎したピーナッツの香ばしい風味がふわっと広がります。ぷるん、とろっとした口あたりから、噛むともっちり。濃厚なピーナッツのコクに、生姜の爽やかな辛みが重なって、後を引くおいしさです。思わず、もうひと口と一気に食べ終わってしまいました!
県内のタコス屋を食べ歩き辿り着いた「むすび本舗」だけの無添加タコス!
3代目・仲嶺朋史さんがお店を受け継いだあと、世界中をコロナ禍が襲いました。観光業が盛んな沖縄で観光客が激減すると、お土産品として名物だったジーマミー豆腐の売り上げも大きく落ち込み、店は経営の危機に直面します。
祖母からはじまったジーマミー豆腐の味、母が必死に店を守ってきた姿。そして、生まれ育った地元や店を訪れてくれるお客さんへの思い、支えてくれる家族への感謝。さまざまな思いを胸に、3代目・仲嶺さんがコロナ禍を機に挑戦したのが、沖縄に根ざしたタコスとタコライスでした。
めざしたのは、「むすび本舗」でしか味わえないオリジナルの味。タコミートは肉の下処理からていねいに行い、赤ワインとトマトでじっくり煮込むことで、ほどよい甘みと深いコクを引き出しています。さらに、スパイスの配合にもこだわりました。
タコスのソフトシェルも家族で試行錯誤を重ね、冷めてもおいしく、肉から出る油で生地がびちょびちょにならないよう、素材や配合を工夫。そうして、無添加のオリジナルタコスが完成!タコス1ピースから注文可能です。
「むすび本舗」では、注文が入ってからソフトシェルを仕上げます。油を温めると、パチパチパチ……と小気味よい音が響き、香ばしいにおいとともに食欲をそそります。
揚げたてのソフトシェルに、チーズ、自家製タコミート、レタス、トマトをのせて、いただきます。
タコスに添えられたサルサソースも自家製!さらに、ハラペーニョまで用意されています。タコミートのコクに、サルサの酸味とハラペーニョのピリッとした辛みが加わり、ひと口ごとに味の変化が楽しめ最後までおいしさが続く、うれしい組み合わせです。
店主の遊び心あふれる「むすび本舗」の店内
店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、ピンク色のネオンで描かれた「君にきめた!」の文字。
タコスをはじめると決めたのは、まさにコロナ禍。そんな時期に「コロナ」という言葉がずっと脳裏にあった仲嶺さんが、ある日、「コロナの文字を組み合わせると『君』になる!」と思いついたことから、「君にきめた!」という言葉を店内に飾るようになったそう。
店内を見渡すと、アーティストの作品など、仲嶺さんが「おもしろい」と感じたものがあちらこちらに。料理だけでなく、空間にも3代目・仲嶺朋史さんの遊び心が散りばめられています。
お店の扉を開けると、店内には大人2人ほどが座れる小さなイートインスペースがあります。ただし、テイクアウトで利用するお客さんがほとんどなのだそう。
「むすび本舗」のタコスやタコライスは作り置きをせず、注文が入ってから仕上げるスタイル。できあがりを待つあいだ、店内をぐるりと見まわしたり、席に座ってゆっくり待ったりするのもよさそうです。
もちろん、スタッフの方にひと声かけて、できたてをその場で味わっていくのもおすすめ。小さな店内だからこそ、スタッフとの会話を楽しみながら、できあがりを待つ時間も「むすび本舗」の楽しみのひとつです。
タコスをテイクアウトすると、透明なパックにぎっしりと詰められ、赤と黄色の「むすび本舗」オリジナルのお箸袋に入った割りばしが添えられます。お箸袋には「はしわたし」の文字。「むすび本舗」を訪れたお客さんに、いいことを橋渡しできたらという願いを込めてつくられたものです。
食べる前から、なんだかいいことが起きそうな気持ちにさせてくれる。店主のお客さんへの感謝の気持ちがにじんでいます。
小さな台所からはじまった「むすび本舗」の物語は人の縁と巡り合わせの連続
「むすび本舗」のジーマミー豆腐は、石垣島出身の祖母・玉城嘉子さん(初代)が、家族のためにつくっていたジーマミー豆腐が原点。落花生を焙煎し、余計なものは加えず、一つひとつていねいに練り上げる。香ばしい風味とやさしい味わいは、母・玉城淳子さん(2代目)へと受け継がれていきました。
母・玉城淳子さん(2代目)は、水や砂糖を使わない生ジュース店を営むかたわら、店の片隅に初代から受け継いだジーマミー豆腐を少しずつならべるように。すると、「おいしいから、また買いたい」と訪れるお客さんが少しずつ増え、口コミで評判が広がり、いつしか生ジュースよりもジーマミー豆腐が店の看板商品へと成長しました。
そして現在は、3代目・仲嶺朋史さんが奥さま・美名実さん、スタッフとともに、祖母と母から受け継いだ味を守っています。ジーマミー豆腐のおいしさがきっかけとなり縁が広がり、仲嶺さんにとって「むすび本舗」のジーマミー豆腐は、家族から受け継いだ大切な味であると同時に、人と人をつないでくれる存在でもあります。
祖母から母へ、母から息子へ。息子夫婦とともに、3代にわたって受け継がれてきた家族の味は、さまざまな人との縁を結びながら、いまも進化を続けています。
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