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くらしと経済編集部

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価格を自在に設定。注目の「ダイナミックプライシング」

小林
こんにちは。小林美沙希です。
皆さんは「ダイナミックプライシング」という言葉を知っていますか?
これからの私たちの生活に大きな影響を与えるかもしれません。
野村証券那覇支店支店長の北田敦司さんに伺います。宜しくお願いします。

北田
宜しくお願いします。

小林
「ダイナミックプライシング」。あまりなじみのない言葉ですが、どのような意味なのでしょうか。

北田
需要と供給のバランスに合わせて、商品やサービスの価格を柔軟に上げ下げすることをいいます。
身近なところで言うと、閉店間際のスーパーで商品が値引きされたり、旅行の需要が高まる時期に航空券が値上がりする、といった例が挙げられます。
最近では、デジタル技術の発達により、商品在庫や天候、SNSのトレンドなど、消費者のニーズを判断する材料を豊富に収集できるようになったことで、様々な分野で導入が進んでいます。

小林
具体的には、どのような例がありますか?

価格を自在に設定。注目の「ダイナミックプライシング」

北田
スポーツ業界が導入に力を入れています。
サッカーJリーグのあるクラブでは、チケットの売れ行きが好調な月は、全座席の価格を上げ、雨の予報が出た試合では売れ残りやすい席を値下げする、といった調整を行ってきました。
その結果、今までの販売方法に比べて、7パーセントから8パーセントの収入増加につながる推計がでているようです。

小林
他にはどのような例がありますか?

北田
ある大手家電量販店では、昨年から、ほぼすべての商品の値段を、競合店やインターネット販売と比較・分析して、本部が遠隔操作で柔軟に変更できるシステムを採用しています。

小林
商品の値段を細かく変えると、値札の張り替えに、すごく手間がかかるのではないでしょうか。

価格を自在に設定。注目の「ダイナミックプライシング」

北田
その心配はありません。この量販店では従来のような紙の値札ではなく、価格をデジタル表示する「電子棚札」を導入しています。
無線通信で商品の値段や在庫情報を、リアルタイムで表示できる優れもので、店頭で働くスタッフの負担軽減に役立っているそうです。

小林
それは便利ですね。
ダイナミックプライシングの普及が進む背景には、デジタル技術の発達以外に何か理由はありますか?

価格を自在に設定。注目の「ダイナミックプライシング」

北田
導入が進む一番の要因としては、インターネットを通してものを購入することが当たり前となったことで、柔軟に価格を上下させるインターネット通販サイトに、実店舗が対抗していかなければならない、といった事情があります。
ただ、日用品や美容商品などジャンルによっては、価格の頻繁な変動が、消費者に歓迎されない場合があることも分かっているので、慎重に検討していくことが売り手には求められているでしょう。

小林
確かに、日用品などは安心して買える価格で統一されていてほしいですね。
今後、売り手と消費者、両方にとってメリットがある形で、普及が進むことに期待したいです。
北田さんありがとうございました。

※本記事では、2020年1月に沖縄テレビ「くらしと経済」で放送された
生活に役立つ経済情報を分かりやすく紹介します(掲載内容は取材時点の情報です)

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