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くらしと経済編集部

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日本の高級果実の生産を支える 沖縄の交配用ミツバチ

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今日は日本の高級果実を支える沖縄の交配用ミツバチについて、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。

日本の高級果実生産を支える沖縄の交配用ミツバチ

後間
果物を含むいわゆる農作物とミツバチにはどのような関係性があるのでしょうか。

宮里
はい。果物や野菜などの植物の種子ができるためには、花のめしべに花粉をつける「授粉」が必要になります。
繁殖のために花粉を授粉することを「花粉交配」といいますが、自然界では風や鳥、ミツバチなどの昆虫が飛び回ることで花粉交配が行われています。

国際連合食糧農業機関の報告では、世界の食糧の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はミツバチの受粉を媒介していると言われています。

ミツバチの働き

後間
なるほど。ではミツバチがいなくなると、どのような私たちにどのような影響が出るのでしょうか。

宮里
はい。ミツバチは最も受粉に貢献している昆虫と言われており、ミツバチがいなくなると野生の植物は育たなくなってしまいます。
植物が育たなくなると、植物に支えられている別の昆虫や動植物にも影響が出てきます。

例えば、受粉で生産される主な作物には図のようなものがあります。
どれも私たちにとって身近なものばかりですが、ミツバチがいなくなると、ここにあるほとんどの作物が生産されなくなってしまいます。

受粉で実る作物の例

後間
農作物の生産に関して、ミツバチは大きな役割を担っているのですね。
では、ミツバチは主にどのような農作物の生産に使われているのでしょうか。

宮里
はい。日本ではミツバチを主に施設園芸、いわゆるハウス内で栽培される野菜や果物の栽培に活用しています。

施設園芸で栽培される作物ベスト3は、イチゴ・メロン・スイカです。
イチゴは施設栽培面積の9割、メロン8割、スイカ5割でミツバチによる花粉交配が行われています。
メロンやイチゴには高級なブランドがあるため、日本の高級果実の生産にミツバチは欠かせない存在と言えます。

ミツバチの花粉交配で栽培される野菜や果物

後間
高級果実の生産に欠かせないミツバチはどこで生産されているのでしょうか。

宮里
花粉交配用のミツバチは全国で生産されていますが、2019年に沖縄が全国で1位になりました。
以降沖縄が全国トップを維持しています。

沖縄が全国トップになった背景には、冬場でも温暖な沖縄の気候、ミツバチの天敵である野生のクマが生息していないことに加え、ミツバチの主な輸入先だったオーストラリアからの輸入が2007年に停止となり、全国的にミツバチが不足したことで、温暖な沖縄が注目されたこと等が挙げられます。

後間
沖縄のミツバチが日本中で活躍できることを期待したいですね。
宮里支店長ありがとうございました。

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