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くらしと経済編集部

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非接触で触覚を再現することもできる、進化する「ハプティクス技術」

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は、「非接触で触角を再現する『ハプティクス技術』の進化」について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。
まず「ハプティクス」とはどのような意味なのでしょうか?

後間アナと宮里支店長の2ショット

宮里
はい。「ハプティクス」という言葉は、英語でいう「触角」、物にさわった感触のという意味を持つ「ハプティック」に由来します。人間の持つ五感のうちの触角、つまり手触りや衝撃に関する感覚をデジタルで再現し、その情報を伝える技術や研究が「ハプティクス」と呼ばれています。

後間
なるほど。それでは具体的にはどのようなシーンで利用されているのでしょうか?

宮里
身近な例としては、スマートフォンがあります。スマートフォンには、画面のアイコンを押すと「カチッ」という実際のボタンを押したような感触が指に伝わってくる機種があります。
ほかにも、家庭用のゲーム機にはコントローラーを振動させることによって、キャラクターがショットガンで撃たれた衝撃や雨が降る感覚を再現するといった機能を持つものもあります。

振動を利用するハプティクス使用例

後間
そうなんですね。ではなぜ今、改めてその技術が注目されているのでしょうか。

宮里
五感をデジタル化して伝える技術の開発についてこれまで先行していた、映像や音響の技術がより進化して現実感が増していく中で、今度は「触れてみたい」というニーズが高まり触角を通じて情報を伝える技術も向上してきました。

また、建設などの産業や実用としての用途もあります。こちらの実験では、ベテラン左官職人の元に自由に動かせるハンドルを備えたロボットがあり、一方にはコテを備えたモルタルを塗るロボット装置が準備され、お互いの動きを瞬時にデータ化することで精密な左官作業の遠隔操作を成功させました。

左官作業のリモート化実験

宮里
続いては製造業での使用例です。鋼板などを製造するメーカーとハプティクス関連事業を行う企業と大学の3者による取り組みです。
鋼板を搬送する際にロールの表面に異物が付着し、凹みができることがあります。
このため回転するロールの表面に作業員が専用の道具を押し当てて異物を除去する必要があるのですが、高速で回転するロールの近くで人が作業するのは危険で効率も良くないことから自動化が求められていました。
そこで、この異物除去作業時の作業者の力加減をデータ化し、それに基づいて再現する自動装置を開発しました。

世界ではこのハプティクス技術の市場が大きく伸びつつあります。去年、日本の情報サービス会社が発表した調査報告書によりますと、ハプティクスの世界市場は2021年にはおよそ26億ドルでしたが、2026年にはおよそ46億ドルと大幅拡大すると予測されています。
日本の技術もその市場で高く評価されることに期待したいと思います。

鋼板搬送ロール異物除去作業リモート化

後間
今回は「非接触で触覚を再現することもできる進化する『ハプティクス技術』」について宮里さんに伺いました。ありがとうございました。

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