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くらしと経済編集部

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ますます重要になる「宇宙天気予報」

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は「宇宙天気予報」について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。

後間アナと宮里さんの2ショット

後間
「宇宙天気予報」とはどのような予報なのでしょうか?

宮里
はい。宇宙空間には太陽から放出されるさまざまなエネルギーや粒子などが飛んでいて、それらが地球を包む大気の層や磁場に大きな影響を及ぼしています。
太陽がもたらす地球を包む磁場の周辺で起こる現象は「宇宙天気」と呼ばれ、こうした複雑な現象の状況を把握し、今後について予測するのが「宇宙天気予報」です。

後間
なるほど。具体的には地球にどのような影響があるのでしょうか。

宮里
はい。宇宙天気が影響した過去の事例がこちらです。
1989年にはカナダで磁気嵐によって電力会社の設備が故障して、およそ9時間にわたって停電が発生し、およそ600万人に影響が及びました。

また、今年2月にはアメリカの民間宇宙企業が打ち上げた衛星通信用の衛星49基のうち40基が運用できる高度まで到達せず、大気圏に再突入して消失しました。

今日の社会は太陽フレアの影響を受けやすい新しいインフラに大きく依存していますので、それらが宇宙天気の被害を受けた場合、経済や産業に及ぶ影響は甚大です。

宇宙天気による過去の影響事例

後間
宇宙天気予報を使った取り組みにはどのようなものがありますか?

宮里
はい。太陽の活動はおよそ11年周期で強弱を繰り返しています。現在は活動が強まっている時期で次のピークは2025年となり、宇宙天気が荒れ模様になることが予想されています。世界の国々や国際機関はこのピークを視野に入れて対策を進めています。

最も早くから対応を始めているのはアメリカです。2007年に「宇宙天気予報センター」を設立し、「NASA」や「アメリカ海洋大気庁」などと連携し、宇宙天気に関する研究やデータ提供を行っています。
また
2021年には「国連防災機関」が宇宙天気を「対処すべき災害のひとつ」と発表しこの年にはイギリスも対応戦略をまとめました。

宇宙天気に関する海外の反応

後間
日本の対応はどうなっているのでしょうか。

宮里
はい。総務省では2022年1月に「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」を発足させ、被害想定や予報のあり方を検討しています。
この検討会では様々な分野で想定される被害について「最悪のシナリオ」を提示しています。
代表的な被害として「通信・放送・レーダー」分野では全国で2週間に渡って、防災、消防、警察などの無線が使用できなくなり、スマートフォンからのインターネット接続が困難になることを挙げています。

この検討会のように、宇宙天気予報に関する動きが加速して宇宙天気の持つリスクが低減され、社会経済の安全・安心につながっていくことに期待したいと思います。

宇宙天気による主な被害想定

後間
今後の動向に注目したいですね。今回は「ますます重要になる『宇宙天気予報』」について宮里さんに伺いました。ありがとうございました。

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