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くらしと経済編集部

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少子化が進むなか成長する「おもちゃ市場」

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は「少子化が進むなか成長する『おもちゃ市場』」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。

後間
少子化が叫ばれる昨今ですが、そのなかでおもちゃ市場は成長しているのでしょうか?

宮里
はい。おもちゃの業界団体によりますと、子供の人口が年々減少する一方で、おもちゃ市場は減少傾向から回復に転じています。

こちらはおもちゃの希望小売価格ベースの市場規模に加え、0歳から15歳までの子供の人口の推移を表したグラフです。

国内おもちゃ市場と子どもの数

宮里
2021年度は前年度から8.5%増加し、およそ8946億円となりました。
これは現在のかたちで調査を始めた2001年以降で最高の数値です。新型コロナウイルスの感染拡大によって、家で過ごす時間が増え子供と一緒に大人も遊ぶ機会が増えたことや、「カードゲーム」や「トレーディングカード」分野の人気の高まりが要因です。
少子化が進むなか、おもちゃ市場が成長を続けていくには「大人も取り込む」ことが今後の重要なアプローチになっていくと考えられます。

後間
子供だけでなく、大人もゲームを楽しんでいるんですね。今年のおもちゃ市場においても、大人を取り込んでいく傾向が見られているのでしょうか。

宮里
はい。では今日のおもちゃの傾向や今後の方向性について見ていきましょう。
まずは「定番商品の進化」、ミニカーについてです。1980年代、後ろに引いて手を離すと勢いよく走りだすというゼンマイ式のミニカーが人気を博しましたが、2022年の見本市では、引く回数によってターンやスピンなど新しい動きができるモーター式に進化して登場しています。

続いて、目立った傾向として挙げられるのはおもちゃの「ハイテク化」です。定番商品とは対照的に、これまでなかったタイプの商品が登場しています。例えば、スマートフォンの専用アプリで家族の声を登録すると、それをAIが合成して、童話などの読み聞かせができるというスピーカー型の商品を開発しました。AIの力が、絵本の読み聞かせでも子育てを助けてくれるかもしれません。

おもちゃのトレンドその1

後間
そのほかにも何か目立った傾向はありますか?

宮里
はい。もうひとつ大きな傾向として、「サステナブル」が挙げられます。
例えば、おもちゃのブロックといいますと石油系プラスチック製のものを思い浮かべると思いますが、今回登場したのはコメ由来の樹脂を使ったブロックです。このブロックには、食用には適さない古米や米菓メーカーなどで発生した砕けたコメなどをプラスチックに加工した新素材が使用されています。石油性プラスチックの使用量を大幅に下げられるメリットもあるほか、売上の一部を「こども食堂」という活動の支援にあてるという、子供たちの成長を応援する取り組みとしての側面もあります。

これからの時代、おもちゃも環境や社会問題に対するメーカーの視点を反映したものになっていくと思われます。

おもちゃのトレンドその②

後間
今後、時代を反映したどのようなおもちゃが登場するか楽しみですね。宮里さんありがとうございました。

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