公開日
真境名 育恵

真境名 育恵

ユタと子宝 ~沖縄ならではの妊活事情~

真境名育恵の19 PEDIA(19ペディア)

沖縄における民間信仰「ユタ」とは?

読者の皆さん、こにゃにゃちわ(バカボンのパパ風)。
前回のコラム内容が若干、「赤裸々」だったので、最初の挨拶でフレンドリー感を出してみましたが、そもそもOKITIVE読者で「天才バカボン(赤塚不二夫先生作)」を知っている方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか?
9月に今年最初のタイフーン襲来がありましたが、皆さんの地域はご無事でしたか?台風一過の沖縄は日中気温平均30℃前後と、残暑厳しい日々を送っています。

さて前置きが長くなりましたが、今回のテーマは
「妊活とユタ~沖縄ならではの妊活事情~」
という内容です。

そもそも読者の皆さんは「ユタ」という存在をご存知でしょうか?
「ユタ」というのは、沖縄県と鹿児島奄美群島の民間霊媒師(シャーマン)であり、主に民間の霊的問題に関するアドバイスをする人たちのことをさします。

「ええ?霊的問題!?エクソシスト(悪霊払い)!?」
とイメージする方もいらっしゃるかも知れませんが、沖縄では“原因不明の病”や“家族の事故・不運”などの解決策を求めて、ユタにアドバイスを仰ぐ人たちが今でもいます。

沖縄には「医者半分、ユタ半分」という言葉があるほど、生活に密接した身近な存在でもあります。
沖縄特有の民間信仰でもある「ユタ文化」は、科学的根拠に基づかないスピリチュアル要素の強いトピックなので、あくまでも私個人の経験談として、ユタにまつわる妊活エピソードをご紹介したいと思います。

子宝に恵まれるという浜比嘉島・シルミチュー。ユタさんが拝みをしている場面に遭遇するかも。
子宝に恵まれるという浜比嘉島・シルミチュー。ユタさんが拝みをしている場面に遭遇するかも。

医者半分、ユタ半分。

前回のコラムでは、わたしが結婚した35歳時点で妊活をスタートしたことを書きましたが、病院に通院をすると同時期に、「私が妊娠できるかどうか?」をユタに見てもらう(=予見してもらう)というイベントが発生しました。

夫の遠縁がユタを生業にしていたこともあり、将来、仏壇を継ぐ夫の行く末を案じて、姑が「ユタにお伺いをたてよう」と夫に提案したのが発端でした。

さっそく、沖縄本島北部の有名なユタヌヤー(ユタの家)を紹介してもらいまして、床の間が三つもある立派なお屋敷に住むユタに、名前と住所と生年月日を伝えて「長男嫁(私)は子どもを授かることが出来るのか」を見てもらいました。

ユタは「あなたは40歳までに複数の子どもを妊娠して、産むことになる」と私にいい、「子どもを授かるためには、沖縄県内の子授けで有名な拝所を夫婦で訪ねて拝みなさい」というアドバイスを貰いました。

私はユタに紹介された複数の拝所をビンシー(沖縄における簡易拝み道具)持参で巡り、「どうか子どもを授けてください。」と夫婦で必死に祈りを捧げました。

このエピソードを県外出身の友人に話すと大体は驚かれるのですが、沖縄では「家の抱えている問題に対してご先祖さまはどう考えているか/解決するためにどんなことをしなければならないのか」を、ユタに尋ねた経験のある人たちが、結構いると思うのです。

そして実は私自身、「ユタに見てもらう」こと自体にはアレルギーは、さほどありませんでした。
理由としては、実家が仏壇もちで旧暦行事(年中行事)が身近だったことや、祖父母が長年商売を営んでいたので年に一回はユタを訪ねて、その年の良し悪しを判断して貰うことが恒例行事だったことも大きいと思います。
つまり幼少期からユタの存在が身近な環境だったのです。

子授け祈願として有名な読谷村の徳武佐宮(とぅくぶさぐう)。やんごとなき方々が参拝された噂も。
子授け祈願として有名な読谷村の徳武佐宮(とぅくぶさぐう)。やんごとなき方々が参拝された噂も。

ユタの能力は玉石混淆!?

ここまで読んでくださった読者さんの中には、「未来を予見する」というユタの能力について、ご興味が湧いた方が居るかも知れません。
あくまでも私の経験から書かせてもらうと一言でユタと言っても、未来を予見する能力は玉石混淆のように感じます(繰り返しますが、私の経験則です)。

沖縄という土地自体がパワースポットであり、沖縄に恋をした芸術家のひとり・岡本太郎氏の名著「沖縄文化論-忘れられた日本」の「何もないことの眩暈」章で、御嶽(ウタキ)という自然の聖域を絶賛したように、アニミズム的な側面からスピリチュアルな島として人気があります。また「沖縄の占い師」で検索すると「ユタの家系や血筋である」と言った触れ込みの広告記事が多数ヒットします。
その方たち全てに占ってもらった経験はないので、それらの触れ込みが全て嘘だと思っている訳ではありません。

しかし、沖縄では「ユタ」を名乗った詐欺紛いの人たちに、大金奪われたという不幸な話も後を絶ちません。
いかがわしい霊感商法にひっかからないためにも、自分でしっかりと情報収集をして見極める必要はあると思います。

ちなみに私が出会ってきたユタは、ほとんどが信頼できる人物からの口コミや親戚の紹介でした。
そして相談者のご先祖や時には守護霊と交信をしたり、神棚にお伺いをたてて相談内容に答えるといった形式が多いのが特徴でした。

余談になりますが、ユタと関わる経験の多い人たちが口を揃えていうのは、「ユタは金儲けを目的にすると、予知予見能力を失ってしまう(らしい)」ということ。この辺の話の根拠はわからないので、今後知ることが出来たらと嬉しいです。

日本を代表する芸術家・岡本太郎著『沖縄文化論』。パートナー・岡本敏子さんの解説も素晴らしい。
日本を代表する芸術家・岡本太郎著『沖縄文化論』。パートナー・岡本敏子さんの解説も素晴らしい。

最後に。当たるも八卦、当たらぬも八卦。

私は幼少期から占いが好きで、高校生の頃に初めてユタ系占い師に鑑定してもらったことがあります。
面白いことに、そのユタさんに
「あなたは長男と結婚する運命傾向にある。」
と言われていたんですよね・・・。

この長男嫁説については、なんと(!)手相にも現れているらしく、独身時代に鑑定してもらった別の占い師に
「あなたは何かを継承したり、継いでいくお役目がある。」
的なことを言われていました。
現実として「沖縄長男嫁」を経験していますから、「家を継ぐことに関わる」というのは、私の人生で逃れられない運命だったかも知れません(遠い目)。

今回もいろいろ書きましたが、内容的にセンシティブなだけに書きあぐねた部分があります。ユタに関する根拠ある資料なども探してみたのですが、個人的に「これだ!」と自身の魂にヒットする説に巡りあえませんでした(とほほ)。

コラム初回で妊活・不妊治療を出口の見えないトンネルと例えたように、時には神仏・ご先祖さまに頼りたくなるのが人情だと思います。私も「私の人生で子どもを生む経験」が出来るかどうかを、定期的にユタや占い師に鑑定してもらっていた時期がありました。

昔から、“当たるも八卦当たらぬも八卦”という言葉があるように「当たったらラッキー!」くらいに考えていた方が、依存度が低いような気もします。
私の場合、不妊治療に挫けそうになった時の“カウンセリング”として活用していた部分が大きく、ずいぶんと励ましてもらったというのが正直な感想です。

苦しい妊活中の皆さんにおきましては、「一瞬でも気持ちが楽になる」ツールの活用として、今回ご紹介したエピソードを受け取ってもらえたら幸いです。

母や1歳半頃の双子と訪れた消失前の首里城にて。一日でも早い復興を、引き続き祈っています。
母や1歳半頃の双子と訪れた消失前の首里城にて。一日でも早い復興を、引き続き祈っています。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!