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くらしと経済編集部

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「食の輸出拡大」を目指す日本

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は、「食の輸出拡大を目指す日本」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにお話をうかがいます。よろしくお願いします。

「食の輸出拡大」を目指す日本

宮里
まずは最近の日本の輸出と輸入の状況について確認しておきましょう。今年の上半期の貿易統計によりますと、輸出額と輸入額は前年同期に比べいずれも過去最高を更新しました。

一方、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支としては過去最大の貿易赤字となっています。
その背景には、世界情勢の不安などからくる資源価格の高騰や、円安が急速に進行したことなどが要因としてあげられます。
そんな中ですが、農林水産物や食品の輸出は年々増加し、好調が続いています。

後間
なぜ農林水産物や食品の輸出は好調なのでしょうか。

宮里
まずはこちらをご覧ください。
日本の食の輸出額は、昨年初めて1兆円を突破し1兆2385億円となりました。
これには日本政府が輸出拡大に向けた様々な取り組みを積極的に進めてきたことなどが要因といえますが、実は新型コロナウイルスの感染拡大による世界の巣ごもり需要も追い風になったとみられています。

感染拡大の前に、日本を訪れる外国人観光客が大幅に増加し海外での日本食の人気が高まっていました。
こうした日本人の需要が高まるなか、通販や現地スーパー向けの輸出が増え、さらには中国やアメリカなど、もともと日本の有力な輸出先だった国や地域の経済活動が回復に向かってきたおかげで輸出が順調に伸びたというわけです。

後間
なるほど。具体的にはどのような輸出品が人気なのでしょうか。

宮里
昨年の輸出増加額が大きかった主な品目をみてみると、増加額が325億円と最も大きくなったのはホタテです。これはアメリカでの生産量が減り単価が上昇したことや、主な産地である北海道での生産量が増加したことが主な要因です。
このほか増加額が248億円の牛肉や160億円の日本酒は、外食需要の回復や小売店向けやインターネット通販の増加が大きく影響しています。

後間
国は今後の食の輸出拡大へ向けてどのような取り組みを行っていくのでしょうか。

宮里
国では食の輸出拡大を目指すため実行戦略をまとめています。
1つ目は、日本の強みを最大限に生かす品目を選んで、その品目別に具体的な目標を設定することです。
2つ目は、海外で求められる品目を生産する「マーケットイン」という考え方にのっとり輸出にチャレンジする生産者を国として積極的に後押しすることです。
3つ目は政府が省庁の垣根を越えて一体となり、輸出にかかわる様々な障害を克服することです。
政府は昨年、農林水産省に「輸出・国際局」を設置し、世界各国との交渉などの業務を一元的に担う体制に組織を改編しました。

後間
このような戦略が成功して、日本の食の輸出がよりいっそう拡大することに期待したいですね。宮里さんありがとうございました。

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