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OTV報道部

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“ロコモ”を知っていますか? 元気に自分の足で歩き続けるために!

「ロコモ」という言葉をご存じだろうか。
「立つ」「歩く」といった移動機能が低下している状態のことを表していて、さまざまな事情から沖縄は全国よりもロコモのリスクが高いと言われている。

要介護や寝たきりにもつながる恐れがあるロコモを知り、齢を重ねても自分の足で歩き続けるポイントを専門家に聞いた。

沖縄で問題となっている“ロコモティブシンドローム”

元気にスクワットする西平幸子さん(78)。トレーニングを日課にしたきっかけは2018年に転倒し右足の大腿骨を骨折したことだった。

西平幸子さん(78)
「(リハビリは)もうしごかれました、厳しいです。スクワットよりきつかったです」

西平さんのように思わぬケガにつながり、いま沖縄で問題になっているのが運動機能の低下、ロコモティブシンドローム通称ロコモ。

琉球大学病院 整形外科 当真孝医師
「通常ロコモティブシンドロームは、1回こういうケガがもとで悪循環で、どんどん歩けなくなる方が多いんですけれども。(西平さんは)ケガする前よりも元気になっているような印象さえ感じます」

ロコモとは体を動かすために必要な骨や関節、筋肉、神経などの運動器の障害によって移動するための能力が不足したり、衰えたりする状態を指す。

ロコモを研究する琉球大学医学部整形外科医の西田康太郎さん。

琉球大学・医学部 整形外科 西田康太郎 教授
「運動機能が低下するっていうところと、やっぱりですね、ちょっとつまずきやすくなったりとか、すぐよろけてしまう、あるいはこけてしまうと、いうふうな状態が一番考えやすいんじゃないかと思います」

ロコモに起因した転倒や骨折などで生じる運動器の故障は要支援や要介護、寝たきりになってしまう原因の一つとされている。

全国平均と比べて歩かない 沖縄特有の事情も背景に…

そんなロコモが沖縄で問題になっているのは沖縄特有の事情も背景にあるようだ。

琉球大学・医学部 整形外科 西田康太郎 教授
「元々車社会で、沖縄県民はあんまり歩かないというふうに言われておりまして、実際県のデータでも、全国平均と比べて歩かないというのはデータはっきりあるんですよね」

40代を過ぎた頃から、足腰の筋肉は衰え始め50代では急激に低下。20歳から75歳までに筋肉量は半分になると言われている。

普段から歩かない、運動しないことは肥満にもつながり、体重が重くなると、膝関節や腰に負担がかかって痛みの原因となり、その影響でさらに運動が出来なくなるなど、ロコモが悪化する負のスパイラルに陥ってしまうのだ。

ロコモと密接な関係にある病気 「骨粗しょう症」

ロコモと密接な関係にある病気がある、骨の量が減って骨が弱くなる「骨粗しょう症」だ。

琉球大学・医学部 整形外科 西田康太郎 教授
「骨粗しょう症になりますと、骨がもろくなって大変折れやすくなる状況があります。ロコモになると、移動機能障害ってわけですから、歩いたりとか移動するのがちょっと、おぼつかなくなってくるということになりますと、当然転びやすくなるわけですね、転んだら簡単に骨が折れてしまうというふうな悪循環が成り立ってしまいます」

実際に沖縄県では、転倒して太ももの付け根を骨折する患者数が全国で最も多く骨粗しょう症が関わっていると考えられている。

では、骨折やロコモを予防するためにはどうすればいいのだろうか。

それは、やはり「運動」すること。日本整形外科学会は、「ロコトレ」と呼ばれる2種類の運動を推奨している。

まずは「片脚立ち」片脚立ちはバランス能力をつけるもので、左右1分間ずつ、1日3回行う。

スクワットは下肢筋力をつけるトレーニングで、深呼吸をするペースで5~6回繰り返し、1日3回行う。

西田教授は、まずは日常生活の中で、体を動かす意識作りから始めて欲しいと話した。

琉球大学・医学部 整形外科 西田康太郎 教授
「近くの距離であれば、なるべく歩くとかですね、近くの階であれば階段をちょっと使ってみるとか、普段からそういうふうな心がけを持っていただくのは一つ非常に大事かと思います」

「無意識に」日常の中に体を動かす工夫を

2018年に転倒して足を骨折した西平幸子さんも、実は骨粗しょう症だったことがわかった。リハビリを終えた後もロコトレに取り組み続けている。

西平幸子さん(78)
「筋肉を強化するためスクワット、かかとを上げてつま先立ち、それと片足立ち」

日常の生活の中でも無理の無い範囲で体を動かす工夫をしているそうだ。

西平幸子さん(78)
「お台所に、立つときでも、包丁をもつときとかっていうのはつま先で立つ、生活の中で、無意識のうちにやっています。休むときは、ベッドだとベッド体操します」

気が向いた時には趣味のトレッキングなども楽しんでいると話す西平さん。マイペースで行うことがロコモ予防に繋がっていると秘訣を話してくれた。

新型コロナの影響でロコモは潜在的に増加している懸念も…

今、沖縄が取り組まなくてはならないロコモ予防。しかし、言葉自体あまり知られていない現状がある。県整形外科医会が2020年行った調査によると、ロコモを知っていると答えた人は26.6%で全国平均を下回った。

新型コロナウイルスの影響で、重症化リスクの高い高齢者ほど外出を控えるなどロコモに陥っている人が潜在的に増加している恐れもある。ケガや寝たきりを防ぎ元気に歩き続けるためにも、県整形外科医会ではロコモについて広く知って欲しいとしている。

琉球大学・医学部 整形外科 西田康太郎 教授
「やはりこれは県民全体の問題なので、県のほうのサポートであるとか、あるいはその健診に骨粗しょう症とかロコモを入れて頂く形であればもっと広く県民に周知できるんじゃないか」

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