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真崎 睦美

真崎 睦美

移動手段は徒歩とチャリ。沖縄で”車なし生活”はきつい?と聞かれたら

ライター真崎 ”2度目の沖縄くらし”だより

車社会・沖縄で、かれこれ1年”車なし生活”を送っている。

以前のコラムにも書いたが、移住後最初の居住地に那覇を選んだのは「車を持たなくても暮らせそうな都市だから」に尽きるし、車を持たない理由は「お金がかかるから」に尽きる。

目次

1度目の沖縄暮らしでは車を持っていたけれど

―――――――――――――――
車代:200,000円(友人から買った中古の軽自動車)
保険代:35,000円/年
駐車場代:3,000円/月
ガソリン代:7,000~10,000円/月
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こちらは6年前、1度目の沖縄暮らし時における車周りの諸経費である。

沖縄移住時点で極貧フリーランス2年目、貯金5万円な人間にとってはDead or Aliveな大出費。車代20万円を泣きの6回払いにしてもらったのは思い出すたび泣ける。

6回払い20万で買った当時の愛車
6回払い20万で買った当時の愛車

いまでこそ、会社員生活のおかげで貯金に多少の余裕はある。しかし、周りがちょっと目を離した隙にたびたび無職となるような潜在ニートの財布を決して信用してはならない。

不定期で訪れる”ひとり大恐慌”にそなえ、出費はできるだけ抑えておきたい。どうしても車が必要だと感じたらそのとき買えばいい。

ということで、移住後すぐの車購入は選択肢からすぐに排除。

友人から買った中古のママチャリ(5千円 一括払い)を相棒に、わたしは車なしの沖縄生活を実験的に始めた。

沖縄車なし生活における移動手段

・通勤や買物など、移動は基本的に自転車
・雨の日やブラブラ街を回りたいときは徒歩
・ちょっとした遠出や運動用HPがゼロのときはバス・ゆいレール

当初、わたしの車なし生活はこんな感じだった。

那覇市内の会社に通い、近所のスーパー・コンビニ・薬局で買物を済ませる。ブラブラ歩き回ったり友人らと遊ぶ&飲むのはほぼ那覇。

豊見城や浦添の友人宅へ遊びに行くこともあったが、ママチャリでもギリギリ行ける距離だった。それ以上に遠い場所にはバスを使う。

ゆいレールは最寄り駅まで家から徒歩15分かかるので、使用頻度はそこまで多くない。ただし、那覇市内といえど坂道のレベルが段違いすぎる首里には、ママチャリが無謀すぎるのでゆいレールで行った。

首里城からの景色。ここまでママチャリで来たので瀕死状態で眺めた
首里城からの景色。ここまでママチャリで来たので瀕死状態で眺めた

「沖縄 車なし」とGoogle検索すると、必ず検索予測の上位に出てくるキーワードが「きつい」だ。そしていざ検索してみれば、車なし生活経験者たちの阿鼻叫喚な体験談がザクザク出てきて目がきつい。

では、わたしの場合はどうか。

車なしの沖縄チャリ生活をしばらく送ってみた感想は、個人的には「きついとまではいわないけれど」という感じである。

車なしでも”生活はできる”けど・・・

暑い、雨の日がつらい、買い物がちょっとしんどい……

そんな多少の不便はもちろんあるが、車なし生活が「きついとまではいわないけれど」の先に続くのは「絶妙に物足りない」である。

わたしは海や夕日を観るのが好きで、以前の車あり生活では、夕暮れ時になるとほぼ必ず北谷や宜野湾マリーンシティなどの海×夕日スポットに車を走らせた。車があれば、思い立てばすぐに沖縄本島のどこにでも行けた。

でも、いまは「海が見たい!」「夕日が見たい!」と思ったそばから「でも行くのが面倒くさい!!!!」が圧勝して結局家にこもることがほとんど。

歩く・ママチャリを漕ぐ気力はなかなか都合よく湧いてこないし、バスは那覇を離れるほどに本数は減るし時間どおりに来ない。車がある時には当たり前だった「迅速かつピンポイントな移動」ができない。

そして、良くも悪くも「日常のほぼ9割が那覇市内で完結してしまう」という現状に、じわりじわりとフラストレーションが溜まっていった。

写真だと分かりにくいが、引くほどサビた愛車
写真だと分かりにくいが、引くほどサビた愛車

さらに、追い打ちをかけるように自転車がサビた。

海に囲まれた沖縄では「車がすぐサビる」とはよくいわれるが、例外なく自転車もよくよくサビる。

サドルの高さ調整部分がサビて動かしづらくなり、ブレーキのギィギィ音もどんどんひどくなり、自転車にのる頻度もどんどん減っていった。

ということで、原付バイクを買うことにした

とはいえ、まだ車を買おうとまでは思わない。そこで目をつけたのが原付バイクである。

というのも、以前に宜野湾在住の友人が「車なし原付バイク生活」を送っていたのを思い出したからだ。

那覇市外で車なし!?と驚いたが、彼女いわく「原付があったら通勤もお出かけもそんなに困らなかったよ。あと駐車場もいらないしガソリン代も安い。原付生活はお金がかからない」とのこと。最後のひと言は潜在ニートの耳に効く。

車の便利さには及ばなくても、原付バイクがあれば「迅速かつピンポイントな移動ができない問題」が大幅に緩和されるのでは??

車なし生活の不便を解消する、完璧なソリューションなのでは!???

なんとなく危なそうで怖いと利用を避けていた原付バイク。人生33年目にして、はじめて購入を検討することにした。

会社の先輩にはスーパーカブを激推しされ、バイクショップでチェックしていた
会社の先輩にはスーパーカブを激推しされ、バイクショップでチェックしていた

沖縄生まれ&育ちの知人に「中古の原付バイク買うならどこがおすすめですか?」と聞いてみたら「ジモティー」と即答された。

“中古あげます・譲ります”でおなじみ、地元の掲示板ことジモティー。わたしも以前から沖縄で利用しており、トースターや全身鏡などの生活用品を買ったりしていたが、まさか原付バイクまで…??

実際にジモティーで検索してみると、「車を買ってのらなくなったので!」などの理由で意外とたくさん原付が出品されていた。ジモティーにはマジで大概なんでもある。

※わたしがいっても説得力のカケラもないが、安心安全を考えるならバイクショップでちゃんと整備されたものを買ったほうがいいと思う。

原付を購入した筆者

いくつか検討して出品者とやりとりし、試乗もさせてもらい、6月某日についに原付バイクを手に入れた。

受け渡しは奥武島にほど近い南城市某所。原付ペーパードライバーだったわたしは、友人の付き添いで奥武島を低速でひたすらぐるぐる走って運転の練習をした。ついでに名物のもずく天も食べた。

そして、奥武島を出て那覇の家まで帰る。「これで奥武島までの範囲ならいつでも原付でいける……!」と密かに感動で震えた。

沖縄原付バイク生活の模様は・・・

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原付代:35,000円(ド中古)
駐車場:なし
ヘルメット:5,000円
自賠責保険:5,710円/5年
任意保険:16,958円/年
ガソリン:800円/月(!)
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こちらは、原付バイク周りの諸経費である。

原付生活をしていた友人のいうとおり、車よりも諸々めちゃくちゃ安い。ガソリン代が車のおよそ10分の1になったことには驚きと歓喜の涙を流した。

会社帰りに原付で浦添パルコシティまで行って夕日を見た。労働後の身体に沁みる
会社帰りに原付で浦添パルコシティまで行って夕日を見た。労働後の身体に沁みる

そして、原付をゲットしてから明らかに行動範囲が拡がった。徒歩・ママチャリでは重くなる腰が、バイクだとフワッフワに軽くなる。

南は糸満市や南城市、北はまだ宜野湾あたりまでだが、ふと「ここ行ってみたいな」と思い立ったらすぐ原付を走らせる。おもろまちの会社からの帰りに、ふと夕日だって観に行ける。馬力が心配だったオンボロバイクだが、いまのところ首里の坂もなんとか上れそうだ。

車があるときの移動範囲には適わないが、那覇を超えて再び沖縄を広く動き回れるようになった。

”沖縄車なし生活”の質を上げるうえで、原付バイクは120%の大正解だった。

まとめ:「めでたしめでたし」と思うだろ?違うんだ

そしてわたしは、日々原付バイクにのって心赴くままに好きな場所へ行く、優雅な「沖縄原付バイク生活」を送っている……

ってなワケでは決してない。

というのも先日、雨上がりの330号線で見事に滑って転び、以来すっかり原付にビビッてしまっている。

330号線、ゆいレールおもろまち駅~安里駅間のこの辺で転んだ。ビックリした
330号線、ゆいレールおもろまち駅~安里駅間のこの辺で転んだ。ビックリした

幸いすり傷のみで済んだが、スリップ時の「ツルッ」という感覚が若干トラウマとなっている。「沖縄の道路は滑りやすい」とは常々聞いていたけど結構マジです。

とりあえず「雨の日や雨上がりには絶対原付にのらない!」と誓ったが、沖縄はサンサンとした快晴の10秒後にゴリゴリのゲリラ豪雨が来たりするので「雨上がりにのらない」のハードルが高すぎる。

結局、いまでも移動手段の7割は「徒歩」である。もちろん通勤やちょっとした遠出で原付にのることもあるが、そのたび転倒を恐れて身体がカチコチになるので難儀だ。

もう次はいよいよ車か………

と見せかけて、なおも往生際悪く、いまは「カーシェア」について調べているところである。

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