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くらしと経済編集部

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更年期で離職 経済損失は6300億円

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は更年期症状がもたらす経済損失について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。

宮里
よろしくお願いします。

更年期で離職 経済損失は6300億円

後間
早速ですが、更年期症状について教えてください。

宮里
はい。女性の閉経前後の10年間、40代後半から50代後半を更年期といいます。
更年期症状とは、個人差はありますが、女性ホルモンが急激に減少することによってほてりや不眠、けん怠感、気持ちの落ち込みなどさまざまな心身の不調を引き起こすことをいいます。

更年期の症状

後間
更年期症状による体の不調は、日常生活や仕事になんらかの影響があるのでしょうか

宮里
はい。更年期症状の実態はこれまで調査されてきませんでしたが、2021年7月に専門機関によって調査が行われ、更年期症状が働く人に深刻な影響をもたらしていることが明らかになりました。

更年期症状が原因で離職したり、休職や降格を余儀なくされたりすることを「更年期ロス」といい、働く女性たちにとって深刻な問題になっています。
調査結果では「更年期ロス」にあたる女性は推計で100万人を超えるようです。
また「更年期離職」による経済損失は男女合わせて年間およそ6300億円に上ることが分かりました。

更年期症状による仕事への影響

後間
これまで更年期ロスがあまり認知されてこなかったのはなぜなのでしょうか?

宮里
はい。この調査によると、従業員の8割を女性が占める会社が行った社内アンケートでは、回答者のうち半数以上が更年期症状を自覚していましたが、誰にも相談していないという結果になっています。
つまり、誰にも相談せず一人で悩んでいた人が多かったことが、「更年期ロス」の認知度が低かった要因だと思われます。

相談した相手

後間
更年期ロスの対策はあるのでしょうか?

宮里
はい。具体的な対策はこれからという感じです。更年期の年齢はちょうどキャリアアップの重要な時期と重なりますが「更年期離職」で、その可能性が断たれてしまうのは大きな問題です。企業が相談体制の整備や医療機関の受信を促すなど、離職を食い止める防波堤をつくることが重要です。

先の調査で更年期症状と仕事を両立するために、国や職場でそんな支援や制度が必要か尋ねたところ、女性では「育児休暇や生理休暇の使いやすさ」が43.6%で最も多く、次いで「休んだときの収入補償」が41.6%でした。男性で最も多かったのは「休んだときの収入補償が40.2%、次いで「治療の経済的支援」が34.3%でした。

仕事の両立へ必要な支援

後間
国や企業の取り組みにも期待したいですが、治療方法などはあるのでしょうか?

宮里
はい。更年期医療の専門医などでつくる日本女性医学学会は、ホルモン補充療法を「症状を改善できる国際的な標準治療」だとして推奨しています。
専門資格をもつ医師が全国にいますが、沖縄県内で登録された専門医は10数名程度です。当事者が全国どこでも医療機関を受診できるような環境整備が求められているのではないでしょうか。

後間
今後の進展に期待したいですね。宮里さんありがとうございました。

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