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OTV報道部

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三線工として初めて“現代の名工”に選ばれた又吉章盛さん 「汗と涙の結晶」三線作りに込める想い

三線を作る三線工として初めてうるま市の又吉章盛さんが「現代の名工」に選ばれた。
三線作りを心から楽しむ又吉さんを取材した。

三線の基本型をすべて作ることができる唯一の職人

伝統工芸や最先端のものづくりまで卓越した技能をもつ人を国が表彰する「現代の名工」。
2022年、うるま市の三線職人又吉章盛さんがその一人に選ばれた。

又吉さんは、これまで55年間に渡って多くの三線を手がけ、7種類の基本型すべてを製作できるのは又吉さん1人だ。

現代の名工・三線工 又吉章盛さん(81)
「本当に自分としても今まで、ぶれずに一筋にやってきたのが認められたんじゃないのかなと。(受賞は)汗と涙の結晶じゃないですか」

又吉さんは、三線製作者の育成塾を開き、これまで60人余りに技術を継承してきた。

現代の名工・三線工 又吉章盛さん(81)
「まず三線は、音が命。(棹の)こっちに空間空洞置いたら、音を遮られる。昔はずっと深く取っていたけど、これは音に対しては、僕が(浅く)取った棹の方がいい音が出る」

琉球古典音楽・野村流音楽協会の師範免許も持つ又吉さんは、週末には、地域の子どもたちを対象に、三線教室も開いている。

カンカラ三線を作った思い出が又吉さんの心に情熱を灯す

2022年で81歳の又吉さんが、現代の名工に至るその礎には終戦直後のある体験があった。

現代の名工・三線工 又吉章盛さん(81)
「当時はカンカラ三線を作っていたんですよ。当時は三線普及してないでしょ。カンカラ三線を作ってあげた。そうしたら大人が喜んでですね。大人が喜ぶ顔を見たら、カンカラ三線をどんどん作るんですよ。それがいわゆる三線工に入った始めじゃないかな。楽しかったです」

戦後、県民の心の拠り所となったカンカラ三線を作った思い出が今もなお、又吉さんの心に情熱の火を灯している。

現代の名工・三線工 又吉章盛さん(81)
「三線作るのはいくら作っても楽しくて。作らないとストレスが溜まる。それがずっと積み重なって現在に至ったんじゃないのかな」

「三線は沖縄の人の心」

又吉さんは三線の普及を目的にブラジルやペルー、ボリビアなど、海外の県人会へ製作した三線を寄贈している。

現代の名工・三線工 又吉章盛さん(81)
「三線は沖縄の人の心ですよ、三線は。僕のいとこが外国のペルーにいるんですよ。沖縄には来たことない、だけど三線の音を聞いたら涙がポロポロ出るそうです。これ、沖縄人の遺伝子が残ってるんじゃないかと。勝手に思っています」

「現代の名工」又吉さんの視線は未来を見つめている。

現代の名工・三線工 又吉章盛さん(81)
「沖縄では70軒あまりの三線工がいらっしゃるんですよ。これからはみんな手を取り合って、学びあう、そうして、技術をもっともっと上げる。(みんな)現代の名工取れるようにと、たくさん出たらいいなと。そう思います」

沖縄の文化を支える「三線工」。その音色を未来へ伝えるべく、名工はきょうも三線と向き合い続ける。

Q.三線作りは楽しいですか?

現代の名工・三線工 又吉章盛さん(81)
「楽しいですね。僕から三線取ったら終わりですよ。楽しいです。いっぱい見てもらいたいです」

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