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OTV報道部

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2022年11月 沖縄ニュースまとめ 沖縄テレビ報道部が8つのニュースをピックアップ

OKITIVEでは新たな企画として、月に1度、政治・経済・事件・事故・スポーツ・文化などすべてのカテゴリーの中から、沖縄テレビ報道部がOTVの8チャンネルにかけて8つのニュースをピックアップして振り返ります。

目次

①日米共同統合演習 安全保障の狭間の島の人々は…

日米共同統合演習 与那国島で機動戦闘車が公道を走行

米中の緊張を背景に 日米の基地共同使用は今後増える

日米共同統合演習 与那国島で機動戦闘車が公道を走行

11月10日から自衛隊とアメリカ軍による日米共同統合演習 キーン・ソードが沖縄本島を始め与那国島など南西諸島で実施された。

外交安全保障に詳しい沖縄国際大学の野添文彬准教授は「台湾有事の可能性が高まってるなかで、日米の連携を深めてなおかつ中国に対して抑止をしていく」と今回の演習の狙いを読み解くとともに、今後自衛隊基地であっても米軍が使用することは増えると予想する。

台湾からおよそ110キロの与那国島では、今回の演習で機動戦闘車が町内の公道を走行した。住民からは「子どもたちにこれから戦争がはじまるのを見せるようなもの」「基地があるから狙われる」とする声が上がった。そのいっぽうで安全保障の観点から演習に対して賛成する住民もいて様々な意見が聞かれた。

今年8月には米下院議長が台湾を電撃訪問したことで、中国側が弾道ミサイルを発射し、台湾から約80キロの沖合・日本の排他的経済水域EEZに打ち込まれた。

こうした事態に与那国町漁業協同組合の嵩西茂則組合長は、「まさか着弾することまでは想定していなかった」と話し、防衛の観点から訓練は必要との立場を示しながらも、有事に備えた住民の避難計画に関しても全く進んでいないのではないかと不安を募らせている。

沖縄国際大学の野添文彬准教授は「抑止力を強化するだけではなく、住民保護をセットで考えなければいけない。そういうのを抜きで訓練だけ進めていくのは住民の不満をますます高めるだけだと」指摘する。また、野添准教授は「抑止力を高めるだけでなく、戦争を避けるためにどういう風に平和的な地域を作っていくのか外交努力も大事であり、そうしたビジョンを考えることも求められていると」強調する。

抑止力の強化が叫ばれる一方で、有事を起こさないための外交努力こそ力を入れて進めていくべきではないだろうか

②沖縄市高校生失明で警察官を書類送検

沖縄の高校生右目失明 「故意に接触」警察官を書類送検へ

”故意にけが”高校生失明 特別公務員暴行陵虐致傷で男性巡査書類送検へ

【解説】オートバイ高校生失明事件 捜査が難航した背景とその焦点

発生から9か月 高校生失明で男性巡査を書類送検へ

2022年1月にオートバイに乗っていた男子高校生が警察官と接触し失明した事件で、警察は故意に高校生に大ケガをさせた疑いで30代の男性巡査を特別公務員暴行陵虐致傷の疑いで書類送検した。

当時、現場にいたのは高校生と男性巡査の2人だけで、防犯カメラもなく目撃者もいなかった。高校生は「警察官に棒のようなもので殴られた」と話すいっぽう、男性巡査は「手に警棒を持った状態でオートバイを止めようとしたが、どこに当たったかわからない」と釈明し双方の認識に食い違いがあった。

このため警察は、男性巡査が手にしていた警棒が高校生にあたった角度を検証したり専門家からの意見を聞くなど、客観的な証拠を積み重ねる必要があり、捜査に時間を要した。また、今回の事件を巡っては業務上必要な注意を怠り人にけがをさせた場合に適用される「業務上過失致傷罪」と、警察官などが職務を行うにあたり故意に暴行などを加えてけがさせた場合に適用される「特別公務員暴行陵虐致傷罪」のどちらを適用するのかも焦点だった。

結果的に特別公務員暴行陵虐致傷罪が適用されたことについて、刑事事件に詳しい沖縄国際大学の中野正剛教授は「男性巡査に少なくとも相手にけがを負わせるかもしれないという認識はあったのではないかと警察としてみたのではないか」と推察する。

県警の壱岐恭秀警務部長は「このような事案が二度と起こらないよう、職員への指導監督を徹底し、再発防止と県民の信頼回復に努める」としている。

今後は検察が起訴するかどうかの判断が注目される。

③令和の起工式 首里城正殿を再建へ

首里城正殿の再建工事が本格的に始まる 令和の起工式

首里城正殿の再建工事が本格的に始まる 令和の起工式

2019年に焼失した首里城は再建にむけた工事が本格化した。
11月3日、正殿の再建に使用される御材木(おざいもく)を運ぶ木遣行列(きやりぎょうれつ)と起工式が行われた。

礼服に身を包んだおよそ160人が、中山門跡(ちゅうざんもんあと)から守礼門(しゅれいもん)までの綾門大道(あやじょううふみち)を練り歩き琉球王国時代の儀式を再現した。

木遣行列で運ばれたのは、樹齢98年、長さ9メートル、重さ4トンのオキナワウラジロガシ。木遣行列に先立ち琉球王国時代に工事の無事を願って歌われた「大城(うふぐしく)グェーナ」も披露された。

沿道には多くの見物客がつめかけ「こういう儀式があることを初めて知って見られてよかった」「早く素晴らしい首里城が復活できれることを願っています」と話していた。

このあと起工式が行われ、玉城知事をはじめ関係者が出席し工事の安全を祈願した。首里城正殿は2026年秋の完成を目指している。

④男子プロゴルフ比嘉一貴が賞金王に輝く

プロゴルフ比嘉一貴が賞金王に輝く 県勢二人目の快挙

男子プロゴルフ・比嘉一貴選手が賞金王に輝く 不断の努力が実る

11月27日、比嘉一貴選手はカシオワールドオープンを37位で終えて、今シーズンの獲得賞金を1億8004万円余りとし、最終戦を残して初の賞金王を決めた。

身長158センチとツアーで最も小柄だが、地道な体幹トレーニングで培ってきた豪快かつ正確なショットでツアーを席巻し、「小さな巨人」と称される。

今シーズンは、安定感抜群のショットを武器に国内3大大会の一つに位置づけられる日本ゴルフツアー選手権を含む4勝を挙げるなど大ブレークを果たした。

賞金王獲得に本部高校時代に比嘉を指導した恩師の知念洋史さんは「沖縄県のジュニアゴルファーの希望の星そのものだと思うので、小さな体格でも夢を実現できる、より高いところを目指せるというのを今後も続けて体現してほしい」と喜びを語った。

自宅の庭に鳥かごと呼ばれる練習施設をつくるなど、誰よりも近くで支えてきた父・洋さんは比嘉選手が少年時代に「ゴルフは1日休んだら3日戻ると言っていたから絶対に休まなかった」「小学5・6年生の時は休みの日に3000球とか打っていた、負けん気が強くやりだしたらとことんやっていた」と振り返る。

プロ転向後も不断の努力を続けてきた比嘉選手。

県勢選手の賞金王獲得は2017年の宮里優作選手に続いて2人目。
小さな巨人が大きな偉業を成し遂げた。

⑤沖縄SVがJFLに昇格決定

沖縄SVがJFL昇格決定 県内2チーム目

サッカー沖縄SVがJFL昇格決定 沖縄のサッカー界を盛り上げる

11月27日、沖縄サッカー界にとって嬉しいニュースとなった。
全国地域チャンピオンズリーグ決勝ラウンド第3戦で沖縄SVは愛知県のFC刈谷と対戦。

第1戦と第2戦を引き分けて、勝ち点2の沖縄SVは最終戦に気合がみなぎっていた。前半から九州リーグの得点ランク1位と2位の山田雄太と一木立一のゴールが決まり、3-0で前半を折り返すと、後半は予選から全試合を無失点に抑えてきた守備力も光、さらに1点を加えて4対0で快勝し、悲願のJFL昇格を決めた。

髙原直泰選手兼監督は「昇格をきっかけに沖縄県をもっと巻き込んで盛り上げていけるように来年はしていきたい」と話した。

JFL昇格はFC琉球に次いで県内2チーム目で、創設7年目の沖縄SVが沖縄サッカー界の歴史に新たな1ページを刻んだ。

⑥又吉章盛さんが現代の名工に 三線工としては初

三線工が初めての現代の名工に

又吉章盛さんが「現代の名工」に選ばれる 三線をつくる三線工としては初

伝統工芸や最先端のものづくりまで卓越した技能をもつ人を国が表彰する「現代の名工」。2022年11月、うるま市の三線職人又吉章盛さんがその一人に選ばれた。

又吉さんは55年間に渡って多くの三線を手がけ、7種類の基本型すべてを製作できるのは又吉さんだけ。

現代の名工に至るその礎には終戦直後のある体験があると話す。

現代の名工・又吉章盛さん
「カンカラ三線を作ってあげた。そうしたら大人が喜んでですね。大人が喜ぶ顔を見るたら、カンカラ三線をどんどん作るんですよ。それがいわゆる三線工に入った始めじゃないかな」

戦後、県民の心の拠り所となったカンカラ三線を作った思い出が、今もなお又吉さんの心に情熱の火を灯している。又吉さんは三線の普及を目的にブラジルやペルー、ボリビアなど、海外の県人会へ製作した三線を寄贈している。

又吉さんは「これからはみんな手を取り合って、学びあう、そうして、技術をもっともっと上げる。現代の名工がたくさん出たらいいなと思う」と喜びを語った。

⑦芭蕉布などの名曲・普久原恒勇さんが死去

「芭蕉布」など名曲数々 普久原恒勇さん(89)死去 普久原メロディー親しまれ

「芭蕉布」など数々の名曲 音楽家・普久原恒勇(89)さんが死去

1932年に大阪で生まれた普久原恒勇さんは、生後間もなくマルフクレコードの創業者・普久原朝喜の養子となり、レコード会社を手伝う傍ら、大阪で音楽学校に通い西洋音楽を学び27歳で沖縄に帰郷。マルフクレコードの経営を譲り受けると、琉球民謡の作曲やプロデュース活動を始める。

沖縄らしさを大切にしながら生み出される楽曲は、「普久原メロディー」と呼ばれ、1965年には不朽の名曲「芭蕉布」が誕生した。

作曲活動60周年を迎えた2021年、OTVの取材インタビューで次のように語っていた。

普久原恒勇さん
「うたは世につれ、世はうたにつれと言いますけれども、うたって何かと一言で言えば、残るうたですね、歌い継がれるうた、作者が誰かわからくなってもうたに生命がある、命があるかどうかです、誰の作品かわからないけれどもうたを知っている、これが一番の理想的なんですよ」

今月3日の告別式には普久原さんにゆかりのある多くの関係者が参列し、別れを惜しんだ。

饒辺愛子さん 代表曲「肝がなさ節」(普久原恒勇さん作曲)
「とにかく人を愛する方でした」
「感謝申し上げております これからも見守ってくださいと心で念じました」

吉川安一さん 「芭蕉布」を作詞
「芭蕉布、ふるさとの雨」
「(共に手掛けた作品は)数えることができない 私の記憶にはたくさんあります」
「あの世でも作曲活動をしてもらいたいなとそういう思いです」

「普久原メロディー」はこれからも受け継がれていく

⑧MROが世界基準の航空機整備場に認定 国内では初

沖縄の航空機整備事業 国際的な基準に合格!

MRO JAPAN 世界基準の整備資格取得  海外の需要取り込みに期待

那覇空港で航空機の整備事業を担うMRO JAPANがヨーロッパで航空機の規制や、
安全管理を取り仕切るEASA・欧州航空安全庁の航空機整備事業場の認定を取得した。

MROの品質の高さが世界基準で認められたかたちで国内では初。
MROはスイスに拠点を構える富裕層向けのチャーター機を運航する企業と整備委託先として契約を交わしていて、今後、海外の航空機整備需要をさらに取り込むことが期待される。

高橋隆司社長は「沖縄の企業としてアジアを結ぶ交流の架け橋であった沖縄の立地を最大限に活かして、需要をつかまえる」と意気込む。

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