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くらしと経済編集部

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いま注目される「温泉発電」とは?

後間
こんにちは。後間秋穂です。
「太陽光」や「風力」など、さまざまな再生可能エネルギーが発電に利用されていますが、中でも今注目されているのが「温泉」を利用した発電です。
今回は「温泉発電」の最新事情について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。

宮里
よろしくお願いします。

後間
沖縄は「温泉」のイメージがないので想像しにくいですが、詳しく教えて下さい。

宮里
はい。日本は全国各地に温泉があり、世界屈指の「温泉大国」と言われています。
「温泉発電」は「地熱発電」の一種なので、その仕組みを確認したいと思います。

地熱発電の仕組み

宮里
火山の下のマグマだまりは、1000度もの高温で周りの岩石や水を熱する「地熱貯留層」を形成することがあります。
これを利用するのが「地熱発電」で、くみ上げた「蒸気」と「熱水」を分離し「蒸気」を使ってタービンを回して発電する仕組みです。
仕事を終えた「蒸気」は冷却され、今度はタービンを回す「蒸気」の効率を高めるために使われます。

後間
マグマが持っている熱の力を活用し、循環利用しているわけですね。

宮里
おっしゃるとおりです。
地熱発電は今、脚光を浴びている再生可能エネルギーです。
その地熱発電には大きくわけると「フラッシュ発電」と「バイナリー発電」という2つの方式があります。
日本で主流となっている方式は「フラッシュ発電」ですが、フラッシュ発電よりも深く掘る必要がなく、開発のコストや期間を抑えられる「バイナリー発電」が今後期待されています。

後間
小規模な施設で発電できるのであれば普及が進みそうですね。

宮里
はい。こちらで一般的な「バイナリー発電」の仕組みをご紹介しながら説明します。

バイナリー発電の仕組み

宮里
「バイナリー」とは「二つの」といった意味の英語で、「温泉などの熱」と「加熱した媒体の熱」という二つの系統の熱を指しています。
「蒸気」が150度程度以下の中低温の場合、パワーが足りずタービンを回すことができませんが、「バイナリー発電」の仕組みでは、沸騰温度が低い物質を加熱することでタービンを回すことができます。

後間
温泉大国・日本では最適の発電方法といえそうです。
実際に導入されている地域があるのでしょうか?

宮里
はい。「温泉発電」は全国9か所で導入されています。

日本国内の温泉発電の事例

宮里
このうち鹿児島県の事例を紹介しますと、温泉地の一つとして知られている指宿市では、ある企業が温泉発電所を稼働させています。
今まで利用されなかった源泉の「蒸気」を発電に活用した上で、その発電過程でできた「熱水」を同社が運営するホテルで使う仕組みです。

ロシアによるウクライナ侵攻を機に世界各国のエネルギー安全保障が揺らいでいる今、自国の資源を活かしエネルギーを確保することは、かつてなく重要な課題になっています。
そういった背景からも温泉発電への期待は高まっています。

後間
今回は「温泉発電」の最新事情について、宮里さんにうかがいました。ありがとうございました。

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