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くらしと経済編集部

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中高層ビルも木造で。増加する木造建築

後間
こんにちは。後間秋穂です。
高層建築では「鉄筋コンクリート造り」が主流とされているなか、このところは「木造建築」がトレンドとなっているそうです。
きょうは「木造建築」の最新事情について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。

宮里
よろしくお願いします。

後間
「木造建築」でも高層ビルを建てることができるとは、大変驚きです。

宮里
本当にビックリしますよね。
例えば、2025年に大阪市で開かれる「大阪・関西万博」では会場のシンボルともいえる「大屋根(おおやね)」が木造で建築されるそうです。
1周当たり2キロメートルと巨大で、運営団体は世界最大級の木造建築物になるとしています。

後間
いま木造建築が注目される背景には何があるのでしょうか?

宮里
はい、主に4つほどの背景が考えられます。

木造建築が注目される背景①

宮里
まず一つ目は、木造建築を促進する法律が制定されたことです。
この法律は省庁や自治体に木材利用を通じて森林を整備したり、木材自給率を向上させる責務があると規定した法律です。
低層の施設などは木造化を検討化することが義務化されていて、民間の事業者も、国や自治体による木造化の取り組みに協力することが求められています。

後間
木造建築の技術も進化しているんですか。

宮里
そうなんです。近年注目度が高まっている
建築材料に「CLT(シー・エル・ティー)」「直交集成板」と言われる部材があります。

木造建築が注目される背景②

宮里
木材は天然素材のため、強度の違いなど品質にばらつきがありますが、繊維の向きを揃えて、複数の板を張り合わせることで強度を向上させることできます。
CLTは、そうした特性を活かし強度を獲得した材料です。

後間
木の弱点を克服した建築素材が登場してきているということですね。

宮里
おっしゃるとおりです。さらに燃えにくい木材の開発も進んでいますので、利用が加速していくものとみられています。

後間
3つめの背景は何でしょうか?

宮里
国産木材への関心の高まりが背景にあげられます。

木造建築が注目される背景③④

宮里
日本は木材自給率が低く、国内で使用する木材の約6割を輸入に依存していますが、実は国土の3分の2を森林が占めているという世界有数の森林大国でもあります。

後間
大規模な中高層建築物を木材で作ることが国産木材の積極利用に繋がるわけですね。

宮里
その通りです。そして4つ目の背景ですが「SDGs・持続可能な開発目標」への関心の高まりです。
樹木は光合成によって二酸化炭素を吸収しますので、その木材を利用することで脱炭素社会の実現に貢献すると考えられています。
さらに企業の環境対策などを投資の判断材料とする「ESG投資」も広がるなか、木造建築は企業価値を高める上でも有効な手段になりますので、今後増えていくことが期待できます。

後間
今後の動向に注目したいと思います。
今回は進化する木造建築の最新事情について、宮里さんにうかがいました。ありがとうございました。

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