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くらしと経済編集部

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不可能を可能にする「人間拡張技術」

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は不可能を可能にする「人間拡張技術」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。
よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

不可能を可能にする「人間拡張技術」

後間
早速ですが、「人間拡張技術」とはどのような技術なのでしょうか?

宮里
人間拡張という用語の明確な定義はまだありませんが、テクノロジーの力によって人間の身体能力や機能を補完・向上させる技術、さらには新たな能力を得る技術を指しています。
今日では、情報技術やロボット技術によって、人間の能力をかつてない高いレベルで補完・向上できるようになってきたことから、人間拡張技術として新たな研究対象になっているのです。

後間
なるほど。では具体的にどのような技術があるのでしょうか?

宮里
はい。東京のある大学教授によると、人間拡張には主に4つの方向性があります。

まず一つ目は「身体拡張」です。義足や眼鏡など、主に肉体の機能を高める方向性です。

二つ目は「知覚拡張」です。例えばバーチャル・リアリティ、仮想現実の技術では視覚や聴覚などを補完・向上させ、まるで別の現実に身を置いているかのような臨場感が得られます。

三つ目は「知能拡張」です。AIと人間が融合することによって新しい知識を獲得するというものです。

四つ目は「存在拡張」です。例えばロボットが自分の分身となって代わりにコミュニケーションを取るなど、自分の存在を、今いる場所以外へ拡大するといった方向性です。

人間拡張の方向性

後間
実際に実用化されている技術はあるのでしょうか?

宮里
はい。2021年、東京のスタートアップ企業が、センサーで体の動きを読み取って、モーターで歩行をアシストする「ロボット義足」を開発し、製品化しました。
この義足は、装着した人の体重移動や膝の曲がり具合を複数のセンサーで把握して動きを予測し、自然な歩行をアシストします。

さらに内臓のセンサーで毎日の歩行データを収集し、利用者にフィードバックすることで、よりよい歩き方の提案につなげることができます。
そのほか、ある大手通信会社では、新しい通信規格「6G」を活用して人から人の動きを再現する開発も進めています。

人間拡張技術の進展

後間
その他、生活の中で活かせる技術もあるのでしょうか?

宮里
はい。国立の研究機関では、介護や健康、労働の分野を中心にサービスの開発に取り組んでいます。
労働の分野では2020年から大手建設機械メーカーと組んで、工事現場作業者の作業意欲を高めるサービスを模索しています。
遠隔操作などの人間拡張技術によって、人と建設機械の協調を高め、作業負担を軽減することで、魅力的な職場環境を作る狙いがあります。

健康面では、センサー技術やロボット工学など、様々なテクノロジーを人間拡張技術と融合し、私たちの運動機能が拡張すれば、運動を継続しようという意欲も高まって、国民の健康増進に貢献できます。

人間拡張技術の可能性

後間
今後の進展に期待したいですね。宮里さんありがとうございました。

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