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くらしと経済編集部

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日本がリードする「ファインバブル」 用途拡大進む

後間
肉眼では見えないほどの非常に細かい泡を指す「ファインバブル」。
今回はそのファインバブルの用途拡大が進む現状について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

日本がリードする「ファインバブル」 用途拡大進む

後間
このところよく耳にするファインバブルですが、詳しく教えていただけますか?

宮里
はい。そもそも泡には大きく分けると「ミリバブル」と「ファインバブル」の2種類があります。

ミリバブルは直径が0.1ミリメートル以上の泡で、日常でよく目にする泡はミリバブルにあたります。

一方、ファインバブルは直径0.1ミリ未満、0.001ミリ以上のマイクロバブルとそれよりもさらに小さい直径0.001ミリ未満のウルトラファインバブルに分けられます。

特にウルトラファインバブルは泡が非常に小さいため浮力が小さく、刺激がなければ浮上も溶解もせず、数週間から数か月水中に残るという性質があります。

ファインバブルの定義と特長

後間
そうなんですね。ではそのファインバブルを発生させる技術はどこで生まれたものなのですか。

宮里
はい。実は日本で生まれた技術なんです。1988年、広島のカキが赤潮で大きな被害を受け、その対策として、ファインバブルを発生させる装置を海中に設置し、海中の酸素量を増やし、カキを活性化させたのが最初だと言われています。

また、ファインバブルには2つの利点があり、一つ目は密着した物と物の間に入り込んで油の成分などを剥がし、除去する脱脂効果。二つ目は殺菌作用のあるオゾンなどの気体をファインバブルの中に封じ込めることで含有濃度が高まり、除菌効果を高めることができるという点です。

後間
さまざまなメリットがあるファインバブルですが、産業やくらしの場面でも活用されている事例はありますか?

宮里
西日本の高速道路を運営する会社では2009年頃からサービスエリアなどのトイレの床の洗浄に、ウルトラファインバブルを活用しています。
これにより床を湿らせて拭くだけで清掃が済むようになり、水の使用量は従来の100分の1程度に減少しました。
さらには作業時間の短縮や作業負担の軽減、床の乾燥時間の短縮にも繋がり利用者の利便性の向上にも役立っています。

一方、マヨネーズなどを製造する大手食品メーカーでは業務用マヨネーズをふっくらと口溶けのよい食感にするためにファインバブルを活用しています。
さらにシャワーヘッドの内部にファインバブルを作る仕組みを組み込むことで、シャワーを当てるだけで汚れを洗い落とせる製品の売り上げも伸びています。

ファインバブルの主な活用分野と用途

後間
すでに私たちの身の回りでも、たくさん活用されているのですね。
では今後のファインバブルの国内市場規模はどのように予測されていますか。

宮里
製品の評価などを行う独立行政法人が2021年に発表した調査では、ファインバブル発生装置・測定装置などの国内市場規模は2020年の見込み値ベースで約377憶円と発表されており、2025年にはその2倍程度の707憶円ほどにまで伸びると予測されています。

ファインバブルの技術は日本で生まれただけでなく、技術的な国際規格についても日本が世界の主導権を握る立場にあるため日本がリードして世界市場を開拓していける状況にあるといえます。

ファインバブル産業の国内市場規模推移と予測

後間
日本の技術がどのように広がっていくのか、楽しみですね。
今回は「ファインバブルの用途拡大が進む現状」について宮里さんに伺いました。

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