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「レアアース」国内自給に向けた動き

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は、「レアアース」の国内自給に向けた動きについて、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。

後間
早速ですが、まず「レアアース」とはどういうものでしょうか。

宮里
はい。「レア」は珍しい、「アース」は地球という意味もありますが、ここでは「土や土壌」などを意味する英語で、レアアースは「希土類」と訳されます。
また、地球上に存在する多くの種類の金属の中でも、地球上に存在する量が少なかったり、採掘や精錬のコストが高かったりする理由から、流通する量や使える量が少ない非鉄金属のことは「レアメタル」と呼ばれています。

今回のテーマである「レアアース」は、31種類あるレアメタルの一種で、17種類の元素の総称となります。

後間
なるほど。それでは、その手に入りにくい金属「レアメタル」や「レアアース」は、どのような用途があるのでしょうか。

宮里
まずレアメタルは、強度を増したり、錆びにくくしたりするための添加剤や、LEDや電池の材料など、さまざまな産業用途があります。
一方、レアアースも少量を添加するだけで耐熱性や強度を高めるなど、製品の性能を向上させることができ、「産業のビタミン」とも呼ばれています。

後間
レアアースは存在量が少ないということですが、どこで産出されているのですか?

宮里
世界のレアアースの埋蔵量は2020年時点で合計約1億2千万トンです。
そのうち中国が37%を占め、ベトナムとブラジルが18%と続きます。

また鉱石の生産量は合計24万トンで、そのうち58%を中国が占め、アメリカが16%、ミャンマーが13%と続きます。
このように多くの国が中国のレアアース資源に依存している状態となっています。

ただ、国際情勢の変化などでひとたび供給が絞られる事態に陥れば、世界全体に影響が及ぶことになります。
日本もほぼ全量を輸入に頼っていて、そのうち6割近くを中国から輸入しています。

中国は2020年に輸出管理法を強化し、レアアースを国にとって重要な戦略物資として管理することを打ち出しているので、外交カードの切り札としての利用も懸念されています。

後間
レアアースの供給に向けて、日本ではどのような対処方法が考えられているのですか?

宮里
実は近年、日本でもレアアースが発見されてきています。
2013年、東京の大学の研究グループが小笠原諸島の南鳥島周辺の海底に膨大な量のレアアースが含まれる泥が存在していることを発見しました。

宮里
この研究グループでは、パイプに圧縮空気を送り込んで泥水に空気を混ぜ、空気の浮力を利用して引き揚げるという、海洋で石油生産などに用いられる技術を応用した方法を検討しています。
またこうしたレアアースの国内調達に向けて政府も動きだしています。

海外の調査会社によりますと、2021年のレアアースの世界市場はおよそ83億ドルでしたが、2027年までにはおよそ184億ドルに倍増すると予測しています。

今後日本が南鳥島での資源開発を成功させてレアアース自給を実現することは、成長する世界のレアアース市場における競争力を獲得し、国際情勢が不安定ななか資源の安全保障を確立する上で、大いに期待されています。

後間
今回は、「レアアース」の国内自給に向けた動きについて、宮里さんにうかがいました。ありがとうございました。

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