公開日
OTV制作部

OTV制作部

小さな町工場の挑戦!煙を出さない焼却炉「チリメーサー」とは

煙が出ないって本当?小型焼却炉「チリメーサー」

沖縄県うるま市勝連南風原、大きな工場が立ち並ぶエリアの一画にあるのが『トマス技術研究所』です。

技術を通した環境改善を使命として掲げ、数多くの特許技術を持つ注目の企業が開発したのが、超低公害の小型焼却炉その名も「チリメーサー」

チリメーサーの特長は?

チリメーサーの特長は主に3つあります。

1つ目は、木くずから廃プラスチックまでさまざまなものを焼却できること。

2つ目は、ダイオキシンを法規定の50分の1にして焼却できるということ。

3つ目は、火と水と空気をうまく使った特許技術で煙の制御を自動で行ってくれるところです。

チリメーサーを使えば木くずと畳合わせて55キロ分のゴミが、焼却後には1.キロほどの灰に変わります。

チリメーサーを開発した理由

チリメーサーは離島における漂着ゴミの処理を目的に開発されました。

各自治体では大型の焼却施設を保有していますが、同規模の施設を離島に導入すると、規模や能力が大きすぎたり、コストもかかったりする。そういった問題を解決するために“チリメーサー”は開発されたのです。

こうして小さな町工場から生まれた焼却炉は沖縄県の内外で幅広く利用され、現時点での納入数は140件近くに上っています。

これまでの技術を活かしながら顧客のニーズに合わせて製品開発したことが注目され、2022年、トマスの真骨頂であるゴミの燃焼制御技術が各地方の優れた発明などを称える地方発明表彰において中小企業庁長官賞を受賞しました。

海で集めたゴミをその場で焼却!?トマスの画期的な試み

トマス技術研究所では、NPO法人と協力してビーチクリーン活動にも取り組んでいます。

そこで活躍しているのが、4トンユニックに載せて移動することができるチリメーサー、通称「モバイルチリメーサー」です。

トマスが取り組むビーチクリーン活動では、モバイルチリメーサーをビーチまで運び、集めたゴミをその場で焼却処分するというもの。恐らく世界初の試みだそうです。

今後はゴミを燃やすときに発生する熱をエネルギーに変え利用できるよう、研究・開発を進めています。

SDGsの専門家から見たこの取り組みの意義とは

解説:岩村俊平さん(沖縄県SDGss専門部会委員)

岩村俊平さん(沖縄県SDGss専門部会委員)
「チリメーサーは沖縄のゴミ処理における、環境・経済・社会の困りごとを同時に解決する、画期的な焼却炉だと思います。
チリメーサーの導入にあたっては、関係する法律や条例などに対応するため、個別に設計、施工の対応をされているんですよね。
私も環境系のエンジニアの端くれですけれども、これは決して簡単なことではないと思いますし、トマス「技術研究所」という社名にも情熱があふれているなと感じます。
そして、ビーチクリーン活動にモバイルチリメーサーを取り入れるというのは、ありそうで無かった、目からウロコの試みですよね。
漂着ゴミには、取り除くことが難しいレベルの汚れがついていますから、一般的には、マテリアルリサイクルという、原材料に戻すリサイクルには向かないんです。
そのため、現実的には焼却処分などをすることになりますので、現場で処理をする、というのは、経済面でも環境面でも効果的です。」

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!