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全国77,000のお寺 次世代のあり方は?

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は「全国77,000のお寺 次世代のあり方」について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。新型コロナの感染拡大でお寺のあり方にも変化があったのでしょうか。

全国77,000のお寺 次世代のあり方は?

宮里
お寺は、日本人の暮らしのさまざまな場面で大きな役割を果たしてきました。
ところが時代とともに寺と人とのかかわり方、檀家との関係が希薄になり、今日では「寺離れ」が進んでいると言われます。
多くのお寺は、檀家の葬儀やその後の定期的な法事などを主な収入源にしてきました。そのため、寺離れや地域の過疎化が進めば、運営は難しくなります。

こうした状況に追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。
こちらの図は、ある大学が調査したコロナ禍によるお寺への影響です。法事の中止・延期、葬儀の簡略化、お盆などの年中行事も自粛や縮小を余儀なくされました。

コロナ禍によるお寺への影響

後間
コロナ禍は、飲食業や観光業だけでなくお寺にも甚大な影響をもたらしたということですね。
一度簡略化された習慣は今まで通りに戻らない可能性もありそうですが、お寺には何か改善策はあるのでしょうか。

宮里
各地のお寺がさまざまな工夫を重ねていますが、新たな取組として最も多いのはオンライン対応です。
このコロナ禍を通して、葬儀や法事をSNSやウェブ会議ツール、動画配信サイトを通じて、動画配信するなどの事例が増えました。
またお寺で住職だけで法要を行い、その様子を録画したDVDを檀家に送ったり、会報紙の発行回数を増やしたり、お手紙で法話を送るなどの取り組みもあります。

コロナ禍で新たに始めたことは?

後間
お寺が今後も存続していくために、コロナ後の未来像も模索する必要がありますね。

宮里
いま、お寺では経営の視点を取り入れた、お寺自体のブランドの再構築=リブランディングの動きがでてきています。

例えば、とある有名なお寺では、2015年から元ビジネスマンの僧侶を役員に迎え入れ、運営の改革・リブランディングに乗り出しました。
改革では市場マーケティングを行い、一般企業のように顧客管理システムを取り入れて組織を内側から変えた一方、顧客本位の「開かれたお寺」にするために、カフェやインフォメーションセンターをつくるなどの施策から日々の人間関係や悩みや不安にも答えられるようなコンシェルジュ・サービスなども提供します。
暮らしのなかで誰もが気軽に足を運べる場所にすることで”悩みや不安を抱える人の心の拠り所”というお寺本来の役割を見直す取り組みです。

ある名刹の運営改革

後間
なるほど。お寺を持続可能な組織にしていくためには、こうした企業経営的な視点も重要になるかもしれませんね。

宮里
はい。伝統や慣習から踏み出して、運営の在り方や他にはない個性を見直すといった挑戦が、お寺の新たな未来を切り開く第一歩になるのかもしれません。

後間
今回は「全国77,000のお寺 次世代のあり方は」について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいました。

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