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長嶺 真輝

長嶺 真輝

キングス地区6連覇なるか?!1位島根と1ゲーム差 “西”は4チームが混戦模様のまま最終盤へ

FE名古屋戦でドライブを仕掛ける岸本隆一

琉球ゴールデンキングス
4月19日、愛知県の名古屋市枇杷島スポーツセンター©︎琉球ゴールデンキングス

プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスが、西地区6連覇に向けて正念場を迎えている。現在の通算成績は43勝11敗で西地区2位。同1位の島根スサノオマジックにわずか1ゲーム差で肉薄する。

レギュラーシーズンは残り6試合のみとなったが、リーグで最も混戦模様の西地区は島根とキングスに3位の広島ドラゴンフライズ、4位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(名古屋D)を加えた上位4チームが6ゲーム差でひしめき、依然として順位が大きく変動する可能性を残す。
8チームによるトーナメント戦で年間王者を決めるチャンピオンシップ(CS)の結果を占う最終盤の熱戦から、目が離せない。

アウェー4連戦を全勝で勢い 武器の“堅守”が復活

島根戦で相手にプレッシャーをかけるジャック・クーリー

琉球ゴールデンキングス
4月12日、島根県の松江市総合体育館©︎琉球ゴールデンキングス

この4チームの中で、現在最も勢いがあるのは6連勝中のキングスだろう。他の3チームは主力のけがや直接対決による潰し合いもあり、直近の5試合で島根と名古屋Dが3勝2敗、広島が2勝3敗と黒星が目立っている。

しかもキングスは19日のファイティングイーグルス名古屋(FE名古屋)戦までの最近4試合はアウェー戦であり、この厳しい日程を全勝で乗り切ったことは極めて大きい。中でも特筆すべきは、12日にあった島根との西の“頂上決戦”を87ー72で快勝したことである。

平均失点(73.5点)がリーグで4番目に少ないキングスだが、今月千葉ジェッツ(東地区1位)と大阪エヴェッサ(西地区5位)に喫した二つの敗戦ではいずれも失点が89に上り、守備にほころびが見える試合が増えていた。しかし、島根戦の前にホームの沖縄アリーナであった京都ハンナリーズとの連戦では個々のディフェンスの強度が上がり、課題だった相手のスクリーンプレーに対する守り方もバリエーションを増やしたり、ローテーションの意識を高めたりして改善した。

迎えた島根戦では、現在リーグ得点王(平均22.0点)のペリン・ビュフォードと、日本人得点ランキング(日本国籍取得選手除く)で2位(同16.0点)の安藤誓哉という相手の二大エースを前半いずれも無得点にシャットアウト。堅い守りがオフェンスにも好循環を生み、各選手がバランスの取れた得点で勝ち切った。

この試合、いずれもチームトップの20得点、14リバウンドを記録して勝利の立役者となったジャック・クーリーは「序盤からハードにプレーできたので、ディフェンス面が勝利の大きな鍵だったと思います。島根のやりたいプレーを止めることができました」と語り、キングス最大の武器である堅守の復活を印象付けた。

直近のFE名古屋戦もスリーポイントの成功率が上がらず、オフェンスで苦しんだが、デイフェンスで我慢して76ー69で勝利。試合後、桶谷大HCは「リードされた場面でもしっかりとディフェンスをやり続けたことで、オフェンスの流れをつかめたことが勝因だと思います」と好感触を語った。

依然1〜4位の可能性 大阪、広島との対戦残す

大阪のエース、ディージェイ・ニュービルにプレッシャーをかけるキングスの選手たち

琉球ゴールデンキングス
4月5日、沖縄アリーナ©Basketball News 2for1

上り調子のキングスではあるが、残り6試合の対戦カードを見ると難しい試合が続くことが予想される。

まず今月22、23の両日にサンロッカーズ渋谷(中地区4位)をホームに迎え、翌週の29、30の両日は今シーズン直接対決の成績が2戦2敗と分が悪い大阪とホームで対戦する。最後は5月6、7の両日に西地区3位でキングスを4ゲーム差で追う広島とアウェーで連戦を行う。

渋谷は速い展開で攻撃力が高く、大阪は絶対的エースであるディージェイ・ニュービルのスクリーンを使ったオフェンスが破壊力抜群。広島は2月にフィリピンの“至宝”と称される身長220cmのカイ・ソットが入団し、高さに磨きをかけたため、どの試合ともキングスのディフェンスの出来が勝利の鍵を握ることは間違いない。

いずれにしろ、依然として西地区で1〜4位のいずれの順位にもなる可能性を残し、島根を1ゲーム差で追随するキングスにとっては負けられない戦いが続く。ちなみに、最終的にキングスと島根が地区トップで同じ勝敗数で並んだ場合は、今シーズンの直接対決の成績は2勝2敗だが、この4試合の得失点差でキングスが12点上回っているため、キングスが地区優勝となる。

悲願の初優勝へ 鍵を握るCSの「ホーム開催権」

琉球ゴールデンキングス
チームメートの好プレーに湧くキングスベンチ©Basketball News 2for1

地区6連覇は、9日の京都戦後に田代直希主将が「まだ全然チャンスがあると思っていますし、意識しています」と強い意欲を見せたように、チームにとっては大きな目標の一つだ。そもそもCS進出が既に決まっている状況下で、なぜそこまでレギュラーシーズンの順位を上げる必要があるのか。それは、CSにおけるホーム開催権が懸かっているからに他ならない。

現在、キングスのリーグ全体順位は24チーム中4位となっており、このままの順位をキープした場合はCSの初戦となるクオーターファイナル(QF)はホームでの開催となるが、セミファイナル(SF)は勝ち上がってきた相手次第ではアウェーになる可能性も残す。一方で、西地区1位でシーズンを終え、さらに全体1〜2位となった場合はQFとSFがいずれもホーム開催となることが確約される。

レギュラーシーズンを全体1位で終えた昨シーズンはSFまでを沖縄アリーナで戦い、ホームの後押しを受けて無敗でファイナルまで駒を進めた。特に島根とのSF第2戦でドウェイン・エバンスが劇的なブザービーターを決めた瞬間が記憶に残っているファンも多いだろう。

田代も「過去にアウェーでCSを戦ったこともあるので、ホームで開催できることがどれほど僕たちの力になるかというのは理解しています」と語り、8千人超の収容能力を誇る沖縄アリーナの歓声がいかにチームにとって優位に働くかを強く認識している。

悲願の初優勝へ、一戦一戦が重要な意味を持つレギュラーシーズン最終盤。まずは22日から始まるホーム4連戦、ブースターのパワーも力に変え、白星を重ねたい。

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