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琉球ゴールデンキングス、20日からCS準決勝!鍵は「ストップ・ザ・河村勇輝」

プロバスケットボールBリーグ1部西地区首位の琉球ゴールデンキングスは20日から、ホームの沖縄アリーナで2戦先勝方式のチャンピオンシップ(以下、CS)準決勝に挑む。相手はCS初出場で、日本代表ガードの河村勇輝を擁する中地区2位の横浜ビー・コルセアーズ(以下、横浜BC)。20、21の両日にある2試合で1勝1敗になった場合は23日に第3戦を行い、年間王者を懸けたファイナルに進出するチームを決する。
クオーターファイナルでは、キングスは西地区3位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋D)、横浜BCは中地区1位の川崎ブレイブサンダースと対戦。どちらも無傷の2連勝で勝ち上がってきた。
リバウンド王のジャック・クーリーらインサイドに重量級の選手を揃えるキングスに対し、横浜BCは速い展開が持ち味のチームだ。見どころは多々あれど、この一戦の最大のテーマは間違いなくこれだろう。「ストップ・ザ・河村勇輝」だ。
対戦成績は2勝1敗 天皇杯では河村が45得点

今シーズンの両チームの対戦成績はレギュラーシーズンが1勝1敗だったほか、天皇全日本選手権の準決勝でも沖縄アリーナで対戦し、その時はキングスに軍配が上がった。各試合のスコアは以下。
●51ー67(アウェー) 2023.1.7
◯76ー70(アウェー) 2023.1.8
◯96ー91(ホーム) 2023.2.15 ※天皇杯準決勝
1月7日の初戦は相手の激しいディフェンスに手を焼いて13スティールを奪われ、キングスは18ものターンオーバーを記録。今シーズンの最少得点となるわずか51点に抑えられた。キングスの平均得点が81.2点であることからも、いかにこの数字が少ないかが分かる。堅守で対抗して相手の得点も低く抑えたが、横浜BCのファストブレイクポイント(速攻からの得点)が22点に達し、完全にペースを握られた。
翌日の試合では、第1戦で同数だったリバウンドで相手を20本も上回るなど、インサイド陣が奮起。さらに岸本隆一や牧隼利が高確率でスリーポイント(以下、3P)を沈めて白星を奪い返した。前日に比べて失点数は多かったが、相手のファストブレイクポイントを9点に抑えたことで、自分たちのリズムで試合を進めた。
天皇杯準決勝は、キングスファンにとって最も強く印象に残っている一戦だろう。前半で二桁点差を付けたが、河村が3P9本を含む45得点と爆発して猛追。最終的にはキングスがリバウンドで圧倒し、さらにチームで3Pを56.5%の高確率で沈めて競り勝ったが、正に「河村劇場」とも言える内容だった。
「トランジション」と「3P」をいかに防ぐか

天皇杯での活躍が示す通り、横浜BCはレギュラーシーズンで19.5点(リーグ5位)、アシスト8.5本(同1位)、スティール1.5本(同6位)という圧巻の個人スタッツを残した河村がチームの絶対的支柱として君臨する。そのため、河村の際立ったスピードや高いハンドリング能力、パス技術を生かした戦術を用いている。
最も警戒したいのは、素早いトランジション(攻守の切り替え)からの速攻だ。横浜BCのファストブレイクポイントは名古屋Dに次いでリーグで2番目に多く、一度勢いに乗ると厄介この上ない。速攻の起点となる河村にプレッシャーを掛けたり、キングスがリーグトップの数字(平均14.4本)を誇るオフェンスリバウンドで競り合ったりすることで、相手の攻撃のペースをできるだけ遅く抑えたい。
平均リバウンドはキングスがリーグトップ(42.0本)で、横浜BCが2位(40.4本)のため、制空権争いにも注目だ。
ハーフコートのバスケットにおいても横浜BCは河村が起点となる。スクリーンを使ってディフェンスのズレをつくってからのドライブや3P、ゴールに飛び込んだビッグマンや3Pライン外で待ち構えた選手へのアシストなど選択肢は多彩だ。それに対し、キングスは個々、チームでどのように河村を止めにいくのか、楽しみなポイントだ。
河村はレギュラーシーズン最終盤に右太ももを負傷し、クオーターファイナルでもプレー時間が制限され、万全の状態からは程遠い動きだったが、それでも2試合続けて二桁得点を記録。現在どの程度まで回復しているかは不明だが、最も警戒すべき選手であることに変わりはない。
機動力とパワーを備えたビッグマンのチャールズ・ジャクソンのほか、森井健太主将や森川正明、キング開らの積極的な外からのシュートにも気を付けたいところだ。
渡邉が「機動力とブロック」で存在感示すか

キングスで注目したい選手は、レギュラーシーズン終盤から徐々に存在感を増してきている渡邉飛勇だ。
クーリー、アレン・ダーラム、ジョシュ・ダンカンという重量級のインサイド陣が揃うビッグマンの中で、特に機動力が高い。オフェンスに切り替わったと同時に相手ゴールへ素早く走る強靭な脚力を備えるため、横浜BCのお株を奪う速攻で得点を挙げ、流れを引き込みたい。
ディフェンスにおいても、スイッチして河村とマッチアップする状況が生まれたとしても、3Pを狙ってくれば持ち味の高いブロックショットでプレッシャーを掛け、鋭いドライブを仕掛けてきても背後から着いて行って、ここでも後ろからブロックを狙えるだけの速さと跳躍力がある。
横浜BCと同じく速いペースを好む名古屋Dとの第2戦では、10分35秒の出場で4得点、5リバウンドを記録した。他のビッグマンとは異なる強みをチームに与えることができる渡邉。さらに出番が増えても不思議ではない。

勝ち上がった場合、27〜30日に2戦先勝方式で行われるファイナルは「中立地」である横浜アリーナで実施されるため、セミファイナルがホームの沖縄アリーナで行う今シーズン最後の連戦となる。レギュラーシーズンで、ホームの勝率が東地区1位の千葉ジェッツと同じリーグトップの8割6分6厘(26勝4敗)に上ったキングス。ファンと共に作り上げる「団結の力」で、なんとしても2年連続でのファイナル進出をつかみ取りたい。
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