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OTV報道部

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「私の闘病の記録が役に立てば」42歳でスキルス胃がんと診断された女性の思い  後編

胃がんのなかでも進行が早く、非常に厄介なスキルス胃がんとしんだんされた42歳のユッキーさん。胃の全てを摘出する壮絶な手術に臨んだ。「子どもを育てなきゃいけない」という強い思いと共に、闘いを続けている。

スキルス胃がんと診断 胃を全て摘出する手術へ

胃がんのなかでも進行が早く、非常に厄介なスキルス胃がんと診断されたユッキーさん(42)。

IT企業に勤めるユッキーさんは仕事柄、自身のブログも立ち上げていて、なかでも全国の飲食店の情報を発信するグルメサイトは多くのフォロワーもいる。

自身の闘病の記録が誰かのために役に立ち、早期発見に活かせればと取材に応じてくれた。

2023年4月20日、豊見城にある総合病院・友愛医療センターで、ユッキーさんは胃を全て摘出する手術を控えていた。

執刀するのは日本胃癌学会で会長を歴任した胃がんのエキスパート・二宮基樹(にのみや もとき)医師だ。

友愛医療センター消化器病センター センター長 二宮基樹 医学博士
「がんを一粒残さず全部取るつもりですから」

ユッキーさん
「よろしくお願いします」

友愛医療センター消化器病センター センター長 二宮基樹 医学博士
「ベストを尽くしますから。手術のあと(リハビリ)頑張ってください」

ユッキーさん
「そうですね。そこからが頑張りどころかなと思います」

「技術だけじゃなく気を送ります。頑張っていきましょう」

手術を前に、二宮医師はユッキーさんの緊張をときほぐすように接していた。

友愛医療センター消化器病センター センター長 二宮基樹 医学博士
「頑張っていきましょう」

ユッキーさん
「よろしくお願いします」

友愛医療センター消化器病センター センター長 二宮基樹 医学博士
「気を送るんですよ。私の気が入っていきます」

ユッキーさん
「うれしいですね、そう言っていただけると。ありがとうございます」

友愛医療センター消化器病センター センター長 二宮基樹 医学博士
「技術だけじゃなく気を送ります。頑張っていきましょう」

午前9時すぎ、ユッキーさんが手術室へと向かった。

そのころ、二宮医師たちも手術にむけて集中力を高めていた。

友愛医療センター消化器病センター センター長 二宮基樹 医学博士
「そうですね、直前で気持ちが高まっています。雑念を捨てて無心にならなきゃいけません」

全身に麻酔がかけられたユッキーさんに、二宮医師が声をかけてそっと手を添えたあと、手術が始まることを伝えた。

3日目からはケロッとしていて、ぱっと起きて「いける」と思って

ユッキーさん
「手術後から3日間は、このまま私は死んだ方が楽だったんじゃないかというぐらいすごい大変でしたね。背中痛いだとか、傷口痛いとか、寝られないとか。でも、3日目からはケロッとしていて、ぱっと起きて「いける」と思いました」

壮絶な手術を受けたとは思えないほど、声や表情が明るかったことにこちらが驚いてしまうほどだった…。

小腸が食道と繋がって食べ物を受け止める係に

ユッキーさん
「これは最初のころですね。重湯と具無しの味噌汁、赤ちゃん用のジュース。これはきょうの物ですけど、三分粥です。でもここら辺とかはかなり細かく砕かれているし、味噌汁に入っていたじゃがいもは舌でつぶせるくらいのレベルです」

ユッキーさん
「今まで食べものを受けるところじゃなかった小腸がいきなり食道と繋がって食べものを受け止める係になるわけじゃないですか。それはびっくりですよね」

友愛医療センター消化器病センター センター長 二宮基樹 医学博士
「きょうで一週間なんですよ、お元気でしょう。ドレーンという管も2本とも抜けていますし、点滴もなくなりましたし。もちろん心電図モニターもないです。今、三分粥も全量食べておられます。元々基礎体力が非常におありの方ですけど、100点満点に近い手術後の経過だろうと思いますね」

これからも続くがんの治療 前を向く理由

4時間におよぶ手術で、胃の全てと脾臓と胆のうが摘出された。
ただ、スキルス胃がんについては、これまで蓄積された症例からも手術だけで治すことは難しく、術後は補助化学療法をやるのが一般的で、ユッキーさんも今後は抗がん剤による治療も行っていくことになるだろうと話す。

これからも続くがんの治療、ユッキーさんには前を向く理由がある。

ユッキーさん
「病気と闘って勝たなきゃいけない、子どもを育てなきゃいけないというのが頭にあるので、それがポジティブに繋がっています」

まだ入院中にも関わらずユッキーさんが始めたことがある。
自身の記録をブログで公開することだ。2023年5月2日に第一回目を投稿した。

同じような病で悩む人たちの支えや参考になれば

私の経験が誰かの役にたって、がんの早期発見につながってほしい。
同じような病で悩む人たちの支えや参考になればとユッキーさんはブログを公開している。

綴られているのは、初めて胃カメラ検査を受けた時、病理検査の結果を待っていた時の心の動き、そして手術を通して感じたこと、気づいたことなどだ。

2023年5月19日時点で25本が公開されていて、今後も更新していく予定だ。

「私の闘病の記録が役に立てば」「早期発見に繋げて」 スキルス胃がんと診断された女性ブロガーの思い 前編

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