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ベンビー

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お笑い芸人ベンビーの、小さな奇跡のおはなし

どうも、先日コンビニでお釣りをもらう時店員さんに「前から失礼しまーす」と言われ「いや前からしか渡せんだろ!後ろから渡されたらびっくりするわ!」と心の中でつっこんだベンビーです。

突然ですが、みなさんはスマホや財布を車の屋根に置いたまま発進してしまった経験はありませんか?
荷物が多いと車に乗り込む時に一旦屋根の上に置いて忘れちゃうってことありますよね?

今回は車の屋根の上に置き忘れられた靴が道中振り落とされ翌日発見されるまでの小さな奇跡のおはなしです。

まず話の前おきとして、僕は業界では有名なかなりの忘れんぼうでして。
ライブなどで忘れものがないと逆に心配されるほどの忘れんぼうなのです。
呼吸をするくらい自然に忘れものをする忘れんぼうです。
忘れないようにと玄関ドアの上の方にかけてあるスーツをのれんのようにくぐって出て行ってしまうくらいの忘れんぼうなのです。

そんな僕ですから車の屋根に物を置いたまま走り出すなんて毎月の恒例行事みたいなもんなんです。

お笑い芸人ベンビーの忘れんぼう再現写真①
忘れんぼう再現写真(以下写真はすべて再現)

だいたい車で走り出してすぐ気づくか目的地に着いた時に気づきますよね。
ところがこの時はそうじゃなかったんです。
目的地に着いた時にはもう屋根の上に靴はなく、しかもすぐに使う靴でもなかったのでその日はまったく気づかなかったんです。

翌朝。
車に乗り込もうとした時ですよ。屋根の上に点線で靴の形が点滅して見えたんです!

「あれ?そういえば昨日ここに靴置かなかったっけ?」

24時間ほど経過してやっと靴をどこかで落としたことに気づきました!

「えー!!!」

と、声は出ませんでしたが映画ホームアローンでケビンを家に忘れたことに気づいた時のお母さん状態。

「昨日と同じ道をたどれ!」

脳内のキャプテンベンビーが指示を出します。
駐車場から200メートルほど小道が続きます。

ゆっくりと車を走らせ後続車を気にしながら道路の左右すみずみまで目を光らせて探します。
すると、100メートルほど走らせた右側の壁に靴らしきものが!

「おー!!!」

左の靴がしっかりこちらに顔を向けて僕を待っているではありませんか!

安全なところに車を止めて駆けつけると他の車に踏まれた様子もなく綺麗な体のままでした。おそらく誰かが立てかけてくれたのでしょう。

「親切な人ありがとう!」

喜びもつかの間、右の靴が見当たりません。あたりを探し回りました。近くにあれば共鳴して左の靴がピカーって光るんじゃないか?そんな思いも頭をよぎりますがまったく光ることはなく。
右と左、離れ離れになる瞬間は辛かっただろうなあ。

左「あたしはもうダメ!落ちちゃう!」
右「バカ!がんばれ!」
左「ああ、もう無理!今までありがとう!右ぃ!」
(屋根から振り落とされる左)
右「左ぃ!!!!!」

できることなら右の靴も一緒に落ちたかっただろうなあ。この時ばかりは己のグリップ力を恨んだだろうね。
工場で箱詰めされた瞬間から常に一緒にいて、僕に買われて店から僕の家に引っ越してからも靴箱ではいつも隣同士。お出かけの際ももちろん一緒で1番離れてもせいぜい僕の歩幅分。それもお互いの後ろ姿を見、見られ。車の運転の時には右がアクセルやブレーキペダルをせわしなく行ったり来たり踏んだり戻したり、それを優しく見守る左。

初めて1人で過ごす夜はどんな気持ちだったかな?涙を流してかかとを濡らしたかな?

そんなことを考えながら車に戻り再び昨日と同じ道をたどります。

ひとりぼっちで待っていた靴の気持ちになってみました・・・寂しい。

「ない、ない、ない、、、」

ついに大通りに出る交差点へ。
大通りで落ちたとしたら、よしんば見つかったとしてもたくさんの車に踏みつけられてボロボロだろう。
大通りに出て100メートルほど走らせただろうか。
なんと、右の靴があったのだ。
中央分離帯側のゼブラゾーンに、こちらも綺麗な体で僕を待ってくれていたのだ。

久しぶりに再会する右の靴と左の靴。
靴の裏と裏をそっと合わせてあげました。

こうして右の靴と左の靴の24時間の大冒険は幕を閉じました。
あれ以来この靴を履く時には歩幅を少し小さめにして歩いています。

ではまた次回。

今ではしっかりと快適な車内で過ごしてもらっています

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