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くらしと経済編集部

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音を通じたブランディング「ソニックブランディング」が浸透

後間
今回は「ソニックブランディング」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

音を通じたブランディング「ソニックブランディング」が浸透

後間
耳慣れない言葉ですが、「ソニックブランディング」とは何を指す言葉なのでしょうか?

宮里
「ソニックブランディング」とは、音を用いたブランディング手法のことで、音によってブランドや商品を連想させるものです。
これまでの企業ブランディングは、ロゴマークなどの特定の色や形など、視覚的な情報からブランドや商品を連想させるような方法が主流でした。

近年ではポッドキャストやオーディオブックなど、音声や音楽など「音」に関わる市場が盛り上がりを見せる中で、音を使って企業のイメージを定着させるようなブランディングを行う取り組みが増えています。

後間
音に関わる市場の盛り上がりが、ソニック・ブランディングの増加に繋がっているんですね。
では具体的な事例を教えてください。

宮里
具体的には、広告などで使われる音楽やキャッチフレーズなどの音声のほか、ホテルや飲食店で流れる音楽、電気製品やデジタルデバイスなどの立ち上げ音など、すでに日常生活に溶け込んでいるものが数多くあります。

ゆいレールに乗った際に各駅で異なった音楽が流れるようになっているのも身近な例の一つと言えるかもしれません。

ソニックブランディングの事例

後間
私たちの日常にもソニックブランディングが浸透しているんですね。では今、なぜこれほど重視されるようになってきたのでしょうか?

宮里
はい。ソニックブランディングが広がった背景には、人々の日常生活のなかに、デジタルデバイスをはじめとしたさまざまな電子機器が浸透したことにあります。

また、TikTokのように、音楽や音声を重視したSNSが若者を中心に世界的にヒットしたことも影響していると言われています。
若年層の新規ユーザーの獲得に有力な手段のひとつと言えるでしょう。

人が1秒間で理解できる情報量は、言葉よりも音の方が多いとされています。音楽は言語や文化の壁を超えたブランディング構築が可能となるため、グローバルブランディングの手法としても期待が大きいようです。

ソニックブランディングが重視される背景

音を通じたブランディングのメリットは、他の何かをしている最中でも届けることができるほか、記憶に残りやすく、好感や共感を生み出しやすい点にあると言われています。

また、特許庁は2015年から、「音楽的要素からなる音商標」について登録を認めていて、音はブランド資産として活用することができる制度が整っています。

宮里
コロナ前の2019年、世界的なクレジットカードブランドで決済などで使用する音を新たに創り上げたことが話題になりました。
このプロジェクトでは2年間という長い期間をかけてミュージシャンや音楽学者、作曲家らが参加してメロディーが作られていったそうです。

長い期間をかけたのには、神経科学の観点からも人の感情に訴えかける有効性を確認するためだったと言われています。

後間
改めて「音」が人間に与える影響と、そのパワーを感じますね。

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