公開日
くらしと経済編集部

くらしと経済編集部

農業の課題解決が期待できる「ソーラーシェアリング」

後間
今回は農業の課題解決が期待できる「ソーラーシェアリング」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

農業の課題解決が期待できる「ソーラーシェアリング」

後間
「ソーラー」と聞くとソーラーパネルや太陽光発電が頭に浮かびますが関連はあるのでしょうか。

宮里
脱炭素社会の実現には、太陽光や風力など温室効果ガスを排出せず、国内で生産できる再生可能エネルギーの普及・拡大が鍵を握ります。
太陽光発電はその再生可能エネルギーの代表格ですが、農業分野においても農地を活用して太陽光発電を拡大しようという取り組みがあります。それが「ソーラーシェアリング」です。

ソーラーシェアリングは農地に支柱を立て上の部分に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とでシェアする取り組みです。
地面に直接、太陽光パネルを設置した場合、地面を農地として利用することはできませんが、ソーラーシェアリングであれば農地の上部に隙間を空けてパネルを設置するため、農地で作物を栽培しながら発電も可能となります。

ソーラーシェアリング

後間
農業を営みながら発電できる。一石二鳥の取り組みですね。

宮里
はい。ただ現在、ソーラーシェアリングの取り組みを行うためには農業を継続する必要があり、さらに農地法に基づく一時転用許可も必要です。
許可件数は、年々増加しているものの、最新の数字である2020年度は全国で累計3474件となっています。
国では、2020年に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」にソーラーシェアリングの促進を盛り込むなど普及の拡大促進に努めているようです。

ソーラーシェアリングは環境面だけでなく、作物の販売収入に加えて売電による継続的な収入や、発電した電力の自家利用による農業経営の改善などが期待できます。
農家の収入が安定化すれば、農業を継ぐ人の不安やリスクも軽減でき、担い手不足の解決に貢献できる可能性もありソーラーシェアリングへの期待が高まっているのです。

ソーラーシェアリングのための農地転用許可件数

後間
なるほど。ではそのソーラーシェアリングをすでに導入している自治体はありますか。

宮里
はい。群馬県 高崎市(たかさきし)の農場では、ハウス型のソーラーシェアリング設備を導入し、ミズナなど葉物野菜の水耕栽培を行っています。
収穫量は周辺地域の露地栽培の3倍ほどあるということです。雇用面においても、社員、パートを含め100名を雇用していて、障がい者雇用や隣接する前橋市(まえばしし)の農業専門学校と連携して
実習生の受け入れも行っています。

後間
ソーラーシェアリングは農業の発展だけでなく、地域の活性化にも繋がるのですね。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!