沖縄経済
卵価格高騰の中 注目度が高まる「代替卵」
後間
こんにちは。後間秋穂です。ある食材の味や見た目、食感などを別の原材料を用いて再現する代替食品。
今回はそのなかでも「卵」に注目したお話しを野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。
宮里
よろしくお願いします。
後間
さまざまな料理によく使われる卵ですが、最近は価格が高騰し家計を直撃していますよね。
宮里
おっしゃる通り「物価の優等生」と呼ばれてきた卵ですが、現在はかつてないほどの高値になっています。こちらはMサイズの卵、1キロあたりの東京の卸売価格の推移ですが、今年(2023年)6月には350円と、5年前の2018年同時期の2倍以上の価格になりました。
卸売価格が上がれば当然小売価格も上がります。
このためスーパーなどでも100円台で買えた卵1パックが200円を軽く超えるといった事態になっているのです。
この背景にはニワトリのエサとなるトウモロコシなどの穀物価格の高騰があります。
世界有数の穀物輸出国であるロシア・ウクライナ情勢などの影響で飼料価格や輸送コストが上昇しました。さらに追い打ちをかけるように鳥インフルエンザがかつてない規模で世界的に広がり、国内では今年2月時点で1249万羽が殺処分され卵の供給に大きく影響したのです。
後間
卵の価格の高騰は家庭だけでなく食品メーカーや飲食店など広い範囲に影響が及びますよね。
宮里
そうなんです。食品メーカーや小売店などで卵を使う商品を値上げしたり販売を休止したりする事態となりました。
そこで今回のテーマでもある「代替卵」の存在が重要視されてきたのです。
代替卵は、植物油脂などで卵のような味や食感を再現した食品です。
国内の開発の動きをみてみますと、大手食品メーカーA社では食品加工工場などで使う液状の卵=「液卵」(えきらん)に似せたものや、スクランブルエッグやオムレツといった卵料理に似せた商品を開発しました。
植物由来の食材を専門とするカフェを運営する会社では大手食品メーカーB社と共同で、2022年に白インゲン豆などを原料にした代替卵を開発し、カフェの新メニューに代替卵のオムライスを販売しました。
またどちらも家庭向けの商品を開発、販売しています。
後間
なるほど。卵価格の高騰によって注目されている代替卵ですが、開発が進むことでメリットもありますか。
宮里
代替卵はさまざまな可能性を秘めていて、例えば世界の人口は2050年には100億人になると予測され、食料不足やタンパク質の不足などが懸念されています。
代替卵は植物原料の肉などとともに、新たな栄養源となると考えられています。またアニマルウエルフェア=動物福祉の観点から、卵の生産に伴う環境負荷や、ニワトリの飼育環境などに対する問題意識も高まり、持続可能な商品を選ぶ「エシカル消費」の一つとしても、代替卵が注目されているのです。
後間
さまざまな可能性を秘めている代替卵、新たな食の選択肢として今後の成長が見込まれますね。
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