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沖縄にバスケが伝わって100年 首里城にかつてあったリングを再現
2023年、FIBAバスケットボールワールドカップが沖縄で開催される。沖縄のバスケットボールの歴史を多くの人に伝えたいと、高校生などが取り組んだのが、首里城バスケットリング再現プロジェクトだ。
首里城にバスケットリングがあったという歴史や、今回のプロジェクトに関わった人たちの思いを伝える。
沖縄にバスケットボールが伝わって100年 歴史を若者たちが学ぶ
FIBAバスケットボールワールドカップの開幕を前に、かつて首里城にあったバスケットリングが再現された。
東京から来た観光客
「バスケットボールのワールドカップと首里城との関係は全くわからなかったです。いま話を聞いて、そうだったんだと思いました」
プロジェクトの呼びかけ人 金谷康平さん
「ワールドカップが沖縄で開催されます。バスケットボールはグローバルなスポーツなので、世界を沖縄が受け入れるということでもあります。一方で、沖縄のことをどれだけ知っているのかと、自分たちを見つめ直す機会にもなりました」
沖縄にバスケットボールが伝わってから100年、その歴史を若者たちが学んだ。
首里城にバスケットリングが!?
沖縄県立芸術大学 張本文昭 教授
「昭和35年ぐらいまで体育館は沖縄にありませんでした。だから、(バスケットボールは)外でやるスポーツだったのです」
どうして首里城にバスケットリングがあるのだろうか。
首里高校に通う有志のメンバーは2023年7月、沖縄県立芸術大学の張本文昭(はりもと ふみあき)教授から、知られざる沖縄のバスケットボールの歴史について学んだ。
沖縄県立芸術大学 張本文昭 教授
「僕は2023年2月に初めて見せてもらいました。それまで首里城でバスケが行われていたことは知りませんでした」
1908年から1934年にかけて首里城にあった首里市立女子工芸学校の写真。
そこにはバスケットリングの姿がはっきりと写っている。
沖縄に初めてバスケットボールが伝わったとされるのが1923年。
それから100年の節目となる2023年、各国のトップレベルの選手たちが集結するFIBAバスケットボールワールドカップが開催される。
この感動をみんなで分かち合いたいと、沖縄のバスケットボール情報を発信する専門誌『アウトナンバー』を創刊した金谷康平(かなや こうへい)さんらは、「沖縄バスケットボール100年祭」を企画した。
首里城公園で100年前の様子を再現
プロジェクトの呼びかけ人 金谷康平さん
「(バスケについて)いろいろ知れば知るほど、楽しさが湧いてきます。街の人たちも、これまで(バスケに)興味がない方が、興味を持つようになっていきます」
プロジェクトの目玉として、100年前のバスケットリングの再現に向けた取り組みがスタートした。
プロジェクトリーダー 首里高校 知花史騎さん
「首里城近くが(沖縄の)バスケの起源となると、盛り上がると思いますし、アピールしていきたいです」
沖縄県立芸術大学 張本文昭 教授
「今でいうバックボード、この当時は『バックボールド』と呼ばれていて、このサイズが尺と寸で書かれています」
張本教授が作成した設計図をもとに、高校生たちは必要な材料を確認して役割を分担。
木製の支柱の製作には、首里城の復元に携わる宮大工の力も借りた。
プロジェクトに参加した男子生徒
「初めてペンキ塗りとかやりますが、楽しいです」
プロジェクトに参加した女子生徒
「海外の方やバスケに興味ない方にも、さっと見るだけでもいいから来てほしいです」
さらに、沖縄県立芸術大学に通う学生たちも…。
沖縄県立芸術大学 辺士名奏位さん
「今よりもさらに大きいもの(ボール)を使っていたとのことです。だいたい、外周が90から96センチメートルくらいです。それに合わせて、また一から切り直します」
取り組んだのは、100年前に使われていたボールの再現だ。
歴史を学びながら、完成させたボールとリング。
首里城公園に運び込まれ、100年前の様子が再現された。
プロジェクトリーダー 首里高校 知花史騎さん
「バスケットをずっと続けている身としても、この企画に携わらないと絶対後悔するという気持ちで取り組んでいます。きちんと完成度の高いリングになったことは、本当にうれしく思います。自分たちが一から作業して、こうやって、いまいる方たちにも見ていただけて、自分の中では成功と感じています」
プロジェクトの呼びかけ人 金谷康平さん
「自分たちの歴史を掘り進めていくことが、世界を受け入れるときに、世界の人と話をするためのかっこうの材料になります。歴史や、足もとにある文化を見ていくことと学んでいくこと、両方をやっていきたいと思っています」
沖縄のバスケットボールの歴史を伝えるリングは、2023年9月3日まで首里城公園に設置されている。
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