沖縄経済
植物などを活用する小規模発電の可能性
後間
こんにちは。後間秋穂です。
近年、地球温暖化対策として環境に優しい発電の開発が進んでいます。今回はその中でも「植物」の力に注目したお話を野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。よろしくお願いします。
宮里
よろしくお願いします。
後間
環境に優しい発電、といいますと太陽光発電や風力発電などがよく聞かれますよね。
宮里
はい。太陽光や風力発電は自然の力を活かすエネルギーの中で広く知られていますが、このほかにも自然の力から小規模な電力を得る研究も進んでいます。
そのひとつが今回のテーマである植物などを活用した発電です
今年3月、東京都内のイベントで植物と土の力で発電する技術が披露されました。
植物は光合成によって糖をつくり根から放出しますが、この糖を栄養分として土の中の微生物が活性化しマイナス電子が発生します。
そこで、土の中にマイナス極となるマグネシウムと、プラス極となる備長炭をさすと電流ができ発電するのです。今のところ、1セットあたりで得られる電圧は約3.3ボルト、単3電池約2本分相当と言われています。
後間
電力自体は小さいかもしれませんが、電源の必要がない、というのは画期的なシステムですね。
宮里
はい。植物発電は簡単な構造で電源がなくても電力が得られるほか、植物が光合成を行っている限り長期的に発電できます。また排出されるのは水だけで、その水も根から吸収されますので環境にもやさしい発電といえます。
後間
すでに植物発電を活用した事例はありますか?
宮里
はい。東京にある商業施設の歩行者デッキに植物発電の技術を活用した植栽の環境演出用のライトを常設する実証実験が行われました。そのほかにも災害時の非常用電源にすることを視野に研究を進めている企業もあります。
後間
なるほど。自然の力を活かした発電は大きな可能性を秘めているのですね。
宮里
はい。植物発電以外にも自然の力を活かした小規模発電の研究は進められています。例えば、国の研究機関では、2021年に、空気中の湿度の変化を利用して発電する「湿度変動電池」の開発を発表しています。
空気中の湿度は昼夜の気温差などによって1日の間でも数十%のレベルで変動するためこの変化を利用して発電することができると考えられています。
後間
環境に優しい発電技術の開発はSDGsにも繋がっていますので今後の動向に注目ですね。今回は「植物などを活用する小規模発電の可能性」について宮里さんに伺いました。ありがとうございました。
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